院長インタビュー

チームワークのよさで地域医療に取り組む千葉中央メディカルセンター

チームワークのよさで地域医療に取り組む千葉中央メディカルセンター
福田 和正 先生

医慮法人社団誠馨会 千葉中央メディカルセンター 元病院長

福田 和正 先生

この記事の最終更新は2017年11月06日です。

1981年に開院した医療法人社団 誠馨会 千葉中央メディカルセンターは、272床を有し千葉県若葉区とその周辺の地域医療を担う病院として超急性期治療から回復期のリハビリテーションまでを行っています。また、地域の医療を支える救急医療にも取り組んでいます。

高齢化が進む地域で、基幹病院としての役割を果たす同センターの院長である福田和正先生にお話を伺いました。

外観

私が当院に赴任したのは1999年でした。そのころから院内の体制整備が急速に進み、2004年にはセコム医療システム株式会社の提携病院になりました。

同社は、セコム株式会社が「医療・介護・健康」分野でも高品質なサービスを提供するために設立した会社です。安心・安全を医療や健康を含め俯瞰的に捉えるセコムグループの考えと、「信頼と奉仕」の精神で地域医療を先導していこうという私たちの考えが合致し、提携に至ったのだと思います。

内観

若葉区は千葉市内でもっとも高齢化が進んでいる地域で、周辺地域を含めると、現在でもご高齢の方の割合が30%を超えています。当院はそうした環境に対する診療体制づくりを進めてまいりました。具体的には、脳卒中、脊椎脊髄疾患、糖尿病、心血管疾患など、ご高齢の患者さんに多い疾患に対応するために、各領域の専門医を中心とした高度な先進医療を行う医療チームを整備してきました。また、最近は、高齢者はもちろんのこと、すべての年齢層で多くの患者さんがいる消化器部門の充実を図っています。

 

糖尿病センターは、日本糖尿病学会認定専門医が最新の知識による診察と治療を行っています。また、もっとも重要となる生活習慣の改善に向けて、看護師や栄養士が万全の体制で指導行っています。三大合併症である糖尿病性網膜症糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害の早期発見や治療においては、脳卒中センター、循環器内科、眼科、人工透析科などとの連携による集約的な診療を行っているのが特徴です。

脊椎脊髄センターでは、主に背骨の骨や関節の変形などで脊髄あるいは神経根を圧迫して痛みの出る脊椎変性疾患や、外傷に対する診断と治療を行っています。神経除圧術や内視鏡手術など最先端の外科治療の可能なスタッフをそろえ、薬物・装具療法や理学療法などの保存的治療だけでは症状の改善が得られない患者さんの手術も積極的に行っています。

脳卒中センターは、急性期の脳梗塞脳出血くも膜下出血といった脳血管障害の患者さんを受け入れる専用の病床である脳卒中ケアユニットを備えています。脳卒中の専門知識を持つ経験豊富な医師、看護師、リハビリテーション技師らの専門チームが、24時間体制で薬物療法、手術、早期リハビリテーションなどを集中的に行っています。さらに、高血圧、糖尿病、心疾患などの再発危険因子の評価や治療も行い、退院後の再発予防にも力を入れています。

消化器の疾患はすべての年齢層で最も多い疾患です。そのため、ここ2,3年で医師を増員し、強化を図ってきました。もともと消化器内科と消化器外科は存在していたのですが、それをひとつの病棟に集約するなど効率的で効果的な診療ができる体制づくりを進めています。内視鏡による治療例が著しく増加しているのは、消化器部門の充実を図ってきた成果だと思います。

狭心症や急性心筋梗塞などの虚血性心疾患うっ血性心不全は高齢化とともに今後益々増加する疾患です。急に発症し、命にかかわる病気ですから、緊急治療できる体制が重要です。循環器内科では、このような心疾患に対する緊急治療に備えた専門チームが、365日24時間体制で待機しています。

地域の医療が安定するためには、その地域の小規模病院や診療所などの診療が常に円滑に行われていなければなりません。このような医療機関の医師たちは、限られた設備、限られたスタッフで非常に多くの患者さんの診療を行っていますから、急な検査や処置を必要とする患者さんが来院されると通常の診療に大きな支障を来たします。当院の医師たちにはこういった現状を理解してもらい、地域の病院や診療所が救急患者さんの対応で困っていれば、積極的に受け入れるように指示しています。とにかく速やかに受け入れることが大切です。もちろん、当院で対応できない病状の患者さんもいますが、適切な病院を選定して診療を依頼していくことも私たちの役割だと考えています。現在は、月に50~60件の要請がありますが、ほぼすべての患者さんを受け入れています。

