麻疹(こども)(ましんこども)

麻疹(こども)とは

麻疹とは、麻疹ウイルスが原因となり高熱や発疹を発症する、ウイルス性感染症の一種です。感染することでの肺炎や脳炎を発症することがあり、日本のような先進国においても、麻疹の発症者のうち1000人に1人はなくなるといわれています。

予防接種の2回接種を徹底し、麻疹の感染動向を正確に把握する努力の結果、2015年3月、国際機関であるWHO(西太平洋地域事務局)により、日本は麻疹の排除状態であると認定されました。しかし、なおも発展途上国を中心とした海外において麻疹流行地域は存在し、海外からの持ち込みを発端とする麻疹症例は散発的に認めます。また2016年には国内流行も認め、主にワクチン2回接種が完了していない子どもと、抗体価が低下している大人を中心とした国内流行を認めました。そのため、子どもに対しての予防接種をしっかり受けること、流行地に赴く際には麻疹に対しての免疫力を確認することが大切です。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

原因

麻疹は、麻疹ウイルスに感染することで発症します。麻疹ウイルスは非常に感染力が強く、人のなかで感染が成立するウイルス性疾患のなかで最も感染力の強いウイルスであるといわれています。感染した人の咳や唾液に接触したり体に触ったりしなくても、空気中を漂うウイルスによってうつってしまいます(空気感染と呼びます)。20分間、麻疹ウイルスを持った人と同じ空間にいるだけで感染は広がると考えられています。麻疹ウイルスは熱、紫外線等で容易に不活化され、空気中や物体表面での生存時間は短いとはいわれています。しかしながら、強力な感染力を持つことを認識し、適切な感染予防策を講じることはとても大切です。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

症状

麻疹ウイルスに感染すると、およそ2週間の潜伏期間の後に麻疹が発症します。麻疹ウイルスを他人に広げる可能性がある時期は、発疹が出現する5日ほど前から、発疹出現後数日です。麻疹を発症してから治癒するまでの典型的な経過は、1) カタル期、2) 発疹期、3) 回復期に分けられます。

1) カタル期

麻疹の最初の症状は、発熱・鼻水・目やに・せきなど、いわゆる「風邪」と同じ症状です。

この時期に頬の粘膜を見ると、「コプリック斑」と呼ばれる、周囲が赤くて真ん中が灰色の砂粒くらいの斑点を見られることがあります。コプリック斑は麻疹において特徴的なサインであり、この時期にこの発疹を認めた際には、麻疹を考えた対策をより早期に講じることが可能です。

2) 発疹期

カタル期が終わると、およそ半日程度一度熱が下がり気味になりますが、再び40℃近くまで上昇します。発熱のピークを示す山が二つあるように見えるため、二峰性発熱と呼びます。とともに全身に小さくて赤い発疹が出現します。顔や耳の後ろから始まり、体幹、そして手足の順で全身に広がります。また発疹どうしが融合していく(くっついていく)ことも麻疹による発疹の特徴です。

鼻水や目やにはこの時期にも継続して認めており、典型的な麻疹においては、一般の風邪よりもやや強い傾向にあります。

3) 回復期

解熱とともに発疹も自然に消えていきますが、肌に色素の沈着が茶色に残ります。合併症がない場合には、発症から1週間程度で経過は改善します。

麻疹では、肺炎と脳炎の二つが特によくみる合併症になり、かつ死をもたらす可能性があるものです。肺炎を併発した場合には、咳や痰が重症化しますし呼吸状態も悪くなります。脳炎を発症すると、意識状態が悪くなったり、けいれん、麻痺、行動異常、精神発達遅延などを呈するようになります。約25%の症例で後遺症を来すとも報告されています。また、麻疹の発症様式は、急性感染症としてのものだけではありません。感染から約10年後に学習障害や痙攣といった症状から始まる「亜急性硬化性全脳炎」という型もあります。

以上は典型的な麻疹ですが、「修飾麻疹」というものが存在することにも注意が必要です。修飾麻疹においては、本人の症状自体は軽くすむのですが、典型的な症状でないだけに、医療機関を受診しても麻疹の診断を正確に受けることは困難です。そのため、それと知らずに他人に麻疹を移すリスクを伴っている点が、とても大きな問題です。ワクチン接種が不十分であったり、成人期になってから免疫がなくなった場合等にみることがあるため、注意が必要です。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

より詳しい情報はこちら

検査・診断

「麻疹である」という診断は、症状や周囲の流行状況が手がかりとなります。麻疹は感染動向を徹底することの必要性が掲げられており、1) 医療機関における麻疹ウイルスに対する抗体確認、2) 地方衛生研究所における、血液、咽頭ぬぐい液、尿の三つを用いたウイルスの確認(ウイルス分離やPCR)、の二本立てが基本となります。感染を広げないためにも、この二つを徹底することが国立感染症研究所から、勧告されています。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

治療

麻疹に対する特効薬はありません。麻疹にかかっている期間中は安静にして、自分の免疫力でウイルスを排除するのを待ちます。その間、対症療法として発熱に対しては解熱鎮痛剤、脱水に対しては適切な水分補給等が行われます。ビタミンAが欠乏している状況では、ビタミンAの補給も推奨されますが、日本においては欠乏状況にあることはまれです。

麻疹の経過中は、肺炎や脳炎を発症することもあります。細菌感染をきっかけとした肺炎があれば、抗菌薬を使用しますし、呼吸状態が悪化した場合には人工呼吸管理になることもあります。脳炎が生じた場合には、人工呼吸やステロイドなどを適宜使いながら全身の管理をすることになります。

なお、熱が下がっても2日間は周囲に感染させる恐れがあります。そのため、児童・生徒の方が感染してしまった場合は、学校保健安全法で「解熱後3日を経過するまでの出席停止」と定められています。

日本においては、ワクチンによる予防が定期接種として導入されています。具体的には、日本では1歳のときと5から7歳のときの2回、麻疹の予防接種を無料で受けることができます。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

麻疹(こども)の記事を読む

もっとみる

麻疹(こども)の記事にご協力いただいている医師