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麻疹(こども)
麻疹(ましん)とは、麻疹ウイルスにより引き起こされる感染症あり、一般に「はしか」という名前で知られています。麻疹は、大人でも子どもでも、免疫を持っていなければ罹患することがあります。麻疹にかかっ...
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麻疹(こども)ましんこども

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

麻疹(ましん)とは、麻疹ウイルスにより引き起こされる感染症あり、一般に「はしか」という名前で知られています。麻疹は、大人でも子どもでも、免疫を持っていなければ罹患することがあります。麻疹にかかった場合、子どもと大人ではさまざまな条件が異なるため、違った経過をたどることもあります。
*一般に、18際以上の大人がかかる成人麻疹のほうが重症化しやすいといわれています。

麻疹を発症した後、早い段階で現れる症状には、発熱や咳などがあります。子どもの場合には、だるさから不機嫌な様子をみせることもあります。発症から数日経つと、皮膚に赤い発疹(ほっしん)が現れます。

原因となる麻疹ウイルスの感染力は極めて強く、接触、唾液などの飛沫(ひまつ)、空気などを介してヒトからヒトへと感染します。

麻疹を発症しても多くは数日で熱が下がり、完全に回復します。しかし、肺炎や脳炎などの命に関わる合併症を起こすこともあるため、現在においても注意が必要な感染症として知られています。先進国でも、麻疹患者さんのうち1,000人に1人ほどは亡くなる可能性があるとされ、日本でも子どもの死亡例が報告されています。

ただし、麻疹は予防接種により予防することが可能な感染症です。通常、1回のワクチン接種により93~95%以上の人が免疫を獲得するとされています。より多くの人の麻疹予防を目的のひとつとして、日本では2回の麻しん風しん混合ワクチンワクチン接種(MRワクチン)を定期接種化しています。麻疹は手洗いやマスクでは予防ができないため、ワクチン接種による予防が極めて重要といわれています。

最近問題になっているのは、海外渡航者からの麻疹感染です。50歳以上の世代は、子どものときに麻疹にかかり、抗体ができていることが多く、また、若い世代で2度の予防接種の定期接種化以後は抗体を持っている人が多いと思われます。しかし、この政策や、この政策に漏れた方に対して行われた補足的接種の政策でも漏れてしまった方が存在していると考えられます。

現在の日本では、麻疹発症者がなく、ウイルス暴露による自然免疫が困難な状況です。したがって、ワクチンに漏れた方、接種したワクチンで抗体産生がなかった人、もしくは、免疫抑制剤投与中または同様な体質の方は、麻疹罹患に関してハイリスク群といえます。海外で麻疹感染した人もしくは渡航者から麻疹感染した人の多くはこのような人々と考えられています。

原因

麻疹ウイルスの特徴

子どもの麻疹の原因は、大人の麻疹の原因と同じように、麻疹ウイルスに感染することです。麻疹ウイルスは、インフルエンザウイルスなどのウイルスに比べ、感染力が非常に強いことで知られています。

また、他のウイルスは感染しても発病に至らないこともありますが、免疫を持たない人が麻疹ウイルスに感染した場合、ほぼ100%の確率で発症するといわれています。

感染経路

麻疹ウイルスは、以下の経路でヒトからヒトへと感染します。

接触感染

感染している人の皮膚や粘膜に直接触れたり、ドアノブや手すりなど、ウイルスが付着しているものに触ったりすることにより感染します。

飛沫(ひまつ)感染

感染している人が咳やくしゃみをした際に飛んだ唾やしぶきを吸い込むことによって感染します。

空気感染

空気中に浮遊している小さな飛沫核を吸い込むことによって感染します。

症状

麻疹ウイルスに感染した後、10日~12日ほどの潜伏期間を経て、麻疹の症状が現れます。典型的な例では、麻疹を発症してから回復するまでに次のような経過をたどります。
*典型例の経過や症状は大人の麻疹と同様ですが、消化器症状など、子どもの麻疹にみられやすい症状などもあります

カタル期(前駆期)

麻疹の発症後、2~4日間をカタル期と呼びます。カタル期には、38度前後の発熱・咳・鼻水・倦怠感(だるそうで不機嫌な様子)など、風邪のような症状が現れます。また、白目部分の充血、目やに、眩しさなど、結膜炎症状も生じます。乳児や幼児の場合は、下痢や腹痛を起こすことがあります。

カタル期に口のなかをみると、粘膜全体が赤くなっていたり、頬の粘膜に小さな白い斑点(コプリック斑)ができていたりすることがあります。白い斑点は麻疹に特徴的な症状であり、早期発見に役立ちます。コプリック斑は、カタル期を過ぎると数日で消失します。

