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便失禁の治療-多くの方が保存的治療によって改善される
便失禁の治療では、手術などの外科的治療を行なわなくても、保存的治療によって多くの方に改善がみられるといわれています。国際医療福祉大学教授・山王病院外科副部長の高尾良彦先生に便失禁の保存的治療につ...
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便失禁の治療-多くの方が保存的治療によって改善される

公開日 2016 年 01 月 28 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

便失禁の治療-多くの方が保存的治療によって改善される
高尾 良彦 先生

国際医療福祉大学 教授/医療法人財団順和会山王病院 外科 副部長

高尾 良彦 先生

便失禁の治療では、手術などの外科的治療を行なわなくても、保存的治療によって多くの方に改善がみられるといわれています。国際医療福祉大学教授・山王病院外科副部長の高尾良彦先生に便失禁の保存的治療についてお話をうかがいました。

生活習慣の改善

便意があまり感じられなくても決まった時間にトイレに行くようにするなど、食事や排便などに関する生活習慣を見直すことで、生活に支障がない程度に便失禁の症状が改善することがあります。関連記事「便失禁の原因-複数の要因が重なり合って生じる」でも述べたように、直腸内に便がたまっていることが脳にうまく伝わっていない場合でも、定期的に排便をして直腸内に便がない状態にすることで失禁を防ぐことができます。

食事指導

  • 食物繊維を多く含んだ食品を摂る
  • 過度の飲酒やカフェイン、刺激物などを控える

下痢と便秘を繰り返すことは便失禁を招く要因となります。便の状態が水っぽい水様便であれば、排便を我慢することが困難になるからです。食物繊維を多く含む食品を積極的に摂り、下痢をしやすくなるものを避けることによって便の性状を整えることが大切です。

薬物療法

整腸剤で腸の運動を整えるほか、下剤で直腸を空っぽにすること(浣腸・洗腸・座薬なども含む)も治療として有効です。

  • ポリカルボフィルカルシウム(商品名:コロネル®、ポリフル®)

下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)に用いられる薬で、ポリカルボフィルという高吸水性ポリマーがカルシウムと結合しているものです。服用すると胃の中でカルシウムが外れ、ポリカルボフィルとして作用します。下痢の時は過剰な水分を吸収して、また便秘の時は腸内で水分を保持することで便の性状を整えます。ストレスによる過敏性腸症候群などが背景にある切迫性便失禁の場合、肛門側の機能に問題があるわけではありません。そういった場合には薬の服用によって便の性状が安定することをきっかけに、排便のコントロールができるようになることも少なくありません。その後は食事内容や生活習慣に気をつけながら薬をやめていくことも可能です。

  • トリメブチンマレイン酸塩(商品名:セレキノン®)

ストレスなどで過敏になり胃腸の働きに異常が生じたとき、その動きを正常化する薬で、過敏性腸症候群に効果があります。薬剤そのものの作用だけでなく、服用のために朝余裕を持って起床し、排便を済ませてから出勤するという生活サイクルの改善によって、より大きな治療効果をもたらすことがあります。

理学療法

  • 骨盤底筋体操

骨盤の中で内臓を支えている骨盤底筋(こつばんていきん)の筋力が低下すると、尿意や便意を我慢する力が弱まります。尿道・肛門・膣を締めたり緩めたりすることを繰り返し行います。衰えた筋力を向上させるには継続的なトレーニングが必要です。

  • バイオフィードバック

肛門だけに力を入れることができず、お腹全体に力が入ってしまうと、逆にいきんで排泄を促すことになってしまう場合があります。表面筋電図と呼ばれる装置や肛門内圧を計測するセンサーを挿入し、計測結果を視覚的に確認しながら、肛門を締めるのに必要な力の入れ方を体で覚えます。最初は外来でPCの画面を確認しながら患者さん自身に肛門の締め方を理解していただき、その後はポータブルな計測機器を使用して自宅でトレーニングを行ないます。

バイオフィードバックに使用する機器(旧型)

 

 

バイオフィードバックに使用する機器(新型)

海外ではバイオフィードバック用の機器が普及しており、さまざまな種類がありますが、日本国内で入手できるものは限られていました。今後は日本でもニーズに合った製品を治療に活用できる環境が整備されていくことが期待されています。

 

わが国では数少ない排便生理機能検査設備を駆使して大腸・小腸の通過時間、肛門内圧、直腸感覚の測定や排便造影、ダイナミックMRI、経肛門超音波検査などから便秘や便失禁などの機能性疾患の病態を診断するエキスパート。治療はバイオフィードバックなどの保存的治療から、便秘の原因になる直腸瘤や直腸重積の経肛門的手術(STARR)、腹腔鏡下結腸全摘手術、便失禁に対しては仙骨神経刺激装置植込み手術(SNM)などの低侵襲手術までを行なっている。