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整形内科 理学療法・鍼灸療法 (1)
運動器疾患の治療における重要な点は、臨床的触診で関節周囲の軟部組織(腱、靭帯、筋膜、脂肪など)の圧痛点(圧迫したとき、特に痛みを感じる部位)を把握することです。東洋医学と西洋医学のどちらの観点で...
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整形内科 理学療法・鍼灸療法 (1)

公開日 2016 年 03 月 29 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

整形内科 理学療法・鍼灸療法 (1)
銭田 良博 さん

株式会社ゼニタ代表取締役 /特定非営利法人名古屋整形外科地域医療連携支援センター理事・事務局長/ 医療法人明照会千種さわやかクリニックリハビリテーション科顧問

銭田 良博 [監修]

運動器疾患の治療における重要な点は、臨床的触診で関節周囲の軟部組織(腱、靭帯、筋膜、脂肪など)の圧痛点(圧迫したとき、特に痛みを感じる部位)を把握することです。東洋医学と西洋医学のどちらの観点で治療方針を決めていくにしても、最初に、どの軟部組織に圧痛があるのかを解剖学的に明らかにすることが重要です。今回は、圧痛点を探すために行う臨床的触診と、膝関節の骨指標の触診についてご紹介していきたいと思います。

臨床的触診とは

「臨床的触診」とは、痛みを引き起こしている動作の原因となっている軟部組織(①表皮②真皮③皮下の脂肪層④動脈、静脈⑤リンパ⑥深部の筋膜⑦筋肉⑧筋腱移行部⑨腱⑩靭帯)を、体を直接触り解剖学的に明確にすることです。臨床的触診技術は、触診だけでなく、セラピストの徒手的治療技術を向上させることも目的としています。また、運動器疾患以外にもさまざまな疾患の異常部位の特定に有用です。臨床的触診技術にエコーを活用する際には、様々な利点と課題があります。

エコーを活用する利点

・層構造になっている軟部組織をミリレベルで確認できるため、主観により圧痛点を判断する要素が強い触診技術を可能なかぎり客観的なものにすることができる。

・最短の時間で、最大限の臨床的触診技術と徒手的治療技術の向上が見込める。

・解剖学的に軟部組織を明らかにすることは、西洋医学によるアプローチと東洋医学によるアプローチを交わらせる概念になりえる。

・治療する前と後のエコー画像を診ることで、徒手的治療や鍼灸療法の効果を視覚的に確認することができる可能性が考えられる。

エコーを活用するうえでの課題

・断面図の解剖学的知識を習得することが必須となる。

・エコーを使いこなすために技術が必要となる。

・以前に比べて安くなっているものの、エコーは容易に購入できるほどの金額ではない。

膝関節の骨指標の触診

軟部組織の臨床的触診を習得するには、骨指標の触診ができるようになることが必須です。例えば、膝関節の触診に必要な骨指標として、以下が挙げられます。

①膝蓋骨

②大腿骨内側顆

③大腿骨外側顆

④脛骨内側顆

⑤脛骨外側顆

⑥脛骨外側結節(ガーディー結節)

⑦脛骨高原

⑧大腿骨内側上顆:内側側副靭帯の付着部

⑨大腿骨外側上顆:外側側副靭帯の付着部

⑩内転筋結節:大内転筋の付着部

⑪腓骨粗面

⑫腓骨頭

⑬内側関節裂隙

⑭外側関節裂隙

⑮膝蓋大腿関節

数が多く名前も非常に難しいですが、膝を触診するということは、これらの部位をもとに痛みの部位にあたりをつけているということをわかっていただければと思います。 

運動器疾患は、臨床的触診により圧痛点を把握し治療に向かっていくことが回復へのカギであり、まだまだ課題はあるものの、そこにはエコーが多大な貢献をしているのです。

膝関節の軟部組織の触診

ご紹介した通り、軟部組織の臨床的触診を習得するには、骨指標の触診ができるようになることが必要です。そのため、骨指標の触診を体表に書き、解剖の断面図とエコー画像を見比べて軟部組織の層構造を理解した上で軟部組織の触診を行います。その際、確認するのに特に重要な軟部組織は、各部位ごとに以下の通りです。

膝前面 

大腿直筋、膝蓋靭帯、膝蓋下脂肪体、腸脛靭帯付着部

膝後面

腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭、腋窩筋、下腿筋膜

膝内側面

内側広筋、縫工筋、薄筋、半腱様筋、内側側副靭帯、

内側半月、下腿筋膜、腓腹筋内側頭、ひらめ筋

膝外側面

外側広筋、腸脛靭帯、大腿二頭筋、

外側側副靭帯、外側半月、腓腹筋外側頭、

ひらめ筋、前脛骨筋、長腓骨筋

上記の軟部組織を触診する際、解剖の断面図とエコー画像をミリレベルで検討することで、皮膚、筋膜、筋線維、筋腱移行部、脂肪、骨を触診にてそれぞれ確認できるようになります。同時に、骨指標に付いているさまざまな軟部組織の圧痛点を明らかに確認できるようになります。その際、主観的になっても構わないので何ミリ圧迫した時に圧痛が生じるかを調べ、エコーでその深さにおける軟部組織に異常があるかどうかと触診以外の検査結果とを照合し、理学療法や鍼灸療法を行うことが適切です。

膝関節において臨床的触診以外に必ず行う評価

問診、視診、聴診、膝蓋骨の可動性、膝蓋跳動(膝関節内に液体が貯まっているかどうかを調べる検査)、外反・内反ストレステスト(それぞれ内側側副靭帯、外側側副靭帯に損傷がないかどうかを調べる試験)、FTA(大腿骨と脛骨がなす角度)、関節可動域テスト、徒手筋力テスト、関節弛緩性テスト、姿勢および動作の分析、痛みが起きる動作の再現、日常生活動作、日常生活に関連した動作など、病態を正しく判断するために必ず行う必要があります。

まとめ

運動器疾患の治療は、まず臨床的触診によりどの部位に圧痛があるかを探り、その結果と触診以外の検査を照らし合わせて病態を特定し、必要な治療を行っていくという流れが掴めたのではないでしょうか。それからさらに、エコー検査と組み合わせることで、「なんとなく」ではなくピンポイントで異常のある部位がわかるということは驚きですよね。特に鍼灸療法は「科学的でないのでは?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、科学的な診断が下されることで、理学療法・鍼灸療法の必要性や有効性はさらに増していくかもしれません。

 


この記事は南山堂「THE 整形内科」の内容を元に、一般の生活者/患者さん向けに再構成しています。

「THE 整形内科」ではいま注目を集める筋膜性疼痛症候群(MPS)、筋膜リリースをはじめ慢性疼痛に対する様々な内容が記載されていますので、医療従事者で興味のある方はぜひこちらをご覧ください。

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理学療法士と鍼灸師の資格を活かして臨床・教育・研究・経営を実践することがライフワークである。臨床は「スポーツ傷害に対する究極の保存療法の確立」、教育は「超音波エコーを活用した臨床的触診法」、研究は「筋膜の硬度の定量化」、「Fasciaに対する解剖生理学的研究と理学療法」、経営は「はりきゅう・マッサージ・リハビリテーションを中心とした地域密着型のビジネスモデルの確立」がテーマである。