こまくえん

鼓膜炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

鼓膜炎とは、鼓膜に炎症が生じている状態のことを指します。鼓膜炎は風邪をきっかけに発症することが多い病気です。なかには原因が分からずに慢性的に経過するタイプの鼓膜炎もあります。

風邪に関連した鼓膜炎では、激しい耳の痛みを生じることが多いです。慢性に経過するタイプの鼓膜炎では、痛みは強くは現れず、耳だれが主な症状になります。

鼓膜炎の治療方針や治療後の経過は、急性のものか慢性のものかにより異なります。治療方法としては、鎮痛剤や抗生物質の使用、鼓膜に対しての切開処置、硝酸銀という薬品を用いた焼灼術(しょうしゃくじゅつ)などがあげられます。

ただし、すべての方に対してこれらの治療が適応になるわけではありません。鼓膜炎の状態を正確に把握することが治療方針の決定につながるため、耳鼻医の診察を受けることがとても大切な病気です。

原因

耳の構造は、外から順に外耳、中耳、内耳に分けられます。外耳と中耳の間にある鼓膜に炎症が生じた状態を鼓膜炎と呼びます。

鼓膜炎は、大きく「急性鼓膜炎(水疱性鼓膜炎)」と「慢性鼓膜炎(肉芽腫性鼓膜炎)」に分けることができます。

急性鼓膜炎の原因

急性鼓膜炎は、いわゆる風邪に伴って発症することが多い鼓膜炎です。風邪に続いて生じる急性鼓膜炎の多くはウイルスが原因となっています。

その他、上気道に炎症を起こしやすい細菌(肺炎球菌やインフルエンザ桿菌など)の感染が原因となって急性鼓膜炎が起こることもあります。

慢性鼓膜炎の原因

慢性鼓膜炎の原因は完全には明らかになっていません。急性鼓膜炎と慢性鼓膜炎では、耳だれから培養される病原体に違いみられたり、炎症を起こしている白血球の種類が異なっていたりすることから、急性鼓膜炎と慢性鼓膜炎の原因は異なると考えられています(2018年2月時点)。

症状

風邪と関連した急性鼓膜炎の症状

鼓膜炎のうち、風邪と関連して発症する急性鼓膜炎の主な症状は、耳の痛みです。

鼓膜にのみ炎症が限局している場合には、耳だれの症状は多くはありません。しかし、鼓膜は中耳と隣り合っているため炎症が中耳にも生じていることがあり、この場合には耳だれの症状が出現することもあります。

また、聞こえの低下や耳が詰まった感じなどの症状も伴うことがあります。

風邪に続発するタイプの鼓膜炎であるため、一般的な感冒症状(発熱、喉の痛み、鼻水、鼻詰まりなど)の症状も合併することがあります。

慢性鼓膜炎の症状

慢性鼓膜炎では耳の痛みはさほど強く現れません。慢性鼓膜炎では、頑固な耳だれの症状が最も多くみられます。

その他、耳の聴こえの低下、耳が詰まった感じ、耳鳴りなどが起こることもあります。慢性鼓膜炎は、急性鼓膜炎と比較すると経過が長引くこともあります。

検査・診断

鼓膜炎を診断する際には、顕微鏡やファイバースコープを使って、鼓膜をよく観察することが重要です。急性鼓膜炎の場合、この検査により鼓膜の表面に水ぶくれが生じていることが観察されます。水ぶくれを切開し、内容物を培養することで、原因となっている細菌を特定することもあります。また、聞こえの低下を示す場合には、内耳へ影響が及んでいることもあるため、聴力検査を行うこともあります。

慢性鼓膜炎でも、鼓膜を観察することが診断につながります。急性鼓膜炎のような水ぶくれが形成されるというよりも、肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれる中身の詰まった塊が鼓膜に形成されていることが観察されます。また、鼓膜の一部が破れて穴があく場合もあります。中耳の病変を評価するために、CT検査が行われることもあります。

慢性鼓膜炎では、急性鼓膜炎と同様に培養検査を行うこともあります。慢性鼓膜炎の場合、急性鼓膜炎とは異なる病原体が検出されやすい傾向にあります。

治療

鼓膜炎の経過や症状の程度などにより、治療方針が決定されます。耳の痛みに対しては鎮痛剤が使用されます。細菌による鼓膜炎が疑われる場合には、内服薬や点耳薬などで抗生物質を投与する場合もあります。培養検査では原因菌を特定できるだけでなく、薬の効きも推定することができるため、適切な抗生物質の選択に役立ちます。

鼓膜炎では、鼓膜に対する切開処置を行うこともあります。

急性鼓膜炎で痛みが強い場合、水疱を潰すことで痛みの軽減を図ります。また、急性鼓膜炎は片側に発症することが多く、いわゆる風邪の治癒と共に改善していくことが期待されます。

慢性鼓膜炎では、真菌が原因となっていることもあります。この場合には、抗真菌薬の使用も検討します。また、慢性鼓膜炎では肉芽腫を除去したり、薬剤を用いて焼灼術を行ったりすることもあります。慢性鼓膜炎は長期化することもあり、治療が円滑に進まないこともあります。このような理由から定期的な鼓膜処置が必要とされることもあるため、専門家の指示に従った治療を受けることが重要です。

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