発疹期(ほっしんき)

カタル期の発熱が一時的に1度ほど下がり、およそ半日程度のうちに再び上昇して39.5度以上ほどになります。(二峰性発熱)

また、この時期には麻疹に特徴的な、赤く小さい発疹が現れます。発疹は、まず耳の後ろや首、額などに現れ、続いて胴体や腕に生じ、やがて手足の末端まで広がります。

発疹が出現してから全身に広がるまでの3~4日間ほどは、高熱の状態が続きます。出現時に鮮やかな赤色をしていた発疹は、徐々に暗い赤色になり、時間の経過とともに退色していきます。カタル期に生じていた鼻水や咳、結膜炎症状は、この時期にさらに強くなる傾向があります。

回復期

熱が下がり、全身状態も回復して、活力を取り戻していきます。発疹は黒みがかった色素沈着となり、解熱後もしばらく残ります。

合併症がない場合、麻疹の発症から1週間程度で主な症状は改善します。ただし、体力や免疫力の回復にはさらなる期間を要するため、他の感染症などにかからないよう注意が必要です。

修飾麻疹(しゅうしょくましん)

近年、典型的な麻疹とは異なる「修飾麻疹」が増加しています。修飾麻疹の症状は典型的な麻疹よりも軽く、微熱や短い期間の発熱などで終わる傾向があります。しかし、麻疹特有の症状が少ないことから医療機関でも正確な診断が難しく、麻疹と気づかず他の人にうつしてしまうリスクがあります。そのため、専門家の間では修飾麻疹の診断が課題となっています。

合併症

麻疹の代表的な合併症には、肺炎と脳炎があります。肺炎と脳炎は命に関わることもあるため、特に注意が必要です。

肺炎

肺炎を合併した場合、麻疹による咳や痰が重くなり、呼吸状態が悪化します。麻疹に合併する肺炎には、ウイルス性・細菌性・巨細胞性*のものがあり、発疹期を過ぎても熱が下がらない場合は、細菌性肺炎が疑われます。
*巨細胞性肺炎は、大人の一部や免疫不全状態の場合にみられます。
麻疹を発症した乳児の死亡原因のうち、多くは肺炎に起因していると考えられているため、症状や検査結果から肺炎の可能性が考えられるときは、適切な治療・管理が求められます。

脳炎

麻疹による発疹が現れた後、2~6日頃に脳炎が生じることがあります。脳炎を合併した場合、半数以上は完全に回復するものの、約25%には麻痺や精神発達遅滞、けいれんなどの後遺症が残るといわれています。

脳炎を合併する頻度は1,000人に1人以下とまれですが、思春期以降の麻疹による死亡原因としては、肺炎よりも多いといわれています。

その他

このほかの合併症には、中耳炎やクループ症候群、心筋炎などがあります。特に乳幼児では、クループ症候群の原因となる喉頭炎や喉頭気管支炎といった合併症が多くみられるといわれています。

また、麻疹に罹患してから7~10年後に発症する亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん)も、麻疹の合併症のひとつとして知られていますが、頻度は10万人に1人ほどと、極めてまれです。

検査・診断

基本的に大人の麻疹でも子どもの麻疹でも、確定診断のために行う検査に大きな差はありません。

麻疹に気づくための重要な手がかりは、患者さんに現れている症状と周囲の流行状況です。麻疹の診断のために行われる検査は、以下2種類に大別されます。

  • 感染している場合に体内で作られる抗体の確認(IgM抗体、IgG抗体検査)
  • 採取した血液、咽頭ぬぐい液、尿を用いたウイルスの確認(ウイルス分離や、PCR法によるウイルス遺伝子検出)

近年では、診断が難しい修飾麻疹も増えていることから、感染を広げないために2種類の検査を併用することが重視されています。

治療

症状を緩和する治療

麻疹そのものを治す特効薬はありません。そのため、麻疹を発症した場合は、発熱や脱水など、現れている症状を改善するための治療が行われます。安静を保ち、医師の指示に従いながら、こまめに水分補給を行うことなどが大切です。下痢症状などがみられる子どもの場合は、脱水の予防・治療が特に重要です。

合併症に対する治療

中耳炎や細菌性肺炎など、細菌が原因となる合併症が引き起こされている場合には、抗生物質の投与が行われます。

肺炎により呼吸状態が悪化している場合には、人工呼吸器を用いることもあります。また、脳炎を合併した場合には、人工呼吸器やステロイドなどを用いながら、慎重に全身管理が行われます。

出席停止期間

麻疹による熱が下がっても、その後2日間は周囲の人に感染させる可能性があります。そのため、日本では学校保健安全法により、解熱後3日が経過するまで出席を停止することが定められています。

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