インタビュー

味覚障害の症状-量的味覚障害と質的味覚障害とは

味覚障害の症状-量的味覚障害と質的味覚障害とは
任 智美 先生

兵庫医科大学 耳鼻咽喉科 講師

任 智美 先生

この記事の最終更新は2016年02月13日です。

味覚障害の代表的な症状として、兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室講師の任智美先生は6つを挙げます。味覚が落ちる・なくなる状態が「量的味覚障害」にあたり、味覚が変わってしまう・一部の味覚を感じなくなる状態が「質的味覚障害」といわれます。具体的な6つの症状を2つに分類してご説明いただくとともに、予防法についても伺いました。

味覚が鈍くなり、何を食べてもしっかりと味が感じられなくなります。その結果、食事がもの足りなくなります。多くの患者さんは自覚症状を持って来院されますが、味覚低下は徐々に進行していくので、自分では気づきにくいこともあります。

味覚低下が進行して、ついには味をまったく感じなってしまうことです。味覚消失は味覚低下から徐々に進行していくことがほとんどですが、突然発症するケースもあります。

味覚障害で来院される患者さんはほとんどが量的障害です。その中でも「味覚低下」が全体の6~7割を占めています。

甘味・塩味・酸味・苦味のうち、「蜂蜜の味がしない」「しょうゆをつけてもつけた気がしない」など、甘味・塩味などのある特定の味だけわからなくなる症状です。

口の中に何も入れていないのに、苦い・すっぱい・塩辛いなどの味を感じる症状です。

本来の味と違った味がする症状です。たとえば「しょうゆが苦い」「レモンが塩辛い」などがあります。

何を食べてもいないのに、いやな味がする症状です。「口の中に変な味が残っている」と訴える方が多いです。量的障害は亜鉛欠乏が原因のことが多く、質的障害は薬剤のほか心因的な要素が強いと考えています。全体としては量的障害の患者さんが多いのですが、なかなか治らない方が受診される当院においては、質的障害の患者さんも多く受診されます。

予防のために必要な1日の亜鉛摂取量は、厚生労働省が定める推奨量で、成人男性では12mg、成人女性では9mgです。妊娠中の女性であればプラス2〜3mg必要です。年齢が高くなるにつれ摂取・吸収率が低下するので増やしていったほうがよいでしょう。また、必要な亜鉛の摂取量は人によって異なりますので、味覚障害をお持ちの方は医師に相談されることをお勧めします。

亜鉛は、鉄に次いで体内に多いミネラルですが、日本人では多くの人が不足しているといわれています。特にダイエット中の若い女性や添加物が多く含まれる加工食品ばかりを食べている人などが当てはまります。また年齢を重ね、吸収や消化機能が衰えてくると亜鉛が排出されやすくなってしまいます。

普段から亜鉛を多く含む食事を心がけてください。魚介類の牡蠣やうなぎをはじめ、ごま・海藻・大豆・卵黄・アーモンドなどが亜鉛を多く含む食品です。また、摂取した亜鉛が効果的に働くためには、日頃からビタミンCやタンパク質をあわせてとるようにしてください。牛肉や鶏肉など動物性タンパク質と一緒に食べると、亜鉛がより吸収されやすくなります。薬が原因で味覚障害になっている方も亜鉛を多く含む食事を心がけ、予防することが大切です。

味物質をしっかりと味蕾(みらい)に届くようにするために、またしっかりと消化を促すためには唾液の分泌を促すことも大切です。梅干やモズク酢などがよいでしょう。また入れ歯の噛みあわせが合わない人は食べ物をしっかり咀嚼(そしゃく)できないため、合わせる必要があります。

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