患者さん一人ひとりが、私の大切な家族

「患者さん一人ひとりが、私の大切な家族」

患者さんを心から大切にし、幸せになれる医療を実践する杉山達也先生のストーリー

昭和大学脳神経外科学 講師

杉山 達也 先生

脳は美しい

「脳はどうしてこんなに美しいのだろう」

私が医学部生のとき脳神経外科の実習で初めてみた患者さんの脳に、私は思わず見とれてしまいました。頭蓋骨の奥に潜み柔らかそうな脳と、その表面に張り巡らされた大小の血管は、人体のすべてを司る神秘性を持っており、私の目には一種の芸術作品に映ったのです。

手術に入る前から手術は終わっているようなもの

当時、埼玉医科大学脳外科教授の松谷雅生先生のもとに入局し医師としての心構えから手術の準備の仕方まで教えていただきました。

「手術とは、手術に入る前にすでに終わっているようなものだ」

手術室に入る前から、準備次第で手術終了までの道筋はほぼみえてきます。一大決心をして手術台に上がる患者さんのためにも、医師はどんなに忙しくてもすべての患者さんに手を尽くさなくてはなりません。

私はこの言葉を大切にし、後進の育成に携わるようになった今でも、若手医師に伝えています。

患者さんにとって幸福な医療を提供できるよう、腕を磨き後進を育てる―水谷先生の教え

現在、私の所属する昭和大学脳神経外科は、教授の水谷徹先生をはじめとした優秀なスタッフが多く在籍しています。水谷先生からは「病気を見逃さず、適切な時期に最大限に有効な治療方法を提供すること」を学んでおり、患者さんが心から治療を受けてよかったと思い、患者さんの人生が幸せになるような医療を提供し、よりよい治療を実現するため、日々手術の工夫を積み重ねています。

毎朝のカンファレンスでは治療方法を丁寧に検討し、基礎から高難易度な症例まで、より安全で効果的な手術のために創意工夫を凝らしています。また、このカンファレンスは患者さんへのより良い治療を提供するだけでなく、若手医師の育成にも役立てています。

安全な手術を目指して

私は水谷徹先生のもとで開頭クリッピング術やバイパス術、頸動脈内膜剥離術など、脳神経外科の多岐にわたる手術に携わる機会に恵まれています。クリッピング術では水谷徹先生が考案した脳動脈瘤を確実に仕留めるBlading techniqueを駆使し安全で確実なクリップを行っています。

バイパス術のポイントは確実な縫合です。そこで針と血管の内膜どうしを術者と助手とで確実に視認しつつ縫合するintimal techniqueを用います。このintimal techniqueを行うことにより高率な長期開存を達成しています。

頸動脈内膜剥離術では、プラークの末梢まで確実に露出し安全に摘出することをポイントとしています。一般的には第2~3頸椎以上で高位といわれ手術を敬遠されますが、私は第1頸椎の高さまで頸動脈を露出しプラーク摘出を安全で確実に行うようにしています。

躊躇せず、全力を尽くす

私は、自身の専門のひとつとして脳梗塞やくも膜下出血といった脳卒中を主に治療することが多いです。脳卒中は予後不良である印象が強いですが、患者さんの中には元気に退院する患者さんも多くいることに気がつきました。後遺症が残った患者さんでもリハビリ後に外来に笑顔で来てくださったときにはとても嬉しく感じました。全力で治療することで、生命が持つ神秘的な回復力を目の当たりにし、やりがいのある仕事であることを再認識したのです。

自分の家族を診るように、患者さんを診る

医師になってから早20年が経ちました。松谷先生や水谷先生をはじめ、多くの先生や患者さんにたくさんのことを教えていただきました。同時に「患者さんを家族だと思って診療をする」ことを大切にしてきました。いつか私の家族が病気になったとき、自分が診られるように。そして目の前の患者さんを本当の自分の家族と思って接するように。

常に相手の立場に立って真心を尽くし、今この手でできる最大限の医療を患者さんに提供することが重要と考えます。

一人の臨床医としてこれからも患者さんを幸せにできるよう一緒に治療目標を立て、目標達成に向け努力します。また、常に技術の向上に努め、同時に教育者として自分の持てる限りの知識や経験を次の世代の医師に伝えたいと考えています。

すべては、患者さんに幸せになってほしい、その願いからです。

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