インタビュー

尿失禁とは——尿失禁のタイプと治療

尿失禁とは——尿失禁のタイプと治療
宮原 茂 先生

やなせ内科医院 院長

宮原 茂 先生

この記事の最終更新は2016年02月28日です。

重い物を持ち上げたときや、咳やくしゃみをしたときなどに尿が漏れたという経験のある女性は少なくないのではないでしょうか。一方で、恥ずかしくて誰にもいえないという方も多いのではないでしょうか。宮原 茂先生に尿失禁についてお話を伺いました。

尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れることで、日常生活に非常に大きな影響を与えます。特に女性の場合は出産などによって骨盤底筋の機能が低下することで起こりやすくなります。尿失禁は以下のように大きく5つのタイプに分類されます。

咳やくしゃみ、重い荷物を持ったときなどに腹圧の上昇によって起こる尿漏れで、主に尿道や尿道周辺の異常によって起こる女性に多いタイプです。治療には骨盤底体操などがあります。

激しい尿意とともに、尿のコントロールができずに起こる尿漏れです。トイレに行きたいと思った瞬間に尿が出てしまったり、トイレが間に合わずに漏れてしまいます。治療には抗コリン薬などを使用します。

腹圧性尿失禁切迫性尿失禁の混合型の尿失禁です。

残尿のため膀胱に尿が充満してしまい、尿がだらだらと漏れ出る尿失禁です。抗コリン薬や抗ヒスタミン剤などの薬剤や、糖尿病による末梢神経障害によって排尿筋の収縮力が低下することでも起こります。高齢男性では前立腺肥大症なども原因となり、原因となる疾患の治療が優先されます。

認知症や運動機能の障害などによってトイレに間に合わず尿が漏れる尿失禁です。トイレの場所がわからない、あるいは排泄行為自体が認知できないなどの理由で、膀胱機能とは関係なく尿を漏らしてしまいます。高齢の場合では、他のタイプの失禁と合併して起こることもあります。

尿失禁でもっとも多いものは腹圧性尿失禁です。女性に多いタイプで、出産回数が多かったり、難産を経験されている場合に多くみられます。骨盤底筋が緩み、骨盤底筋がダメージを受けしまうことが原因のひとつと考えられています。誰にも相談できず、病院にも行けないという方は少なくありません。

尿失禁の治療では次の3つが挙げられます。

  • 行動療法
  • 薬物療法
  • 外科療法

行動療法には、尿道や肛門・膣などをギュッと締める骨盤底訓練のほか、膀胱の蓄尿容量を増やすために排尿を我慢する膀胱訓練などがあります。薬物療法は、残尿が50ml未満の切迫性尿失禁では抗コリン薬、残尿が50ml未満の腹圧性あるいは混合性尿失禁では交感神経刺激薬、エストロゲン療法など尿失禁のタイプに応じて薬剤を使い分けて投与します。

手術療法の対象となるのは、1日に尿パット3枚程度の失禁がある方です。尿パット3枚というと、尿量にして100ml程度です。100mlというと、尿量は非常に多いといえます。この程度の失禁がある場合は、歩行しているだけでも尿が漏れるくらいの状態です。特に女性に多く発症する腹圧性尿失禁には手術療法の有効性が高いので、尿失禁の量や、膀胱に尿を蓄尿してもらった状態で腹部を押すストレス検査を行って排尿機能を確認します。ストレス検査で尿が漏れ出るようであれば手術を勧めます。

手術法は尿道を少しつり上げて支えるというものです。福岡山王病院でも実施しており、尿漏れのために外出もできなかったという患者さんに非常に喜ばれています。手術自体は約30分程度でできる簡単な手術で、1泊程度の入院が必要になります。

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