院長インタビュー

地域と強固な連携を結び急性期医療を支える海南医療センターのこれから

地域と強固な連携を結び急性期医療を支える海南医療センターのこれから
池田 剛司 先生

海南医療センター 院長

池田 剛司 先生

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海南医療センターは、和歌山県海南市にある病院です。同院の歴史は、1939年に海南診療所として開設されたことから始まります。1946年に海南市民病院となって以降、病棟改築や増床、診療科の拡大などを経て、2013年に海南医療センターと名称を変更、新築移転し新しいスタートを切りました。

開設以来、診療所から市民病院、市民病院から医療センターへと、病院の形を変えながらも海南市の地域医療を守り続けている海南医療センターは、どのような思いで患者さんの診療にあたっているのでしょうか。2018年3月に名誉院長に就任された山田陽一先生(前・院長)の跡を継ぎ、2018年4月より院長に就任された池田剛司先生にお話を伺いました。

海南医療センター 外観

当センターは急性期医療に特化した総合病院です。和歌山県の近隣の医療機関は、回復期中心の医療に主軸を移す施設が徐々に増えつつあり、急性期病棟の数が減少傾向にあります。そういったことからも、当院は引き続き地域における急性期医療の担い手として尽力していきます。

当センターの内科には、それぞれの分野を担当する常勤医師がいます。日本呼吸器学会認定の呼吸器疾患専門医や日本循環器学会認定の循環器疾患専門医などの各専門医の資格を持つ医師が中心となって、患者さんに対応しています。また、膠原病内科など一部の診療科については、医療連携を結ぶ和歌山県立医科大学より医師を招聘して診療にあたっています。

内科のなかでも特に、呼吸器内科、血液内科、肝臓内科領域の診療は、地域の皆さんに頼りにしていただきたいと考えています。

呼吸器内科では、気管支喘息COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)、各種肺炎、呼吸困難(息切れ)、術後肺がん患者さんのケアと、幅広く呼吸器疾患に対応しています。私自身が日本呼吸器学会認定の呼吸器内科専門医であり、他の医師と共に毎週外来診察を実施しています。

気管支鏡検査を導入したことにより、間質性肺炎や感染症、肺がんなどの病気に対して以前よりも精密な診断ができるようになりました。2018年現在、肺がんの患者さんは和歌山県立医科大学など設備の整った大病院に治療を依頼する場合が多いですが、将来的には呼吸器内科医を増やして院内で肺がん治療を行えるようにしたいと考えています。

血液内科は元来医師数が少ないといわれる分野で、担当医の確保が難しいとされていますが、当院には血液内科医が2名在籍しています。

血液内科では、悪性リンパ腫白血病骨髄腫から血小板減少症、貧血のような病気の診療から、血液検査による検査異常の精密検査まで、多岐にわたる診療を行っています。

海南医療センター 手術室

整形外科では、骨折手術はもちろん、人工関節手術、脊椎疾患である頚椎椎間板ヘルニア腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症に対して、保存的治療・手術治療を中心に治療を行っています。脊椎手術では、ヘルニアによる神経の圧迫を和らげ(除圧術)、手足の麻痺や筋力低下を防ぐことが期待できます。

また、内視鏡下手術を導入したことで、より痛みの少ない手術が可能になりました。低侵襲手術では体の負担が少なく術後の痛みも軽減されるため、高齢の患者さんでも早ければ数日で退院することもあります。

和歌山県海南海草地域は勤務医不足の状態です。少人数で確実に医療を行うためには、病診連携をしっかりと機能させることが大事だと考えています。このためには、地域の開業医と総合病院がスムーズにコミュニケーションを取れる時間を増やす必要があります。

地域内での医療連携を深める目的で、当センターでは「海南地域総合診療セミナー」を定期開催しています。このセミナーでは、地域の医療機関の先生方に当院所属医師とその担当分野をご紹介するとともに、地域から当院へのご要望をお伺いする時間も設けています。

そこで出た意見のひとつが、当センターでの土曜日の救急対応強化の検討でした。地域の開業医の先生は土曜診療を行っていることが多いのですが、当院へ即座に患者さん紹介が難しいと声をいただいたのです。

セミナーで実際に出た意見を参考に、2018年7月から土曜日の救急強化を開始しました。結果として地域から当院への紹介率が上がり、病診連携をより強固なものにできたと感じています。

当院所在地は海が近く津波浸水区域に設定されており、巨大地震が発生した場合、災害が起こる危険性が高いことが予測されます。

当センターは災害支援病院の指定を受けており、災害が起こった場合には、他の災害拠点病院でトリアージされた患者さんの一部を当院で受け入れにあたります。

そのため、いつ来るかわからない地震災害に備えて、当センターでは現時点から地域との連携を進め、災害対策用のチームを作っていく必要があると考えています。

たとえば在宅で人工呼吸器を使用している患者さんや酸素吸入を行っている患者さんのご自宅で停電が発生した場合、近隣の医療施設が駆け付け、救急措置を当院や拠点病院で引き受けるなどの仕組みづくりが大切になります。この点についても、地域との連携を進めていきたいと考えます。

海南医療センター 

当センターは地域密着型の病院です。地域医療の担い手として、地域の皆さんの生活を支えると共に、限られた人員ではありますが、可能な限り急性期・救急治療に対応できるよう日々の診療にあたっています。

また、患者さんができる限りストレスなく、何でも相談できるような明るい雰囲気を作っていきたいと考えます。そのためには、病院で活躍するスタッフが働きやすい環境を整えることも院長の務めです。病院の雰囲気がよければスタッフから患者さんへの細やかな気遣いもさらに向上し、満足していただける医療に近づけるでしょう。

当センターは和歌山県の急性期医療を支える総合病院です。内科ひとつをとっても、呼吸器内科から血液内科、肝臓内科、膠原病内科など様々な分野の病気を診ることができる*ため、若手医師の皆さんにとってオールラウンドに経験を積むことができる環境です。今後は呼吸器内科、消化器内科、循環器内科を中心に医師数を増やし、より多くの患者さんを診られる病院に進化しようとしています。あらゆる分野の先輩医師から臨床指導を受けられるでしょう。

また、医療技術だけではなく、患者さんや仲間たちと密にコミュニケーションをとって信頼関係を築くことも重要です。業務レベルの会話にとどまらず、雑談をして笑いあうような仲を目指して、積極的に話しかけていってほしいと考えます。

呼吸器内科、血液内科、肝臓内科、膠原病内科、循環器内科、糖尿病内科、腎臓内科については和歌山県立医科大学などより医師を招聘して診療を行っています。

当センターは内科を筆頭に診療科が充実しており、あらゆる病気に対する相談を受けつけています。当院が担う救急・急性期医療に関しても、現状に満足せずこれから一層強化していきたいと思っています。地域の皆さんに信頼していただける病院を目指して、努力を続けていきます。

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