院長インタビュー

あらゆる分野のスペシャリストがそろうJCHO仙台病院が誇る先駆的医療と守り続けてきた姿勢

あらゆる分野のスペシャリストがそろうJCHO仙台病院が誇る先駆的医療と守り続けてきた姿勢
田熊 淑男 先生

JCHO仙台病院 院長/腎臓内科医師 医学博士、日本腎臓学会 評議員

田熊 淑男 先生

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この記事の最終更新は2017年08月16日です。

宮城県仙台市青葉区に位置する独立行政法人 地域医療機能推進機構JCHO(ジェイコー)仙台病院は、東北唯一の政令都市である仙台市の中心地界隈において、同市北部の医療を担ってきました。病院の目の前にはバス停も設置されており、仙台駅からの所要時間は20分と、大変利用しやすい施設です。

1952年に創立したJCHO仙台病院の前身は、結核療養所でした。1970年代からは人工透析を導入したことで一気に患者さんが増加しました。次いで腎疾患にも力を入れるなど、着実に病院規模を拡大してきました。

2014年には運営母体が独立行政法人地域医療機能推進機構へと移管され、現在のJCHO仙台病院へと改称されました。地域住民に頼られる総合病院としての機能を有し、なおかつ国内屈指の症例数を誇る腎疾患治療や仙腸関節障害治療を実施しているJCHO仙台病院の特色と今後の展望について、院長の田熊淑男先生にお話を伺いました。

運営母体であるJCHOとは、独立行政法人地域医療機能推進機構の略称です。2014年に国の法改正を受けて、これまで社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院の名称であった全国の病院・施設がひとつのグループにまとまりました。

JCHOは5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)、5疫病(がん脳卒中、急性心筋梗塞糖尿病、精神疾患)、リハビリテーションなどを主軸に、各地域において必要とされる医療や介護の提供を目的として運営しています。国内では57病院のほか、介護老人保険施設や看護専門学校なども運営しており、その活動は多岐に渡ります。

当院は、18の診療科と3つのセンター(腎臓疾患臨床研究センター、創傷ケアセンター、健康管理センター)を設置しており、病床数428床を擁しています。また、腎臓疾患、泌尿器疾患、血管外科疾患、整形外科疾患に注力していることに加えて、特殊外来も充実しています。そのなかでも、腎臓疾患臨床研究センター、創傷ケアセンター、腰痛・仙腸関節センターでは、先駆的な医療を提供しており、県内外を問わず全国から患者さんが来院されています。

腎臓疾患治療のスペシャリストがそろう腎臓内科では、腎臓内科医・専門医・指導医が20名ほど在籍しています。年間の腎生検件数は400件前後であり、全国トップクラスです。腎生検が必須とされているIgA腎症の初診件数も多く、先進的な治療を実施しています。

IgA腎症に対しては扁桃控除とステロイド療法を主体として治療をしてきました。多くのIgA腎症治療に携わってきたことで、尿に異常が現れてから3年以内に治療を開始した場合、80%以上の確率で寛解に持ち込めることがわかってきました。そのため、長年実施してきた当院の治療が、透析患者数の抑制にもつながったのではないかと考えています。

このように、早期治療の重要性と効果が判明されたことで、IgA腎症の治療のみならず、原発性腎疾患に対しても「早期診断と適切な治療の導入により寛解、さらには治癒に導くことができる」という治療方針が確立されました。そのため、腎臓内科では常に完治を目指し、可能な限り透析導入を遅らせることを目標としています。

また、透析シャント狭窄・閉塞のカテーテル手術、慢性腎不全の透析シャント設置術にくわえて、口蓋扁桃摘出手術では耳鼻咽喉科との連携を図っています。このように、あらゆる腎臓疾患に対して、初期治療から腎代替療法など幅広く専門的な治療を行っています。

院内には、透析・血液浄化センターを設置しています。急性腎不全、慢性腎不全に対する血液透析をはじめとして、さまざまな血液浄化療法に対応しています。合併症がある場合は各診療科と密に連携をとって治療しています。血液浄化療法(アフェレシス)は、急性腎不全、急速進行性腎炎、難治性ネフローゼ症候群膠原病敗血症炎症性腸疾患、閉塞性動脈硬化症、コレステロール塞栓症などさまざまな疾患の治療実績があります。

整形外科では一般的な骨折、脱白、腱損傷にくわえて、各分野に専門医を配置しています。専門医を配置しているのは、主に脊椎疾患(腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症)、手の外科的治療(手根管症候群、バネ指、ドュケルバン病、肘部管症候群)、足の外科的治療、肩関節疾患領域です。

