院長インタビュー

さいたま赤十字病院

さいたま赤十字病院
安藤 昭彦 先生

さいたま赤十字病院 院長

安藤 昭彦 先生

この記事の最終更新は2017年05月23日です。

さいたま赤十字病院は1934年の創設以来、地元密着型の病院として、さいたま市を中心とした地域の方々を支え続けてきました。同院は2017年1月の移転と同時に、完全紹介予約制の新病院としてオープンし、地域医療の中核を担う基盤を固めつつあります。周産期医療(出産前後の母体・胎児や新生児に対する医療)、救急を強みとする同院の理念や取り組みについて、院長の安藤昭彦先生にお話を伺いました。

さいたま赤十字病院は、1934年に創立された日本赤十字社埼玉支部療院を前身としています。2017年1月に創設以来初めてとなる移転新設を行い、さいたま新都心駅から徒歩4分というアクセス良好な場所に新病院を開院しました。

当院は80年以上続く歴史のなかで、地元密着型の病院としてさいたま市を中心とした地域の方々をサポートしてきましたが、移転とともに完全紹介予約制を導入し、地域内の他病院や診療所との連携体制をより強化しています。

さいたま赤十字病院外観

さいたま赤十字病院は632の病床、33の診療科を備えています。2017年4月現在、632床の病床のうち571床が実稼働しており、2017年7月の病床フルオープンに向けて、看護師のトレーニングを含め、着々と準備を進めています。

当院はさいたま市を中心とした医療圏をおもにサポートしており、移転後は市外の埼玉県南部や東京都の病院からの紹介患者さんも増加しています。「地元で安心して医療を受けたい」という地域住民の声に応えるべく、私たちはこれからも良質な医療を提供し続けたいと考えます。

さいたま赤十字病院にある33の診療科には、高い専門性を持った素晴らしい医師が揃っています。なかでも循環器内科は、心臓のカテーテル治療や不整脈治療など、全国でもトップレベルの症例数を誇ります。同科を率いる新田順一部長は非常にパワフルな医師であり、「新田医師のもとで経験を積みたい」と全国から医師が集まり、勤務にあたっています。

循環器内科をはじめとして当院の各診療科は、実力を持った医師と、そこに集まる熱意ある医師を中心に構成されており、各診療科が質の高い医療を提供しています。

心臓のカテーテル治療にあたる新田部長

さいたま赤十字病院の強みの1つは、周産期医療です。周産期医療は出産前後の母体・胎児・新生児に関する医療で、病院には緊急性の高いケースへの対応力が必要とされます。

当院は移転の際、埼玉県で2か所目の総合周産期母子医療センター(周産期における高度かつ専門的な医療を提供できる施設)となりました。

当院の周産期医療チームは現在13名の産婦人科医を中心として構成されており、隣接する埼玉県立小児医療センターと協働することで、高度な周産期医療の提供を実現しています。このような体制のもと、母体・胎児・新生児の生命を守る病院として、地域の方々の未来を支えます。

乳児と母親

さいたま赤十字病院の救急医療では、24名の救急医を中心とした救命救急チームを構成し、2次救急(中等症患者さんに対する救急医療)と3次救急(集中治療室を要する重症患者さんに対する救急医療)をおもに行っています。

特にエリア内で病院数の限られた3次救急に関しては、およそ98%の救急搬送を受け入れています。2017年には、厚生労働省により埼玉県で2か所目の高度救命救急センター(高度な診療機能を有する救命救急センター)に定められました。このような変革により、移転前に年間7,000台ほどであった救急車の受け入れ台数は、今後の1年間でおよそ10,000台にまで増える見込みです。

さいたま赤十字病院は2017年4月現在、埼玉県内で唯一ドクターカーを導入している病院です。

ドクターカーとは、重症と判断されたケースに対して出動し、医療資源をいち早く現場へ投入するシステムです。ドクターカーには救急医師・看護師・ナビゲーター・運転手の4名が同乗し、対応にあたります。現在、当院のドクターカーは1か月に100件ほど出動しており、緊急性・重症度の高い患者さんの迅速な救助に力を発揮しています。

ドクターカー

超高齢社会を迎え、日本中で病院の機能分化が盛んに進められています。

病院の機能分化とは、高度急性期(状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療が必要な時期)、急性期(早急な治療を要する疾患・怪我の初期かつ、容体が不安定な時期)、回復期(急性期を脱し、リハビリテーションなどにより身体機能の回復を図る時期)、慢性期(病状が安定しており、長期的な治療を要する時期)、について、患者さんの状態に応じた適切な医療が提供されるよう地域内で連携をとることです。

このような構想のなかで、さいたま赤十字病院は、地域内での高度急性期・急性期病院としての機能を維持しなくてはなりません。そのために私たちは、積極的な退院支援・在宅医療支援を担う総合支援センターを設けています。現在、当院に入院される患者さんの平均在院日数はおよそ12日ですが、総合支援センターの働きによってこの平均在院日数をさらに短縮することが重要だと考えます。そして地域内の病院や診療所と連携し、当院は高度急性期・急性期病院としての機能を発揮できるよう努めています。

さいたま赤十字病院は、全国に340余りある地域がん診療連携拠点病院の1つに指定されています。当院では内視鏡センターを設置し、大腸内視鏡検査やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)など、非常に多くの内視鏡治療を手がけています。

また当院ではがん相談や、がん患者さん・そのご家族が自由に語り合うがんサロン「ほほえみ」を展開しています。今後はがん患者さんへの就労支援なども計画しており、地域がん診療連携拠点病院としてさらに頼りがいのある病院へと発展していく予定です。

さいたま赤十字病院は、5疾病(がん脳卒中、急性心筋梗塞糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療)を中心として組織強化していくことを今後の課題と考えます。

まずは脳卒中当直の医師不足、精神科の常勤医不在について充足を図ります。一方で当院は、急性心筋梗塞に対応する循環器内科や、災害における医療について充実しているため、今後もその強みを維持・強化していきます。

安藤昭彦先生

日本は現在人口減少、高齢化社会の進行とともに、医療資源(医師・看護師・病院など)の不足という問題に直面しつつあり、医療システムが大きく変わろうとしています。そのような変革の1つとして病院が機能分化していくなかで、当院は地域内で高度急性期・急性期の患者さんを受け入れる医療機関の役割を果たす必要があります。そのために、2017年より完全予約紹介制の病院になりました。

当院は病院である以上、職員だれもが困っている患者さんをできる限りサポートしたい気持ちを持っています。しかし一方で、医療資源が有限であることもまた事実であり、病院がそれぞれの役割を果たさなければ、患者さんへの医療提供そのものを継続することが困難になってしまうのです。

当院には地域内の病院と協力し、高度急性期・急性期医療を担う使命があります。地域の方々には、病院ごとの特性・役割を認識し、適切な病院へかかることを推奨し続けてきました。そのおかげで、当院のあり方について今では多くの方々に理解していただき、ありがたく感じています。

これからも当院は、質の高い医療を提供し続け、地域の方々が安心して過ごせる環境作りに尽力していきます。

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