しんぼうそどう

心房粗動

最終更新日:
2022年12月20日
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2022/12/20
更新しました
2017/04/25
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概要

心房粗動とは、心臓の“心房”と呼ばれる部位に異常な電気の回路ができ上がることで、心臓の拍動が通常よりも速くなる病気です。発症すると動悸、脱力、呼吸困難などの症状が現れ、心臓の中で血液の流れが乱れるため血栓(血の塊)ができやすくなり、脳梗塞(のうこうそく)などを引き起こす原因になります。

心房粗動は心臓の病気が原因で発症することもありますが、原因がはっきりしないケースも少なくありません。しかし、発症すると心臓の拍動を落ち着かせる薬を内服しても十分な効果が得られないことも多く、根本的には心房内にできた異常な電気の回路を焼き切る“カテーテル心筋焼灼術”が必要となります。

原因

心房粗動は、心房の中に電気の異常な回路が生じることによって拍動が速くなる不整脈のことです。

心房粗動の中でもっとも多いのは、右心房(心臓を分ける4つの部屋の中の1つ)にある三尖弁(さんせんべん)(右心房とその下に位置する右心室の間にある弁)の周囲を回るように走る回路ができるもので、このようなパターンの心房粗動を“通常型心房粗動”と呼びます。一方、三尖弁の周囲以外の部位に回路を形成するタイプの心房粗動は“非通常型心房粗動”と呼びます。

非通常型心房粗動は、心臓弁膜症の手術後やカテーテルアブレーション後に起こるケースが多いのに対し、通常型心房粗動は心臓の病気がない場合に発症することが多いとされます。高血圧甲状腺機能亢進症、アルコールの多飲、加齢なども発症の要因として知られています。

症状

心房粗動は心房に異常な電気の回路が形成されるため、発症すると心臓全体の拍動が速くなり、運動していないのに動悸や倦怠感を自覚するようになります。一方で、拍動の速さが心臓全体に及ばない場合は自覚症状が現れないことも少なくありません。

また、心臓の拍動が過剰に速くなることで正常な心臓のポンプ機能が果たせなくなると全身に送られる血液の量が減るため、胸の違和感、脱力感、呼吸困難などを引き起こし、重症な場合は失神することもあります。さらに、心不全を発症するケースもあるため注意が必要です。

なお、心房粗動が長期間にわたって続くと心臓の機能低下を引き起こすばかりでなく、心臓内で血液の逆流が生じることで血栓ができやすくなり、脳梗塞などの原因になることも知られています。

検査・診断

心房粗動が疑われるときは以下のような検査が行われます。

心電図検査

心臓の電気の流れを波形状に記録する検査のことです。心房粗動では、頻拍を認め、“F波”と呼ばれる特殊な波形が検出されます。

また、心房粗動は心臓の病気によって引き起こされることもあるため、心電図検査で心臓の病気の有無をスクリーニング*することもあります。

*スクリーニング:無症状の患者がかかっている可能性のある病気を突き止めること

心臓超音波検査

心房粗動の原因となる心臓の病気の有無、長期間の心房粗動による心機能への影響などを調べるために心臓超音波検査を行うことがあります。

血液検査

心房粗動の原因となり得る甲状腺機能亢進症などの有無を調べるために血液検査を行うことがあります。また、心不全の程度を示す“BNP”の測定などを行って心臓の状態を評価することもできます。

治療

心房粗動の治療方法は、心臓の拍動の速さや症状の重さなどによって大きく異なります。

心臓のポンプ機能が正常な場合は、拍動の速さを抑えるためにβ遮断薬などを用いた薬物療法が行われます。一方で、薬物療法では拍動の速さを抑えられない場合や症状が改善しない場合は異常な電気回路を焼き切るカテーテル心筋焼灼術が行われます。

また、血圧低下による失神など強い症状が出ている場合は、早急に心房粗動を停止させるために電気的除細動が必要になることも少なくありません。

通常型心房粗動の場合はカテーテル治療による根治が得られやすいため、一度不整脈の治療を専門とする医師へ相談しましょう。

予防

心房粗動の多くは明らかな原因がなく発症します。そのため、心房粗動の発症を防ぐことが難しいケースも少なくありません。

一方で心房粗動は心臓の病気によっても引き起こされます。ただし、発症しても無症状のこともあるため、心臓の病気がある場合は定期的に心電図検査などを受けることが大切です。

心房粗動は生活習慣病である高血圧やアルコールの多飲が誘因になるケースもあります。発症を防ぐには、日頃から食生活や運動習慣などを整え、規則正しい生活を送ることが大切です。

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