インタビュー

動脈管開存症のカテーテル治療

動脈管開存症のカテーテル治療
富田 英 先生

昭和大学病院  小児循環器・成人先天性心疾患センター センター長

富田 英 先生

この記事の最終更新は2016年02月03日です。

「動脈管開存症の治療-薬物治療と手術の選択について」では、3種類の治療法のうち薬物治療と外科治療についてご説明しました。本記事では、カテーテル治療について昭和大学横浜市北部病院 循環器センター センター長の富田 英(とみた ひでし)先生にお話しいただきます。

動脈管の一番小さな直径が2mm以下では、コイル閉鎖術が選択されることが多く、直径2mm以上の場合はアンプラッツァー動脈管開存閉鎖システムを用いた閉鎖術もしくは外科的手術が行われます。

胸部の皮膚を切って開くことなく、カテーテルを用いて閉鎖栓を運び動脈管開存を閉鎖します。対象となる患者さんは以下のとおりです。

  • 心エコーやCTなどの画像検査により動脈管開存症と診断された方
  • 動脈管の最小径が2mm以上12mm以下であること
  • 大動脈縮窄症などの動脈管開存以外の外科治療を必要としない方

エックス線装置で心臓を、心電図モニターで心拍を観察します。足の付け根から大腿静脈を穿刺し、カテーテルを挿入できる管を入れます。心臓カテーテル検査で動脈管の造影を行い、動脈管の形を映し出しサイズを測ります。測定結果をもとに適切なサイズの閉鎖栓を選択して使用します。

術後の合併症には次のようなものがあります。

  • 閉鎖栓の脱落

閉鎖栓を置く位置が悪いと栓がはずれてしまい、大動脈や肺動脈をふさいでしまうケースがあります。ほとんどの場合、24時間以内にわかります。

  • 肺動脈や大動脈の狭窄

閉鎖栓が患者さんの肺動脈や動脈管のサイズに合わず、飛び出してしまうことで起こるものです。飛び出した閉鎖栓が肺動脈や大動脈をふさぎます。

これらの合併症の頻度は多くありません。しかしこれらの合併症が起こった場合には、特殊なカテーテルを用いた閉鎖栓の回収や外科的手術が必要となります。

小さな動脈管に対しては、着脱できる「Flipper®(クックメディカル社製)」などの金属コイルを用いた塞栓術が用いられることが多くあります。しかし動脈管が太くなるとコイルの脱落などの合併症もまれでなくなるため、動脈管最小径が2mm以下の場合に用いられます。アンプラッツァー動脈管開存閉鎖システムが可能な場合はそちらを選択しますが、アンプラッツァーを通す管が動脈管に入らないほど細い場合(1.5mm以下)はコイル閉鎖術を行います。

コイル閉鎖術はアンプラッツァーを用いた閉鎖術よりも、遺残短絡(いざんたんらく・閉鎖栓の隙間から血液がもれること)が起こりやすいとされています。遺残短絡があると、金属製の閉鎖栓の隙間を通るため血液が壊れること(溶血)が問題となります。長期的に溶血が起こる場合は、閉鎖栓の詰め直しなどの追加手術が必要となる場合があります。

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