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大動脈弁閉鎖不全症とはどんな病気?心臓弁の異常について
大動脈弁閉鎖不全症は、心臓の弁の異常によって起こる病気です。この病気にかかってしまった場合、具体的にどのような治療が行われるのでしょうか。この記事では、さまざまな治療方法について説明します。大動...
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大動脈弁閉鎖不全症とはどんな病気?心臓弁の異常について

公開日 2015 年 07 月 05 日 | 更新日 2018 年 02 月 09 日

大動脈弁閉鎖不全症とはどんな病気?心臓弁の異常について
田端 実 先生

東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科部長

田端 実 先生

小船井 光太郎 先生

東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科部長

小船井 光太郎 先生

渡辺 弘之 先生

東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長

渡辺 弘之 先生

大動脈弁閉鎖不全症は、心臓の弁の異常によって起こる病気です。この病気にかかってしまった場合、具体的にどのような治療が行われるのでしょうか。この記事では、さまざまな治療方法について説明します。

大動脈弁閉鎖不全症にはどのような治療法がある?

軽症の大動脈弁閉鎖不全症の場合、心機能が良好で症状がなければ、内科的治療は不要です。病気の重症化に伴って、心拡大や心機能低下があれば内科的治療(薬物治療)が開始されます。同時に、手術をするかどうかについて検討が始まります。
病気の重症化の指標は、自覚症状だけではありません。無症状の間に悪化することがあるからです。薬では大動脈弁閉鎖不全症そのものを治すことはできないので、いつ手術(外科的治療)をするかということが最も重要です。以下に、内科的治療と外科的治療について説明をします。(渡辺)

大動脈弁閉鎖不全症の内科的治療について

内科的治療の目的はあくまでも症状の一時的な改善であり、病気そのものを治していくことは期待できません。また、どのような場合に内科的治療をするかということについては、厳格な基準はありません。
心拡大傾向、心機能低下傾向があれば、利尿剤(腎臓の働きを高め、尿が出やすくする薬)などを投与します。同時に高血圧症があれば、心臓の負担をへらすために降圧薬(血圧を下げる薬)を開始します。(渡辺)

大動脈弁閉鎖不全症はどのような場合に外科的治療を行う?

逆流が重度で、息切れ(坂道や階段などで呼吸に苦しさを感じる息が切れる)などの症状があれば、早期に手術を行う必要があります。症状がなくても、心臓が拡大していたり、心臓の収縮する力が低下していれば、手術が必要です。
すべての弁膜症に共通することですが、手術を行うタイミングを逃さないことが大変重要です。タイミングが早すぎると、必要のない手術をすることになりえますし、手術をするリスクが手術をしないリスクを上回ることもあります。一方、タイミングが遅すぎると、たとえ手術が成功しても健常な人と同じ予後(寿命など)が得られなかったりすることがあります。さらにタイミングを逃すと治療の手がなくなることもあります。定期的に診察や検査を受けて、医師に治療のタイミングについて相談しましょう。(田端)

大動脈弁閉鎖不全症の外科的治療方法

大動脈弁閉鎖不全症には、基本的に3つの外科的手術があります。「大動脈弁置換術」、「大動脈弁形成術」、「大動脈基部置換術(人工弁使用と自己弁温存があり)」です。以下にそれぞれの特徴や、どのような場合にどれを選択するかについて説明します。

大動脈弁置換術

大動脈弁置換術とは、傷んだ大動脈弁を切り取って、人工弁を植え込む手術です。大動脈弁閉鎖不全症では標準的で最も確実な手術法です。人工心肺という機械を装着して、心臓を止めて行います。胸骨を縦に切って行うのが通常ですが、胸骨を半分だけ切る方法や肋骨の間から行う方法もあります。手術時間は2~3時間です。

大動脈弁形成術

大動脈弁形成術は、自分の弁を温存して(切り取ってしまわず)、逆流の原因となっている部分を修復する手術です。近年増えていますが、弁置換術ほど長期的な成績は明らかになっていないのが現状です。弁置換術に比べて難易度が高く手術時間が長くなります。また長期的に逆流が再発してくる可能性があります。抗凝固薬のワーファリン(血液をさらさらにする薬)内服がまったく不要であることが利点です。若年者で弁の傷みが軽度の場合などは、この大動脈弁形成術のよい適応となります。
僧帽弁手術 記事4『僧帽弁閉鎖不全症の治療方法』では弁形成術のほうが弁置換術よりも手術後の心臓機能や予後が良いことがわかっていますが、大動脈弁手術では弁形成術のほうが優れていると証明されているわけではありません。

