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転移性肝がんの原因は? 最も多いのは大腸がんからの転移
肝臓のがんは、肝臓そのものから発生する原発性肝がんと、他の臓器で発生したがんが転移してくる転移性肝がんの2種類に大きく分かれます。転移性肝がんはどのようにして起こるのでしょうか。東京都立多摩総合...
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転移性肝がんの原因は? 最も多いのは大腸がんからの転移

公開日 2016 年 02 月 27 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

転移性肝がんの原因は? 最も多いのは大腸がんからの転移
高西 喜重郎 先生

東京都立多摩総合医療センター 外科部長

高西 喜重郎 先生

肝臓のがんは、肝臓そのものから発生する原発性肝がんと、他の臓器で発生したがんが転移してくる転移性肝がんの2種類に大きく分かれます。転移性肝がんはどのようにして起こるのでしょうか。東京都立多摩総合医療センター外科部長の髙西喜重郎先生に、転移性肝がんの原因についてお話をうかがいました。

がんの転移とは?

胃や腸の壁にはいくつかの層がありますが、消化器系のがんは最初は粘膜にできて、だんだん壁の外側に向かってがん細胞が入り込んでいきます。これを浸潤(しんじゅん)といいます。

胃や腸の壁の中にはリンパ管や血管が豊富なところがあります。そこまでがんが浸潤すると、リンパや血液の流れに乗ってがん細胞が出て行ってしまいます。リンパの流れに乗って行くのがリンパ行性転移、血液の流れに乗って行くのが血行性転移と呼ばれるものです。

消化器から流れ出る静脈はまず肝臓を通っていきます。肝臓がフィルターになるので、まずがん細胞が肝臓に着床し、さらに肝臓を通り抜けると肺に達します。ですから消化器のがんは多くの場合、肝臓に転移することが多いのです。ちなみに、がん細胞が肺に達すると、そこからは全身にがん細胞が流れ出てしまい、さまざまなところに転移します。

消化器系にとっては肝臓が最初のフィルターになっているので、そこにがん細胞が引っかかっているのであれば、それを全部取り切ることでがんが治る可能性が出てきます。転移性肝がんを治療する目的もそこにあります。肺への転移を切除することも有効といえます。

がんが転移する仕組み

転移性肝がんの原因としてどのようながんが多いのか

肝臓の悪性腫瘍は原発性肝がんと転移性肝がんに分かれますが、全体のうち、4分の3は転移性肝がんであるといわれています。したがって肝がんの治療においては、転移性肝がんが原発性肝がんより大きなウエイトを占めます。肝臓には消化器からの血液が流れてくるため、消化器がんからの転移が多くなりますが、その他に悪性黒色腫・乳がん・泌尿器がん・婦人科がん・肺がん・甲状腺・唾液腺・副腎などの内分泌臓器からの転移などがあります。この中で治療の機会が多いものは、大腸がんからの転移です。

また、肝転移が多いことが知られているものとして、神経内分泌腫瘍があります。進行が比較的ゆっくりで、手術によって治る方もいます。

肝転移に対する手術が有効であることが証明されているのは、大腸がんと神経内分泌腫瘍です。

胃がんの場合も肝臓に転移しますが、胃がんでは腹膜播種(ふくまくはしゅ)といって、胃の壁から直接がん細胞がこぼれ落ちて、腹腔内全体にがん細胞が転移しやすいため、肝臓だけの問題にとどまらない場合が多くみられます。したがって、肝臓だけの転移であると思われる場合には手術を行いますが、そうでない場合には手術の対象になりにくいといえます。

がんが転移すると予後(治療後の経過)は悪くなるのか

大腸がんからの肝転移の場合、診断がついた時点ですでに肝転移がある方は全体の約10%といわれています。また、大腸がんの手術とは?  適応や手術方法についてくわしく解説後に肝転移を発症する確率は7.1%という報告があります。東京都立多摩総合医療センターでは大腸がんの手術とは?  適応や手術方法についてくわしく解説を年間約300件行っていますが、そのおよそ1割にあたる30人前後の方が、転移性肝がんで手術を受けています。

現在はまだ胃がんの肝転移を手術することが一般的ではありませんが、実際にそれで治っている患者さんはいらっしゃいます。実際、東京都立多摩総合医療センターでは胃がんからの肝転移になった方のうち、約2割の方が手術をして治っているという治療成績が出ています。今後は大腸がんの肝転移と同じように、より積極的に手術が行われるのではないでしょうか。

ただしそれには、胃がんの手術でがんがきちんと取り切れていることに加え、肝臓での転移の状況も関係してきます。転移があまりにも多ければ手術の対象とはなりませんが、転移が3つぐらいまでの方は手術を考えることがあります。

もうひとつ重要なことは転移の時期です。胃がんが見つかった時点で肝転移がある方と、胃がんの手術が終わってしばらくしてから肝転移が見つかった方では違いがあると考えられます。

まだはっきりとしたデータがあるわけではありませんが、東京都立多摩総合医療センターで手術を受けていただいて治った方というのは、胃がんの手術をしてから1年程度経ってから転移が見つかった方たちです。ですから、そういった方たちに絞ってみていくと、かなり良い結果が得られるのではないかと考えています。逆に胃がんと肝転移の時期にあまり差がない場合は、短期間に飛び火しやすい、性質の悪いがんである可能性が高いと考えられます。

また、膵臓がんは消化器がんの中でも根治が難しいがんであり、肝転移で手術を行うことはあまり多くありません。しかし手術がためらわれるケースで、ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法といって、ラジオ波の熱でがん細胞を死滅させる治療を行ったところ、膵がんからの肝転移が1つだけだった患者さんではその後の再発が見られず治ったと判断することができました。同じように胆道がんの転移でも手術によって治癒している患者さんがいらっしゃいます。

このことから、最近では胆膵がんの肝転移の中でも治るチャンスのある方はいるのではないかと考えるようになってきました。もしかしたら「胆膵がんは難しい」という思い込みがあるのかもしれません。やはり私たち消化器外科医は決して諦めてはいけないのです。今後はどのような状況であれば手術をお薦めするべきなのかを明らかにして行く必要があると思いますが、原発巣のがんの性質、抗がん剤治療などの効果が重要視されています。

 

肝胆膵外科領域の手術、さらに腹腔鏡手術を担当するエキスパート。大腸がんの肝転移治療も専門としている。がん治療認定研修施設である東京都立多摩総合医療センターにおける代表指導責任者として、がん医療の推進に尽力している。

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