院長インタビュー

患者さんだけでなく、紹介いただいた医師にも満足してもらえる病院を目指す熊本中央病院

患者さんだけでなく、紹介いただいた医師にも満足してもらえる病院を目指す熊本中央病院
濱田 泰之 先生

熊本中央病院 病院長

濱田 泰之 先生

この記事の最終更新は2017年10月31日です。

国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院は、熊本交通センターからバスで約30分、JR熊本駅からは20分ほどで到着します。1951年に開設され、現在は361床、20診療科を擁する急性期病院です。病院の特徴について、院長の濱田泰之先生にお話を伺いました。

当院は、地域の診療所や病院と相互に協力、連携しながら、入院を中心とした急性期医療を提供しています。毎月1,000人を超える患者さんを地域の医療機関にご紹介いただき、手術や必要な検査・治療を行っています。当院での診察などを終えた患者さんは、ご紹介いただいた医療機関に再び通院いただいています。そのため、地元かかりつけ医の先生方とは密に連携をとっています。

1985年に「心肺センター」を開設し、長らく循環器(心臓や血管)疾患と呼吸器疾患を中心に診療してきました。

心臓と血管の病気は現在、心臓血管外科と循環器科(内科)が担当しています。手術が必要であれば外科、そうでなければ循環器科の医師が診療にあたります。

心筋梗塞などの迅速な治療が求められる病気の場合、心臓血管外科と循環器科に加え、麻酔科医や臨床工学技士とも連携を取り、24時間対応しています。

心筋梗塞に対する治療の決め方は他院と大きく異なると思います。当院ではこれを心臓血管外科と循環器科が相談して決めています。

現在ほとんどの病院では、心筋梗塞に対して手術ではなく、内科による「カテーテル治療」が行われています。カテーテルと呼ばれる管を手や足の血管から入れ、心臓まで届かせて治療する方法です。しかし患者さんによっては、手術のほうが長期の成績はよいことがわかってきました。そのため当院では、カテーテル治療と手術のどちらを選ぶか、外科医と内科医で相談して決めています。

当院では2017年、心臓のハイブリッド手術室を開設します。これにより現在、施行数が飛躍的に伸びている、TAVI(タビ)と呼ばれる治療が可能になります。この治療法を使うと、心臓と大動脈を隔てる弁(大動脈弁)に疾患がある患者さんに、血管の中を通して人工の弁を装着できます。そのため、開胸して手術する必要はありません。

大動脈弁に問題があるにもかかわらず、手術に耐えることが難しいという理由で治療できなかった患者さんには、非常に有効な治療です。

呼吸器の病気は、呼吸器内科と呼吸器外科が、密接に連携しながら診療にあたっています。そのため、呼吸器内科で入院した後、手術が必要になっても、転科の必要はありません。

両科合わせてベッド数は56床で、そのほかに6床の呼吸集中治療室があります。

また、放射線科とも合同のカンファレンスを行い、症例検討や画像診断の技術向上に努めています。

整形外科も、患者さんの多い診療科です。年間850件ほどの手術を行い、脊椎の手術数は県下トップクラスです。

可能な限り体に負担のかからない手術方法を選んでおり、手術の翌日か翌々日には、歩行訓練を開始します。これにより、早期の回復・退院が可能となっています。

泌尿器科は、前立腺がん摘出の手術数が国内でトップになったこともあります。最近は、ダヴィンチなど手術用ロボットによる治療も増えてきていますが、当院では開腹手術を行っています。開腹手術は、手術時間が短く、手術費用も抑えられるので患者さんにとってメリットも多いです。

透析患者さんには、腎臓科と透析アクセス科が連携して対応にあたっています。

透析療法を開始するお手伝いに加え、ほかの病気を併発したり、あるいは透析の際に用いる血液の取り出し口に不具合が生じたり、という透析患者さんにも対応しています。

患者さんが増えてきているため、今後は、透析室を拡張する予定です。

2017年に、新たに乳腺・内分泌外科を開設しました。乳がんと甲状腺・副甲状腺疾患の診断と外科治療を行います。乳がん・甲状腺がん専門の診療科は、熊本県内にはわずかしかありません。そのため、幅広い地域からの患者さんに対応できるようにする予定です。また、セカンドオピニオンにも対応します。

当院は、最先端技術の導入にも積極的です。

たとえば泌尿器科では、希望者に対し「MRIガイド下前立腺生検」を行っております。MRIと呼ばれる画像診断で、前立腺がんと疑われる細胞をピンポイントで採取し、がんか否かを調べます。ほかの検査方法では見つからないがん細胞の存在がわかるため、早期発見にとても役立ちます。日本における導入は、当院が初めてです。

さらに当院の放射線科では、日本ではじめてであり、アジアでも2台目となる「2層検出器スペクトラルCT」という装置が稼働しています。従来のCT検査にあった、さまざまな欠点を克服した機器です。

当院に「2層検出器スペクトラルCT」を導入した放射線科の医師は、画像診断の技術が高いことで有名です。さらに、放射線技師も熱心な勉強家であるため、海外の学会で技師の報告が採択されることもあります。当院では医師のみならず、ほかの医療スタッフにも学会発表の機会があれば、積極的にサポートしています。スタッフが勉強・研究して成果が上がれば、医療の質も上がるためです。

また、かかりつけ医の先生方との勉強会も、盛んに行なっています。「教える、教わる」という関係ではなく、「お互いに勉強し合う」という姿勢で臨んでいます。

当院では初期研修医を毎年8名採用しています。

1年目は、内科系で半年、外科と救急部門、麻酔科で2か月ずつ研修を行います。2年目の必修は救急部門と小児科、産婦人科、精神科、そして地域医療となっています。

指導にあたるのは各部門の部長クラスであり、研修医の先生に実際に経験してもらうことを重視しています。

先生

かかりつけ医の先生や患者さんがお困りの際には、当院にご紹介いただき、その結果、患者さんやご紹介いただいた先生、そして当院スタッフの全員が「よかった」と思える、それが私の理想です。今後もこの理想の実現を目指し、品格のある誠実な医療を提供してまいります。

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