大動脈基部置換術

大動脈弁の逆流に大動脈基部(大動脈の付け根)の拡大や瘤化が伴っている場合、大動脈基部を人工血管に交換する手術が行われます。同時に大動脈弁を人工弁に換える方法(ベントール手術)と自分の大動脈弁を温存する方法(デービッド手術、ヤクー手術など)があります。一般的に弁の傷みが重度の場合は前者、軽度の場合に後者が選択されます。(田端)

大動脈弁閉鎖不全症の手術に費用はいくらかかる?

全ての手術法で高額療養費制度が適用されます。自己負担額は年齢や収入によって変わりますが、5万円から20万円ほどになります。(2015年時点)(田端)

大動脈弁閉鎖不全症の手術後の経過について

手術後の経過は、手術前の状態や手術による合併症の有無によって変わります。手術前の状態が良くて合併症がなければ、手術後約1週間で退院できます。
また、個人差がありますが、手術後数週間~数カ月で職場復帰ができるほどに回復することが多いです。手術前の状態が悪かったり合併症がおこると、入院が長くなり社会復帰も遅れます。(田端)

2種類の人工弁―機械弁と生体弁

大動脈弁置換術や、大動脈基部置換術のうちのベントール手術では、自分の弁を切除して人工弁を植え込みます。人工弁には、機械弁と生体弁の2つのタイプがあります。

機械弁

カーボンでできた弁で、2枚のディスクが回転することで開閉します。

メリット

耐久性が優れており、基本的には一生モノです。

デメリット

血栓という血の固まりがつきやすいので、ワーファリン(血液をさらさらにする薬)を生涯飲み続けなくてはなりません。ワーファリンを飲むと血が固まりにくくなるため、副作用として出血が起こりやすくなってしまいます。高齢者の方は特に注意が必要です。
また、基本的には一生モノですが、感染が起こったり、血栓がつくことが稀にあり、その場合は手術をして、再度弁を付け替えることもあります。

生体弁

牛や豚の組織をもとに作られた弁で、ヒトの大動脈弁と同様に3枚のフタが開閉します。

メリット

血栓がつきにくくワーファリンを飲む必要がありません。手術後3ヶ月間だけ飲むことが多いです。

デメリット

機械弁に比べると耐久性が劣ります。
15〜20年は持つことが多いですが、若い方の場合は10年以内に傷んでくることがあります。人工弁の傷みが激しくなったら、手術で再度弁を付け替える必要があります。

以上のようなメリット、デメリットから、基本的には高齢の方には生体弁、若い方には機械弁という使い分けをします。
しかし近年、若い方でもワーファリン内服を避けたいという理由で生体弁を選ぶ人が増えています。全体的に高齢の患者さんが増えていることもあり、生体弁を使用する頻度がかなり多くなっています。
人工弁の価格はおよそ80~100万円程度です。(2015年時点)高額療養制度が適用されるので、使用する人工弁の種類で自己負担額は変わりません。(田端)

 

東京大学医学部、ハーバード大学大学院卒。コロンビア大学や榊原記念病院で数多くの心臓手術を執刀し、2013年10月に東京ベイ・浦安市川医療センターで心臓血管外科を立ち上げ、3年目にして年間400例以上の心臓・大動脈手術を行うチームとなった。内視鏡下の低侵襲心臓手術 (MICS)は日本全国・海外からも外科医が見学に訪れるほど。TAVI指導医としても活躍している。

アメリカにて一般内科研修医から循環器内科・カテーテルインターベンション専門医までの正規トレーニングを積み、世界最高峰のコロンビア大学病院にてカテーテルインターベンション医として活躍。東京ベイ・浦安市川医療センターにハートセンター立ち上げ、グローバルな視点でカテーテル治療・循環器診療に新たな風を吹き込む。

1960年千葉県生まれ、弘前大学医学部卒業。東京ベイ浦安市川医療センターのハートセンター長として診療科や専門領域の垣根を越えたチーム医療を実践している。科学的なエビデンスに基づいた医療を提供することに加え、その治療内容を患者さんに分かりやすく丁寧に説明することに注力している。

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