インタビュー

心電図とはなにか

心電図とはなにか

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

香坂 俊 先生

健康診断で心電図に異常が見つかったという経験のある方は意外に多いようです。具体的に心電図ではどんなことが分かるのでしょうか。アメリカでの診療経験を経て、帰国後は慶應義塾大学医学部の医療科学系大学院で循環器専門医の教育に携わっておられる香坂 俊先生にお話をうかがいました。

心電図は何を測っているか

身体の中のあらゆる筋肉は、ごく微弱な電流が流れると収縮するようにできています。それはあらゆる生物に共通の現象で、カエルであっても人間であっても変わりません。

そして身体の中で唯一、心臓だけが体を動かしていなくとも定期的に微弱な電流を発し続けています(心臓の収縮は死ぬまで止まらないのでアタリマエですが)。つまり、心臓は1分間に60〜80回ほど灯台が光るように一定の間隔で微弱な電流を発していて、それを心電図は東西南北の方向から眺めていると考えていただくと分かりやすいでしょう。たまに誤解される方もいらっしゃるようですが、心電計や身体につける電極そのものが電気を発しているというわけではありません。

注意すべき点としては、腕や脚などの筋肉を動かしてしまうと、心電計はその部分の電流も拾ってしまうため、心電図をとっている間は動かないようにしていただく必要があるということです。

心電図からわかること

心臓での電流の流れ方は独特です。ほかの筋肉は、脳からの指令が神経を伝わり、神経末端がスイッチを入れないと筋肉に電流は流れませんが、心臓の場合は自動的に(脳からの指令がなくとも)1分間に60〜80回、電流が勝手に流れるように設定されています。

そして、哺乳類の心臓の拍動は二段階になっていて、まず入り口にある小さい方の「心房」と呼ばれる小部屋が1回、そして下の方の大きい「心室」が続いてもう1回という順に動きます。その心房と心室が共同してイチ・ニ、イチ・ニと動くのを心電図で拾っています。私たち医師は心電図で最初に、そのイチ・ニ、イチ・ニというリズムが崩れていないかどうかを診ます。このリズムが崩れていなければ、まず不整脈など拍動のリズムに関係する病気はないということが分かります。

若い方にはあまりみられませんが、高齢の方になると小部屋の方の心房の動きがなくなってしまう方がいらっしゃいます(いわゆる心房細動という現象です)。このような異常が疑われるときに心電図は力を発揮します。

心臓に電気が入り、そしてその後に電気が切れることを専門用語で「脱分極」と「再分極」といいます。電気が入ると心臓の内側から外側へ電位がプラスに広がっていきます。逆に切れるときは、外側から内側へマイナスに戻っていきます。その電気の入り方や切れ方が狂っていないかどうかということも、心電図を診るうえで重要です。狭心症心筋梗塞などといった心臓の血管の病気で十分に血液がいきとどいていないとこうした異常が起こります。

以上のことをまとめると、心電図を診るときの2つのチェックポイントは次のようになります。

  • 心房と心室の収縮のタイミングやリズムの乱れがないか:不整脈
  • 脱分極と再分極(電気の入り方、切り方)に異常がないか:狭心症や心筋梗塞など血流の問題

これらを調べることが心電図の大きな役割です。

ホルター心電図とは

通常の心電図で計れるのは10秒間と短時間なので、心電図をとったときに不整脈が出るとは限りません。そこで、24時間心電図をとり続けてみようという目的でホルター心電図を用います。実際に発作性の心房細動(心房細動になったりもとにもどったりするような病態)を見つける場合には、ホルター心電図が威力を発揮します(それでも半分以上は見逃してしまいますが)。

ノルウェーでの最近の研究では、75歳以上の人たちに無償でスクリーニングの検査を1週間実施したところ、3日目でようやく70〜80%の人が検出され、その後2週間まで続けると約90%検出できたという報告があります。

すべての人にこのようなことを行えるわけではありませんが、1回の心電図で見つけることができる不整脈には限界があるということは知っておいて損はないでしょう。1回の異常がなかったとしても、症状が続くようなケースでは特別な措置が必要となることがあります。

  • 慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

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