院長インタビュー

「地域に必要とされる病院」を目指し、救急だけでなく地域連携にも乗り出した盛岡赤十字病院

「地域に必要とされる病院」を目指し、救急だけでなく地域連携にも乗り出した盛岡赤十字病院
松田 壯正 先生

盛岡赤十字病院 院長

松田 壯正 先生

この記事の最終更新は2017年09月11日です。

盛岡赤十字病院は394床、23診療科の総合病院です。盛岡駅から車で約20分、横には北上川が流れ、病棟からは岩手山も見えます。その歴史は古く、開設は1920年に遡ります。「人道・博愛の赤十字精神にもとづきみなさまの生命と健康をまもるために、信頼される医療の実践」を基本理念として掲げる同病院の、特徴や現在の取り組みについて、院長である松田壯正先生にお話を伺いました。

当院は長らく、地域における急性期病院として、1次救急、2次救急に力を入れてきました。対応できる疾患であれば、原則として救急の患者さんは断りません。病棟は「7対1看護」(看護師一人が受け持つ病床は7つまで)の認定を受けています。

近年、増加が著しいのは、肺炎脳卒中、そして心臓や血管の病気(循環器疾患)です。地域の高齢化を反映しているのでしょう。

高齢化とともに増加する疾患としては、認知症も重要です。動脈硬化が原因となる認知症(血管性認知症)は循環器内科でケアできますが、アルツハイマー型の認知症を診るには神経内科医が必要です。現在、神経内科医を確保すべく、努力しているところです。

 

 

当院は赤十字病院ですので、災害医療にも積極的に取り組んできました。災害が発生するとただちに、救護班(医師・看護師など6名で構成)や国内型緊急対応ユニット(dERU)を派遣し、救護所の設置、被災現場や避難所での診療、こころのケアなどを行います。熊本地震など全国各地の被災地に、救護班を派遣してきました。

当院は岩手県基幹災害拠点病院の認定も受けており、東日本大震災では拠点病院のひとつとなりました

 

診療科のなかでは、外科系の評判が高いと自負しています。患者さんのなかに医師などの医療従事者が多いのが自慢です。

また産婦人科にも多くの患者さんがいらっしゃいます。岩手県全体で年間出産数は9,000件くらいだと思いますが、そのうち1,000件近くは当院での出産です。産婦人科では、助産師による妊婦健診(助産外来)も行っています。完全予約制で30分間、妊婦健診とあわせて、妊娠中の生活や、出産に対する不安などにアドバイスを差し上げます。

加えて当院は、遠野市公設公営の助産所「ねっと・ ゆりかご」で初の嘱託医療機関でもあります。遠野市の患者さんが頻繁に通院する必要がないよう、地元の助産師さんと当院医師が情報技術(IT)を用いた連携を介して、妊婦さんをケアするというシステムです。遠野市に出産を取り扱う施設がなかったため、立ち上げられたシステムです。

 

現在の医師数は、後期研修医を含め57名です。1日外来患者数がおよそ600名、入院患者が300名弱ですので、もう少し医師を増やしたいと考えています。

当院は、卒後10年ほどたった中堅医師が腕を磨くのに、極めて適した施設です。大学病院では経験できない、コモン・ディジーズを数多く経験できるためです。多くの学会から認定施設とされているため、専門医に必要な症例数の経験を積むのにも有利です。そうした背景もあり、当院で初期研修をしたドクターが、ある程度経験を積んでから、当院に戻ってくるケースも増えてきました。

 

2016年、当院は地域医療支援病院の認定を受けました。現在は394床すべてが一般病床ですが、将来的には一部を地域ケア病床などに変更する必要があると考えています。

かかりつけの先生方は、何か検査が必要とお考えの際にはぜひ、当院にご紹介ください。当院は診断の速さに定評があります。ほとんどの検査は、終了後3時間ほどで結果が出ます。そのため、患者さんには1回来院いただくだけで、治療方針の決定までできます。

連携の一環として「糖尿病週末食事体験入院」を行っています。週末を利用した入院ですので、お勤めされている患者さんでもご利用が可能です。当院で各種検査、教育を実施後に、日内変動検査結果、教育内容(栄養・薬剤)を、退院後1週間以内に、かかりつけの先生にご連絡します。

 

「在宅療養後方支援」も始めました。かかりつけの先生方が在宅で診られている患者さんを届け出ていただいていれば、緊急の際、速やかに当院に入院いただけます。詳細につきましては、当院の「地域医療連携室」までお問い合わせください。

 

また逆紹介が容易になるよう、玄関ホールに、タッチパネル式のかかりつけ医検索システム「どこだ兵衛」を設置しました。かかりつけの先生が当院の医療連携機関に登録されると、「どこだ兵衛」に情報が掲載されます。患者さんは「地域」、「診療科」、「50音順」のいずれかでかかりつけ医の先生を検索し、情報を確認できます。表示情報は、クリニック名、医師名と診療科、診療時間や休診日、住所や連絡手段などです。タッチパネル上の「印刷ボタン」を押せば、A4用紙に印刷され、患者さんは持ち帰ることが可能です。

 

人間ドックは日帰りと1泊2日があり、1泊2日の場合、個室をご用意します。健康診断では、職場健診なども請け負っています。CTスキャンを用いた肺がん検診も始めました。さらに、脳ドック婦人科検診、乳児健診なども可能です。

また、「にっせき健康塾」という、「出前」の講演会も、地域の健康維持を目的に続けてきました。特徴的なのは、「出前メニュー」の存在です。がんやスキンケア、感染症、食事と栄養など、生活に密着した講演のメニューが14種類挙げられており、依頼者側で選択いただけます。もちろんメニューにないテーマも、事前にご連絡いただければ、対応できるか検討します。

 

松田壯正先生

私たちは患者さんを「病人」ではなく、病をたまたま抱えてしまった「地域で生活する方」とみています。そのため、入院支援にはじまり、治療後は退院支援にとどまらず、医療ソーシャルワーカーが職場復帰までお手伝いさせていただいています。

当院が目指す姿は、「地域に必要とされる病院」です。先述の通り検査から診断、治療開始までのプロセスが迅速なのが当院の特色です。治療が決まるまで何回も足を運んでいただく必要はありません。体調が悪いと感じたら、お気軽に受診してください。

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