また、腰痛・仙腸関節センターには、仙腸関節障害による痛みケアの先駆けの医師も在籍します。仙腸関節障害による痛みとは、骨盤内の仙骨と腸骨で形成される関節が、微妙なズレによって腰痛や下肢への関連痛が多くみられることをさします。下腹部や股関節にかける痛みをともなうことがあるほか、レントゲンやMRIでは異常を見つけられないため、誤診されることが珍しくありません。仙腸関節の痛みは出産に関連する女性特有の痛みと思われがちですが、当院の実績から鑑みるに、老若男女にかかわらず幅広い層に分布していることがわかってきました。

原因がわからない骨盤付近の違和感や、なかなか治らない腰痛、下肢の痛みでお悩みの方は一度、受診をお勧めいたします。

当院の外科には大きく分けて2つの特徴があります。

1つ目は、慢性腎不全を併存した手術の実績です。腎不全に関連する外科手術は、全体の約5割を占めており、腎不全による多数のリスクをコントロールしながら手術する必要があります。このような高度な腎不全に対する外科診療は、宮城県内においてもっとも経験が豊富であると自負しています。また、腎不全の患者さんは全身疾患を併存していることが多く、リスクの高い手術とされます。しかし同科は腎臓内科とも密な連携をとっており、患者さんや地域の医療関係者からも信頼されていると感じています。

2つ目の特徴は、外科のなかに、創傷ケアセンターとフットケア外来を開設している点です。治療の対象としているのは、主に足の慢性創傷で、足(指・足裏を含む)の皮膚潰瘍や壊疽、靴擦れの傷、治らないかかとのひび割れなどです。また、近年は糖尿病や動脈硬化症の増加によって足の慢性創傷を患う方が増えています。足の慢性創傷は、適切な治療を行わずに放置しておいた場合、下肢切断を余儀なくされることがあります。そのため、足の創傷は軽視できません。当センターでは、慢性的な足の傷の原因を精査し突き詰めて、長年培ってきたノウハウを用いて治療から再発予防までを診ています。再発防止のためのフットウェアの作製や、定期的なフットケアのフォローアップも実施しており、できる限り下肢機能の温存に努めています。創傷ケアセンター、フットケア外来では、これらの治療を専門としている医師が中心となり、地域内外から来院される患者さんの「足の健康」を担っています。足の慢性創傷などは早期の診断と治療が重要です。まずはお気軽にご相談ください。

腎臓がんの手術数は全国有数で、症例数は非常に多いです。それ以外の泌尿器科系のがんでも数多くの治療実績があり、泌尿器科に関連するあらゆる疾患を抱える患者さんに対応しています。

泌尿器科が実施する手術で特筆すべきは、腎がん、腎盂尿管がん治療です。当院では、これらの2つの疾患に対する治療手法として、患者さんの負担を考慮した体腔鏡手術を行うことがほとんどです。そのほかの具体的な治療としては、膀胱悪性腫瘍手術、経尿道的手術(電解質溶液利用)、腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術、体外衝撃波腎・尿管結石破砕術なども行っています。

健康管理(検診)センターでは、個人の受診者さまを対象に年間約15,000件の検診を行っています。主な検診は以下です。

また、睡眠時無呼吸検査、BNP(心不全マーカー検査)、PSA(前立腺腫瘍マーカー検査)、アレルギー詳細検査なども実施しています。そのほかにもさまざまな検診設備を整えていますのでお気軽にお問い合わせください。

当院では、病院併設型検診機関としてのメリットをいかし、一般的な検診から精密検査まで一貫して行うことができます。さらに、乳がん子宮がんの場合につきましては、1日の検診で終わらせることができます。

2010年には同市泉区の泉パークタウン内(紫山地区)へ新築移転予定です。現在よりもはるかに高度な設備が整うように計画しているほか、各診療科の人員や診療スペースも十分に確保します。すでに、移転後に常勤医として当院への赴任を希望している医師もいます。新築移転後はもちろんのこと、現在もJCHO仙台病院ではスタッフを募集しています。求める人材としましては、私たちが日々実践している「よりよい治療方針はないか」を考え抜くことができ、攻めの姿勢を持った方です。

当院が長年培ってきた文化として、攻めの姿勢で治療にあたるというものがあります。これは、ガイドラインに沿った標準的な治療のみではなく、常に「今よりもっとよい治療ができないか」を追求し続ける姿勢です。この姿勢を保ちながら、複数の疾患であっても網羅的にみることができるよう、診療分野の拡大にも尽力したいと考えています。

今後も仙台市青葉区地域におけるご高齢の患者さんはますます増加すると見込まれています。ご高齢の患者さんは複数の疾患を抱えるなど合併症を患う方がほとんどです。これらに対応できる、全人的医療を施せる施設作りを目指しています。

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