院長インタビュー

かかりつけ医との連携できめ細かな地域医療を実践する市立砺波総合病院

かかりつけ医との連携できめ細かな地域医療を実践する市立砺波総合病院
河合 博志 先生

市立砺波総合病院 院長

河合 博志 先生

目次
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富山県砺波市に位置する市立砺波総合病院は、砺波医療圏(砺波市、小矢部市、南砺市)で暮らす人口約13万人(2019年1月時点)の医療を担う総合病院です。救急医療や周産期医療はもちろんのこと、へき地医療拠点病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、肝疾患診療連携拠点病院などの機能を集約する医療機関として、地域の多様なニーズに応える医療を持続的に提供しています。1948年の開設以来、公立病院として地域の皆さんに寄り添う医療に取り組んできた同院の強みや展望について、院長の河合博志先生にお話を伺いました。

市立砺波総合病院 外観

市立砺波総合病院 外観

地域医療を担う当院では、幅広い医療ニーズをサポートできるよう診療科目を拡充してきました。

内科や外科といった診療科はもちろんですが、先天的な口の病気を治療する口唇口蓋裂センター、女性の骨盤臓器脱の診療などを行う女性骨盤底再建センターなど、特定の病気に特化した新しい診療センターも積極的に開設し、各診療科の技術と経験を結集した横断的な医療を提供しています。

砺波医療圏の高齢化率は32.8%と全国平均よりも高く(2015年) 、今後は国内全体の人口減少に伴い、さらなる高齢化が予測されています。これに併行して救急医療に対するニーズも高まることから、地域の皆さんの命を守る救急医療の充実は当院の重要なテーマです。

当院の救急医療の拡充策のひとつがドクターヘリの受け入れです。富山県では、2015年8月からドクターヘリの運航を開始しました。当院もドクターヘリを積極的に受け入れており、2015年8月から2019年3月までの受入れ件数は338件に達しました。

富山県から搬送される救急患者さんの命を守るべく、救急部と集中治療・災害医療部のスタッフを中心に、脳神経外科、整形外科、循環器内科などとも連携しながら、全力で治療に当たっています。

市立砺波総合病院 ICU

市立砺波総合病院 ICU

当院では新しい治療法も積極的に取り入れています。2017年5月に導入した、ダヴィンチ(内視鏡手術支援ロボット)による外科手術もそのひとつです。

ダヴィンチを使うと患部の機能を温存できる確率が高まることから、患者さんの機能温存のニーズが強い泌尿器科を中心に、各種外科手術で実績を重ねてきました。特に当院でダヴィンチを最初に導入した泌尿器科では、泌尿器のがんに対して、前立腺全摘術、腎部分切除術、膀胱全摘手術などの手術でダヴィンチが活躍しています。

消化器内科では、肝臓がんをはじめ、B型・C型肝炎などの肝疾患の治療に注力しています。当院は2008年に肝疾患診療連携拠点病院の指定を受け、砺波市を中心に周辺地域の肝疾患の患者さんを受け入れています。富山県では、当院のほかに富山県立中央病院が肝疾患診療連携拠点病院の指定を受けており、2病院で協力して富山県の肝疾患に対応しています(2019年9月時点)。日本肝臓学会認定の肝臓専門医も所属しており、B型・C型肝炎の抗ウイルス治療などを実施して肝硬変や肝臓がんなどの病気への進行防止に努めています。

当院が肝疾患の診療に力を注ぐことができるのは、地域の皆さんと地域の医療機関の皆さんに信頼していただき、患者さんをご紹介していただいているからです。今後も肝疾患の治療に尽力していきます。

診療の様子

診療の様子

女性の患者さんに対する医療は、当院でも特に力を注いでいるところです。

分娩、腫瘍性疾患の治療、不妊治療、更年期障害の治療など、産婦人科の全領域をカバーする医療を提供できるよう努めています。また、当院は地域周産期母子医療センターの指定を受けており、女性骨盤底再建センターの診察室や待合室など全てのフロアは女性専用となっています。主に骨盤臓器脱(膀胱瘤子宮脱直腸脱など)と、臓器脱に伴う機能障害(尿失禁、頻尿、便秘など)について、泌尿器科、産婦人科、大腸・肛門外科の3科のスタッフが連携し、診療に当たっています。

2018年4月には乳腺の診療を専門にしている医師を迎えて、乳がん乳腺症といった乳腺、乳房の病気に特化した診療を行っています。当センターで診療を行っている主な乳腺疾患は以下になります。

上記以外にも、当センターでは、乳がん検診で精密検査が必要と診断された方に対する検査も実施しています。

当センターでは、総合病院である強みを生かし、外科や放射線科、緩和ケア科など複数の診療科の多職種スタッフと連携を図りながら、乳がんの診断から治療、そして治療に伴う痛みを軽減させるケアまで行っています。これからも、女性の患者さんに対する治療とQOL(生活の質)の向上を全面的にサポートできる体制を整えてまいります。

患者総合支援センター おあしすでは、患者さんが適切な医療サービスを受けられるように、各部署が連携して以下のような業務を行っています。

  • 地域医療連携室
    かかりつけ医からの紹介、地域医療機関への紹介などを受け持つ
     
  • 入退院支援室
    入退院する患者さんの手続や服薬状況の確認などを行う
     
  • 総合相談室
    病気や治療に関する不安、経済的問題、セカンドオピニオン、福祉制度の利用など、医療に関するさまざまな相談に応じる
     
  • 病床管理室
    入院の受入れを円滑に進める
     
  • 地域包括支援センター(街なか包括)
    要介護認定の申請相談や介護サービス事業所とのパイプ役を務める

砺波医療圏の総合病院として機能する当院にとって、受診される患者さんの診療だけでなく、その前後におけるケアやサポートも重要な役目です。おあしすは、砺波医療圏で暮らす患者さんやそのご家族と関係機関をつなぐ中心となり、安心できる療養生活の実現に向けて活動しています。

医師としてもっとも大切なことは、患者さんから信頼される医師になることです。そのためには研鑽を怠らない姿勢を持ち続けてください。世阿弥が「老後の初心忘るべからず」と説いたように、いくつになっても謙虚な気持ちで学ぶことが一芸に秀でるコツです。

医師が学ぶべきスキルには、医学に関するテクニカルなスキルに加え、患者さんを全人的に捉えるノンテクニカルなスキルもあります。病に苦しむ患者さんは、医師を前にして感情的になる場合もあります。患者さんにあわせて、医師まで感情的になるようではいけません。患者さんには常に優しく寄り添いつつ、頭のなかでは論理的で広い視野で物事を考え、冷静に判断できるよう自分を鍛えてください。

当院がここまで発展してこられたのも地域の皆さんの支えがあったからこそです。これからも、病病連携、病診連携、介護福祉施設との連携を進めながら、砺波医療圏で暮らす皆さんの命を守る病院として、患者さんのニーズに応えられる医療を提供してまいります。今後とも引き続き変わらぬご支援をお願いいたします。

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