概要
1p36欠失症候群とは、染色体の一部(1p36領域)が生まれつきない(欠失している)ことによって引き起こされる病気です。5,000人に1人程度の頻度で発症し、言葉や運動の発達の遅れ、特徴的な顔立ちが認められたりすることがあります。また、てんかんなどの神経症状、心疾患、甲状腺機能異常などの病気を伴うこともあります。
1p36欠失症候群は生まれつきの病気であり、現時点では根本的な治療はありません。そのため、各症状に対する対症療法や合併症に対する治療を行いながら、発達の遅れを補うための療育を行います。
原因
1p36欠失症候群は1~22番まである常染色体のうち、1番染色体の短腕末端の一部である1p36領域という部位が欠失していることによって引き起こされます。このような染色体の欠失は突然生じることが多いといわれていますが、両親の一方が持つ均衡型転座*に由来している場合もあります。
発症に人種による差はありませんが、患者の性別は男児と女児で3:7程度とされており、女児に多い傾向があります。
*染色体の一部で切断が起こり、双方の場所が入れ替わったもの。500人に1人にみられる。
症状
1p36欠失症候群の患者は、言葉や運動発達の遅れ、筋緊張低下(筋肉の張りがなくなり柔らかくなる)などの症状がみられます。また、まっすぐな眉、落ちくぼんだ目、尖った顎などの特徴的な顔立ちを示すことが多いといわれています。
そのほか、てんかんなどの神経症状、先天性心疾患、甲状腺機能の異常、視力調節障害、難聴、肥満などを示すことがあり、口唇・口蓋裂や軟口蓋裂を合併することもあります。
なお、症状の程度には個人差があります。染色体の欠失範囲の大きさに左右されることもありますが、同じ大きさの欠失を示す場合でも症状に差が認められることがあります。
検査・診断
1p36欠失症候群が疑われるときは、特徴的な症状の確認に加え、染色体検査を行い1p36領域の欠失を確認します。検査方法としては2021年に保険適用となったマイクロアレイ染色体検査がもっとも推奨されます。
治療
1p36欠失症候群は生まれつき染色体の一部が欠失していることによって引き起こされる病気であり、根本的な治療や予防法は現在のところありません。
そのため、症状を緩和するための対症療法や合併症に対する治療を行いながら、発達の遅れなどに対する療育や訓練を継続し、社会生活への適性を構築していきます。
なお、診断に際しては遺伝カウンセリング*を受けることがすすめられます。
*遺伝や遺伝性疾患の情報を正しく分かりやすく伝えることで、不安や悩みのある人を心理的・社会的に支援する場。
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