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COPDの原因・症状・検査方法――原因の多くは喫煙

COPDの原因・症状・検査方法――原因の多くは喫煙
杉山 温人 先生

国立国際医療研究センター病院 院長

杉山 温人 先生

目次
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COPD慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)とは、喫煙によって肺が壊れていき、咳や(たん)、呼吸困難などの症状が現れる病気です。似た病気である喘息(ぜんそく)とは、どのような点が異なるのでしょうか。また、近年ではCOPDを肺だけの病気ではなく、全身疾患と捉える考え方が注目を集めています。それはなぜなのでしょうか。

今回は、国立国際医療研究センター病院の院長である杉山 温人(すぎやま はるひと)先生に、COPDの原因や症状についてお話しいただきました。

COPDとは、分かりやすくいうと“たばこによって肺が壊れていく病気”です。喫煙によって肺の中の気管支に炎症が起こったり、肺胞(はいほう)(小さな袋状の組織)が壊れたりすることで、呼吸困難などの症状が現れるようになります。

肺

COPDと似た病気として、喘息*があります。喘息はさまざまな原因により突発的に気管支が収縮して呼吸困難を起こす病気ですが、喘息の場合は治療によって、呼吸機能を可能な限り正常に戻すことができます(可逆的)。一方、COPDは、一度発症すると治療を行っても正常に戻らない点(不可逆的)が特徴です。

気管支喘息の原因や症状について詳細はこちら

日本で2001年に実施されたNICE(Nippon COPD Epidemiology)スタディ*という疫学調査では、日本のCOPDの患者数は500万人以上と推定されました。特に、喫煙者の多い40歳代以上の男性に多いと考えられています。また、WHOはCOPDによる死亡率が今後高くなると予測しています。

NICE(Nippon COPD Epidemiology)スタディ:2001年に行われた、40歳以上の男女2,666人のデータによる大規模疫学調査

日本の場合、COPDの原因のほとんどが喫煙とされています。これには、受動喫煙も含まれます。たとえば、ご主人がたばこを吸っているご夫婦の場合、奥さんがCOPDにかかるケースがあります。

1日1箱(20本)を20年以上喫煙されている方は、COPDになるリスクが上昇することが分かっています。そのため、40歳以上で、若い頃から毎日喫煙しているような方は、呼吸機能検査を受けることがCOPDの早期発見につながるといえます。しかし、現状では検査を受ける機会がないために、発見が遅れるケースも多いと考えられています。

電子たばこもCOPDの原因になる?

近年では、電子たばこを吸う方も増えてきています。2019年6月現在、日本呼吸器学会は、日本で流通している電子たばこには健康に悪影響をもたらす可能性があるとの見解を示しています。そのため、現時点では電子たばこの安全性が確認されておらず、COPDにつながる可能性を否定できないため禁煙が推奨されています。

COPDの主な症状は、咳や痰、労作時呼吸困難です。労作時呼吸困難とは、安静時にはなんともなくても、階段や坂道の上り下りなどの軽い運動によって、呼吸しにくい感じ、息切れ、息苦しさが現れる症状を指します。COPDには、主に咳・痰の症状が現れるタイプと、労作時呼吸困難の症状が現れるタイプがあります。

たばこを吸う方は普段から咳・痰の症状が出やすいため、COPDで咳・痰の症状が現れても病気だと気付かないことが多く、労作時呼吸困難の症状で受診される方が多いようです。たとえば、「普通の人と同じように歩けなくなった」「階段や坂を上ることが苦しくなった」などと訴え、受診される方がいらっしゃいます。

ただし、労作時呼吸困難の症状は、単なる老化だと勘違いされることも多く、受診されない方も少なくありません。

COPDと喘息の呼吸困難の症状には、次のような違いがあります。

  • COPD:たとえ重症になっても安静にしているときには症状が現れない
  • 喘息:安静時でも発作を起こすことがあり、息苦しくなる

近年では、COPDを全身の病気と捉える考え方が注目されています。それは、COPDが肺以外の病気と関連することがあるからです。

たとえば、COPDによる呼吸困難が原因で外に出る機会が減ることで、うつ状態になったり、体を動かさなくなることで、骨粗しょう症サルコペニア*ロコモティブシンドローム*になったりすることがあります。

このように、肺以外の病気にもつながり得るため、最近はCOPDを全身の病気と捉えるようになってきています。

*サルコペニア:筋肉量が減少し、身体機能が低下する状態

*ロコモティブシンドローム:骨や筋肉などが衰えることによって“立つ”“歩く”といった機能が低下し、要介護になるリスクの高い状態

COPDの検査では、呼吸機能検査を行います。

  • 1秒量:息を吸った状態から一気に吐いたときの1秒間の呼出量(どれだけ息を吐けるか)
  • 努力性肺活量:息を最大限吸った状態から、最大限吐いたときの呼出量

呼吸機能検査では、1秒量がこの努力性肺活量の70%を切ってしまうと、呼吸機能に障害があるとみなします。

喘息の場合は、気管支拡張薬を吸入して検査を行えば1秒量は改善します。しかし、COPDの場合は、気管支拡張薬を吸入しても1秒量はあまり改善されません。

X線、CTによる検査もありますが、全てのCOPDの患者さんに画像による変化が見られるわけではないため、あくまで参考として用いられます。

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