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インタビュー

腹腔鏡下肝切除術とその他の手術法の比較

腹腔鏡下肝切除術とその他の手術法の比較
高西 喜重郎 先生

東京都立多摩総合医療センター 外科部長、日本臨床外科学会 会員

高西 喜重郎 先生

肝臓の手術は難易度の高い手術であるといわれています。しかし近年では傷が小さく患者さんの苦痛が少ない腹腔鏡での手術が多く行われるようになりました。腹腔鏡下での肝切除術に精通し、さまざまな工夫によってより安全な手術を行っている東京都立多摩総合医療センター外科部長の髙西喜重郎先生に、腹腔鏡下肝切除術と従来の開腹による肝切除術についてお話をうかがいました。

手術を受けるのが嫌だと思わない人はいないでしょう。手術は痛いし怖いという気持ちがあるのは当然のことです。傷が小さく痛みが少なくて済むのであればそちらを選びたい、それが腹腔鏡手術の原点であると考えます。開腹手術との差について比較される点はありますが、創が小さく痛みが少ないという原点のところで圧倒的な違いがあります。私は腹腔鏡のメリットはその点に尽きており、それで十分なのではないかと考えています。

開腹手術の場合、みぞおちあたりから大きく切開しますが、患者さんの中には、その部分にいつまで経っても突っ張るような感覚が残ります。腹腔鏡であればその部分に大きな創を作ることもありません。そういった意味でも患者さんの負担には大きな違いがあります。

●術後の回復:

手術の規模によります。開腹手術でも肝臓を少ししか取らない場合は翌日から食事ができます。

●創の大きさ:

開腹手術のほうが大きくなります。

●出血量:

手術の内容によりますが、腹腔鏡手術では腹腔内に二酸化炭素を入れて圧力をかけ、出血量を少なくしているため、開腹手術より出血量が少なくて済みます。しかし、それでも系統的切除で大きな範囲を切り取ると出血は多くなります。

●術中の視野:

腹腔鏡手術ではカメラを使うので、肝臓の背中側など目の届きにくいところも直接鮮明に見ることができます。

腹腔鏡下で行えば開腹に比べて何もかも良くなるというわけではありません。お腹の中でしていること自体は同じなのです。

肝臓は表面から2cm以上深いところになると太い血管が出てきます。従来はこれを傷つけると出血を止めることが困難でした。しかし2008年頃からより優れた機械が使われ始め、出血が起こっても止められるようになりました。このことにより腹腔鏡で行う手術の範囲が広がってきたという経緯があります。

日本で行われる手術はNational Clinical Database(NCD)にすべて登録されるようになっています。そのデータからみると、簡単な手術ではもちろん腹腔鏡下・開腹共に治療成績は良いのですが、ある程度難しい手術でも腹腔鏡だから危険だとはいえないという結果が出ています。

現在肝臓の手術において、非常に高度な内容の手術まで腹腔鏡下で行えるようになっており、今後は腹腔鏡下での肝切除が標準的な手術になっていくものと考えています。

ただし、胆管を取る手術などの難易度が高い手術をあえて腹腔鏡下で行う必要はありません。腹腔鏡下で行うことのできる手術の限界はここまで、という一定の線も見えてくるでしょう。

私たちが腹腔鏡手術を導入した当初は、時間がかかりすぎたり出血が多かったりするときには、すぐに開腹手術に切り替えるということを決めたうえで行っていました。これらの安全性を確保する仕組みが重要なのではないかと考えます。

腹腔鏡手術のメリットとして、カメラで見ることによる拡大視効果のことがよく取り上げられますが、術野が大きく見えることによって、改めて多くのことがわかってきました。

細かな血管や神経などがそこにあることは、開腹手術でもおそらく見えていたのでしょうが、気づいていなかった部分があったのです。

また開腹手術であれば、肝臓を手で触った感触、切るときの手応えなどで切るべき方向が確認できましたが、腹腔鏡では目で見て決めなければなりません。そのために様々な工夫が行われてきました。そういったノウハウが開腹手術にもフィードバックされ、手術手技が向上したということは非常に大きな意味があります。つまり、腹腔鏡下手術の経験によって、肝臓を手術するということがどういうものなのかということが、これまで以上によくわかるようになったのです。

 

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