インタビュー

めまいの原因にはさまざまな病気がある

めまいの原因にはさまざまな病気がある
堀井 新 先生

新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 教授

堀井 新 先生

この記事の最終更新は2016年02月24日です。

めまいの原因となる病気は色々考えられますが、めまいの原因を大きく2つに分けると、耳から生じるめまい・脳から生じるめまいに分けることができます。その他には首から生じるめまい、高齢の方のめまいなどもあります。まためまいを持つ患者さんの4分の1程度は、原因の分からないめまいであるとされています。ここではめまいの原因となる病気の特徴を、新潟大学耳鼻咽喉科学教授、堀井新先生にお話し頂きました。

※ただし、「めまいとは 注意すべき危険なめまいは?」でも書いたように、失神もめまいと表現されるときがあります。失神のときには特に心臓の病気に注意しなくてはなりません。失神の原因についてはリンクをご参照ください(「失神とは―初めての失神は要注意!」)。

・良性発作性頭位めまい症(BPPV)

頭を動かすときに回転性のめまいが起こります。安静時には起きず、頭を動かさなければ多くの場合数十秒以内に自然におさまります。耳石(じせき)(耳の奥にある体のバランスを取るのが主たる役割の石)がはがれることが主な原因で、内耳の障害なども原因となります。内耳の障害から関連して耳石がはがれることもあるからです。このめまいは中高年以降の女性に多いです。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)とはどんな病気?詳しくはこちらから

・メニエール病

耳の不快な症状とともに、強い回転性めまいを急激に生じます。耳の症状は耳鳴り・難聴・耳の閉塞感などが起こり、めまいは数分、長いときには数時間続くこともあります。めまいがおさまると耳の症状もおさまります。これは内耳の内リンパ水腫というものが原因と考えられています。この病名は有名ですがめまいの原因としては少なく、30代〜40代の女性に多く起こります。

メニエール病とはどんな病気?詳しくはこちらから

・前庭神経炎

まず風邪に罹患します。そしてその風邪に罹患してから1~2週間経過したところで、回転性のめまいから症状が始まります。とても激しいめまいが起きますが、2~3週間ほどで自然に軽快します。前庭神経炎の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、ウイルスアレルギー反応が関係していると考えられています。

・突発性難聴

 聴神経の炎症などが原因で突然の難聴が起こります。回転性めまいを伴うこともありますが難聴の方が特徴的であり、めまいの症状は軽いです。

・聴神経腫瘍

 聴神経に腫瘍ができることにより、回転性めまいが起きます。難聴を伴うこともあります。めまいの程度はさまざまですが、軽いことも多いです。また多くの腫瘍は良性ですが、腫瘍が大きくなり小脳や脳神経を圧迫するとさまざまな症状が現れます。

・脳血管障害(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

脳血管障害とは脳梗塞脳出血くも膜下出血などの総称です。脳血管障害、特に小脳出血や小脳梗塞によって回転性あるいは浮動性・動揺性のめまいが起こります。ただし脳血管障害によるめまいは、障害される部位によっては浮動性・動揺性のめまいであるとは限りません。

また強い頭痛や手足の麻痺を伴うこともあります。脳血管障害の一つですが、椎骨脳底動脈解離や椎骨脳底動脈循環不全症などが原因となることもあります。

脳血管障害によるめまいは記事1でも述べたように非常に危険なめまいです。緊急の治療が必要になるため、すぐに医療機関を受診するべきです。

・脳腫瘍

脳腫瘍は発生する部位次第で、さまざまな症状を引き起こします。(脳血管障害と同様です)先述したように聴神経腫瘍では回転性めまいになることもありますし、小脳に発生したときには浮動性・動揺性のめまいになることもあります。

筋緊張性頭痛や頚椎椎間板ヘルニアなど、頸が原因となってめまいが引き起こされることもあります。

高齢の方はめまいをよく起こします。その原因は、実ははっきりしていません。数々の精密検査を行っても、原因がわからないことも多々ありますが、主に以下のような理由が考えられます。

1:複数の病気を抱え、多くの種類の薬を飲んでいる

生活習慣病高血圧糖尿病脂質異常症)をいくつか持っていることが多く、それによりたくさんの薬を飲んでいることがあります。

2:調節機能の衰え

年齢を重ねると自律神経の調節機能が落ちます。それにより血圧などの調節が悪くなり、めまいを起こしやすくなると考えられます。

3:平衡感覚の衰え

内耳や前庭神経などの神経系が衰えるとともに、平衡感覚の処理が悪くなり、めまいを起こしやすくなると考えられます。

その他:

薬の影響でめまいが引き起こされることもあります。薬剤性の内耳障害といい、ストレプトマイシン・シスプラチンなどの薬が有名です。

また統計をとると、めまいの患者さんの4分の1は、原因がわからないめまいであるといわれています。画像検査や精密検査を行っても診断がつきません。このようなめまいは脳血管障害もなく脳腫瘍などもないので、基本的には安全なめまいです。しかし患者さんの生活はめまいにより大きく損なわれることもあります。このようなめまいとどうつきあっていくのか、現在さまざまな研究がされています。

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