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全身性エリテマトーデス(SLE)の検査―自己抗体を必須とし、慎重な診断...
全身性エリテマトーデス(SLE)とは自己免疫疾患の一種であり、全身の多くの部位や臓器に障害をもたらすことのある難病の一つです(詳細は古川福実先生の記事『全身性エリテマトーデス(SLE)とは。全身...
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全身性エリテマトーデス(SLE)の検査―自己抗体を必須とし、慎重な診断が求められる

公開日 2016 年 02 月 01 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

全身性エリテマトーデス(SLE)の検査―自己抗体を必須とし、慎重な診断が求められる
山本 一彦 先生

東京大学大学院 医学系研究科内科学専攻アレルギー・リウマチ学 教授

山本 一彦 先生

全身性エリテマトーデス(SLE)とは自己免疫疾患の一種であり、全身の多くの部位や臓器に障害をもたらすことのある難病の一つです(詳細は古川福実先生の記事『全身性エリテマトーデス(SLE)とは。全身の臓器に症状を及ぼす自己免疫疾患』)。

様々な症状が現れるため他の類似疾患と混同されることも多いことから、全身性エリテマトーデス(SLE)の検査と診断は慎重に行われるよう定められています。これは診断を正確に行い、正しい治療を行うと同時に、他の疾患に対して全身性エリテマトーデス(SLE)の治療をしてしまうことを防ぐためだといいます。このように、全身性エリテマトーデス(SLE)の検査と診断は容易ではありませんが、具体的にどのような検査をしているのでしょうか。東京大学医学部附属病院 アレルギー・リウマチ内科教授の山本一彦先生にお話を伺いました。

全身性エリテマトーデス(SLE)の検査で行われるものとは―自己抗体検査が第一

全身性エリテマトーデス(SLE)の検査は、自己抗体(自分自身の細胞や組織に対して作られる抗体)の値が必須項目となります。自己抗体には、抗核抗体をはじめとして、抗DNA抗体や抗RNP抗体、抗Sm抗体など様々な抗体があり、それぞれの値が上昇していないかしっかりと確認する必要があります。

自己抗体は全身性エリテマトーデス(SLE)を診断するために重要な項目ですが、一つの自己抗体が陽性だからといって全身性エリテマトーデス(SLE)と診断されるということはありません。他の疾病ではないかをしっかりと確認する必要がありますし、自己抗体が上昇することは正常な方でもありえることです。そのため、現時点ではきちんと症状や検査結果が分類基準(診断基準ともいいます)を満たさなければ、全身性エリテマトーデス(SLE)の確定診断には至りませんし、自己抗体が陽性だからといって心配しすぎる必要もありません。

膠原病のなかでも全身性エリテマトーデス(SLE)やベーチェット病(皮膚潰瘍や眼症状を主体とする炎症性の疾患)については、それらに類似した症状や検査結果を生じる別の疾患が存在します。つまり、他の病気でありながら膠原病であると診断をしてしまう可能性もあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療では、症状や活動性に応じて強力な薬の服用が必要です。ですから、他の疾患と間違えて、全身性エリテマトーデス(SLE)ではない患者さんに全身性エリテマトーデス(SLE)のための強力な治療をしてしまうことは避けなければなりません。だからこそ、膠原病の検査の場合、分類基準にきちんとのっとって検査し、慎重に診断することが必要となります。

全身性エリテマトーデス(SLE)における自己抗体以外の検査

各臓器がどのくらい障害されているかを調べる種々の検査をします。臓器障害、特に心臓・腎臓・関節炎・肺の胸膜炎・心膜炎・腎病変・消化器病変・中枢神経病変を中心に調べます。臓器障害の程度を調べるには、多くの場合入院が必要です。

それ以外に細かい精神症状や神経症状についても、場合によっては神経内科と連携して調べていただくこともあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)の検査は複数回に分けて行う

基本的には全身性エリテマトーデス(SLE)が疑われる場合、まず自己抗体に関する検査を最初に行います。抗核抗体が陽性でしたら何回か病院に来ていただき、複数回に分けてその後の検査を受けていただきます。一回の検査で分かるものと分からないものがありますし、すべての検査を一度にすることはできないからです。

全身性エリテマトーデス(SLE)の診断は容易ではない

最初の項で述べたように、全身性エリテマトーデス(SLE)と誤診してしまうことは避けなければなりません。ですから、診断することは容易ではなく、慎重な判断が求められます。

たとえば、患者さんからたんぱく尿が出ていたとしても、それが本当に全身性エリテマトーデス(SLE)によって起こっているのかの区別も必要です。区別するためには、多くの場合腎生検をする必要性があります。尿検査でその結果が出たからといって、それだけで診断はできないのです。放っておいても重篤には至らない起立性たんぱく尿(立位やかがんだときにたんぱく尿が出る状態で、通常治療の必要はない)など、別の病気を除外する必要があります。

また、尿検査では時間による結果の差も生じます。具体的には、朝起きてすぐはたんぱくが出ていないのに、日中に活動をし始めたら出てくるなどのときです。

そのような患者さんを診察するときは、早朝の尿を採ってきていただくようにします。つまり前もって尿検査をすることを伝え、受診前に用意していただきます。早朝の尿にたんぱくが出ている場合はきちんとした検査が必要です。

詳細な診断まで行くためには医師であっても難しいのですが、専門医が診れば、全身性エリテマトーデス(SLE)の状態であるかそうでないかは、総合的に判断がつくでしょう。ただし、その医師にいくら経験があっても、感覚的な判断では診断できませんから、あくまでも分類基準にのっとるようにしています。いくらその方の症状や検査結果が全身性エリテマトーデス(SLE)に似ていたとしても、「似ているけど違う」という例もあるのです。

*診断基準について(詳細は古川福実先生記事『全身性エリテマトーデス(SLE)の診断。診断基準には何が含まれる?』)*

現在の日本で標準的に使われているのはアメリカリウマチ学会(ACR)が提唱している分類基準というものです。近年SLICCという新しい分類基準が2013年に提唱されましたが、こちらはまだ参考程度といったところで、準基準ともいえます。

 

東京大学医学部を卒業後、聖マリアンナ医科大学准教授、九州大学教授などを経て東京大学大学院 医学系研究科内科学専攻アレルギー・リウマチ学 教授。自己免疫疾患に対する全身管理という側面から患者を支え、多くの膠原病患者を治療してきた。現在は新しい治療法の開発にも取り組んでいる。日本を代表する自己免疫疾患専門医の一人であり、日本リウマチ学会の理事長も務める。

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