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VRE

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概要

VREとは、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE: Vancomycin-Resistant Enterococci)のことを指します。腸球菌自体は人間の消化管を中心に生息するありふれた菌ですが、ときに感染症の原因となることがあります。

通常はバンコマイシン塩酸塩と呼ばれる抗生物質で治療をされるのですが、VREとはバンコマイシン塩酸塩に対して効きが悪くなった(耐性と呼びます)腸球菌のことを指します。 腸球菌による感染は健康な方に対して起きることはあまりないのですが、病院に入院するような方(たとえば手術後、集中治療中など)における感染症の原因となることがあります。

これらの患者さんは健康な方と比べて免疫力が低下していることも多く、抗生物質での治療が必要な場合も多いのですが、耐性を持った腸球菌が存在しているとよりいっそう治療が難渋することが懸念されます。

日本における対応としては、法律上5類感染症に分類されています。年間50〜100件前後の報告例があり、総数としてはそれほど多い訳ではありませんが、治療方針や治療経過に与える影響は大きく、今後の動向が注目されます。

原因

細菌性感染症では、それぞれの細菌に対して抗菌薬が必要とされるため、これまで多数の抗菌薬が開発されてきました。しかし細菌は人間より遥か昔から地球上に存在し、一世代の寿命が短く増殖スピードが桁違いに速いため、人間に比べて環境へ適応していく能力が高いです。

つまり、その時は効果があった抗菌薬でも、時間の経過とともに菌が抗菌薬に耐性を獲得し、効果がなくなることがあるのです。このような菌を「耐性菌」と呼びます。腸球菌も同様の経過からバンコマイシン塩酸塩において耐性を獲得した結果、VREと呼ばれる耐性菌になっています。

VREがバンコマイシン塩酸塩に対して耐性を獲得するのは、「vanA遺伝子」や「vanB遺伝子」などと呼ばれる遺伝子が深く関与しています。特にこの2つの遺伝子は、容易に腸球菌同士で共有されるため、バンコマイシン塩酸塩の耐性が広がりやすい性質があります。そのため感染制御を行う観点からはより困難を極めるため、臨床上とても重要な遺伝子です。

症状

VREは健康な人に生着していることもあります。多くの場合は消化管に寄生しているのですが、下痢や腹痛などの症状を呈することはありません。こうした状況では、VREを保菌していることになり、周囲へVREを広げるリスクはあります。

VREにより症状が出現しうるのは、特に全身状態が悪い患者さんにおいてです。集中治療室や手術後、抗がん剤治療中などは、抗生物質を使用する機会も多いですし、患者さんの免疫力も普段とは異なり低下していることもあります。

こうした状況では、VREが手術後の傷口の感染症、敗血症尿路感染症などを引き起こすことがあります。また、人工呼吸管理をしていると、長期間になればなるほど肺炎を来す可能性が高まりますが、この場合においてもVREが原因菌となることもあります。

検査・診断

VREは、バンコマイシン塩酸塩に対しての耐性を獲得した腸球菌を同定することから確定します。実際的には、薬剤感受性試験とPCR法の2つの方法があります。 薬剤感受性検査とは、培養検査の一環として行われます。

感染が疑われる部位(たとえば痰や尿)から検体を採取し、細菌が増殖できるように栄養を与えながら検査室で細菌を飼います。この際に、バンコマイシン塩酸塩を実際に加えてみて、細菌の増殖具合がどの程度抑えられるのかを確認する検査が「薬剤感受性検査」です。

VREにおいてはバンコマイシン塩酸塩に対して効きが悪くなっているため、薬が存在している状況であっても細菌がより強く増殖をしてきます。一方PCR法では、バンコマイシン塩酸塩に対しての耐性と深く関わる「vanA遺伝子」や「vanB遺伝子」などを検出することになります。

治療

VREが症状を来すのは、病院に入院中の方、特に手術後や外傷後、人工呼吸器管理をされている方です。VREに対してバンコマイシン塩酸塩は無効であるため、リネゾリドなどと呼ばれるVREにも効果がある抗生物質が使用されます。

また、VREと同時にMRSA、緑菌などが同時に合併して感染症を引き起こしていることもあるため、それらの菌に対する治療を併用することもあります。 VREが検出された場合には、周囲への感染を拡大させないための努力も必要になります。

VREを排菌している患者さんがいる場合、患者さん自身の便や尿、痰などの処理には注意をすることが必要です。手洗いや手袋の着用などの基本的な感染拡大予防に加えて、患者さん自身を拡大するなどの対応も重要になります。

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