地域の医療機関が連携して、それぞれの機能をしっかり果たすことで、地域医療のレベルは維持されていくのです。そうした連携の中心にいるのが当院であり、地域医療を先導していくことは当院の大切な役割のひとつだと考えています。

当院は救急医療にも力を入れています。救急車の受け入れ台数は年々増えており、年間4,000~4,500台になります。2017年8月からは救急搬送困難事例の受入れ事業に賛同して、たらいまわしされる救急患者さんを原則として受け入れる「搬送困難受入病院」の指定を受け入ました。今後はさらに受け入れ件数が増えるだろうと予想されますが、千葉市は政令指定都市のなかでも救急搬送に時間がかかっている地域であり、現状の改善のためには、「当院がやらなければ、どこができるのか」という気持ちで手を挙げました。

ミーティング風景

病院としての業務を的確・迅速に実行していくためには、スタッフの連携がとれていることが大切です。スタッフ間の風通しのよさは当院の大きな特徴でもあります。

当院では、毎朝8時から診療部ミーティングを行っています。医師だけでなく、事務部長、看護部長、医療安全、薬剤部、診療技術部など各部門の責任者も必ず出席し、病院や各部署からの連絡事項や救急患者の申し送りなどが行われます。

夜間に救急患者さんが入院しても、病院内の連携が密でないとその後の治療に支障が出かねません。結果として、患者さんに迷惑をかけることになってしまいます。

他院からの研修医、救急救命士、学生など当院で短期間の病院実習や見学を人たちがいます。彼らには、初日と最後にミーティングに参加してもらい、自己紹介や実習後の感想などを述べてもらいます。そうすることで、病院内での見学や研修がとてもスムーズに行えます。

当院では職種を超えたスタッフ間の交流が盛んで、それがチームワークのよさにつながっていると思います。

スタッフ間でのイベントも数多くあります。新入職員の歓迎パーティは毎年の恒例行事で、新入職員が職場に慣れてきた7月ごろに行っています。スタッフ同士でバンドを組んだり、バレー、サッカー、バスケットといったチーム活動も行われています。私もサッカー部で一緒にプレーしています。

オリジナルキャラクター

 

 

リハビリテーションの質の高さは当院の伝統です。千葉県内でもとりわけ早く回復期リハビリテーション病棟をつくりました。

1999年に現在の建物になりましたが、そのときすでに回復リハビリテーション病棟の基準を想定した設計がなされています。回リハ病棟の施設基準が新設されたのが2000年ですから、当初から病院としても力を入れてきた分野だといえます。超急性期から回復期まで一貫して質の高いリハビリテーションを行える病院は多くありません。その点も当院の強みです。

また、千葉市二次医療圏のリハビリテーション広域支援センターの指定を受けており、リハビリテーションを通じて介護や福祉を含めた地域の健康を支援する活動を10年以上続けています。

各診療科のレベルは高いと自負していますが、そのなかでも特徴的な存在として和漢診療科があります。西洋医学は臓器別に疾患を診ますが、漢方は心も体も不可分のものとして診ます。疾病に対する見方が違うため、和漢診療科の存在はほかの診療科の医師への刺激にもなっています。当院には和漢診療の第一人者である医師も在籍しており、患者さんだけでなく多くの医師が全国から勉強に来ています。

福田和正先生

病院を支えるのは、やはり「人」です。そして「人」を育てていくことも病院の大切な役割です。これからは自分たちで若い世代を育て、当院の文化をさらに次の世代につなげていけるような病院づくりをめざしたいと思います。

そうした「持続できる病院」をつくることが、地域医療への一番の貢献なのだと信じています。

病院とういうのはその地域の方々の生活の一部ですから、現在だけでなく、5年後も10年後も同じように機能し続けられるように努力してまいります。

医療の質を維持することは地域の品質を維持することでもあります。そのためにも、地域のみなさまには、地域の品質という視点から当院を見守っていただき、ともに品質向上に取り組んでいただければ幸いです。

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  • 医慮法人社団誠馨会 千葉中央メディカルセンター 元病院長

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