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インタビュー

ミルクアレルギーにおける消化器内視鏡検査の重要性

ミルクアレルギーにおける消化器内視鏡検査の重要性

東京都立小児総合医療センター 消化器科 部長

村越 孝次 先生

立花 奈緒 先生

東京都立小児総合医療センター 小児消化器科 

立花 奈緒 先生

消化器内視鏡検査は単純に検査をするのみならず、放っておくと重篤な状態になりかねないミルクアレルギーや炎症性腸疾患の治療方針決定のために必要です。消化器内視鏡検査の重要性について、ミルクアレルギーを具体例として、東京都立小児総合医療センター消化器科の村越孝次先生と立花奈緒先生に詳細をお伺いしました。

潰瘍性大腸炎クローン病に代表される炎症性腸疾患は診療ガイドラインがあります。その中では「消化器内視鏡検査で定期的な診察をしながら、治療を行っていく必要性がある」と明記されています。診療の中で、消化器内視鏡検査が重要な位置にあるということです。

症状と実際に内視鏡で診た粘膜所見が解離しているということはよくあります。消化器内視鏡検査は実際に粘膜を観察し、小さな細胞の塊を採取する(生検:せいけん といいます)ことで組織も診ることができるので、病状を正確に把握し、よりよい診療に繫がるのです。ただし、現在ではなかなか子どもの消化器内視鏡検査が行われづらいというハードルがあります。なぜもっと早く検査できなかったのかと悔やまれるケースもありました。

たとえば、ミルクアレルギー(消化管アレルギーの一種。牛乳タンパクに対するアレルギー反応)は軽症のものであればかかりつけの先生でも診てもらえる疾患です。ミルクアレルギーの診療ガイドラインにも消化器内視鏡検査の重要性についての記載がありますが、「必須」ではありません。それでも、なかなか治らない場合は、やはり消化器内視鏡検査が重要だと感じています。

以前、なかなか下痢が治らない生後数ヶ月の赤ちゃんが東京都立小児総合医療センターを受診してきたことがありました。私たちの施設を紹介される以前には、ミルクアレルギーも考慮し、一般ミルクを母乳にしたりアレルギー用ミルクにしたりと試行錯誤していたようなのですが、病院で消化器内視鏡検査をしてみたら壊死性腸炎(腸がほぼ壊死してしまっている状態)になっており、腸の大部分を手術で取らなければならない状態でした。これはとても稀なケースですが、消化器内視鏡検査を早期段階で行えていれば、あるいは心のハードルが低ければ、結果は変わっていたかもしれません。

このような事態もあるため、私たちのような専門医療施設に来院するようなケースは、消化器内視鏡検査で積極的に粘膜の所見(医学的な判断)を診ることも必要だと感じています。もちろんそのためには、子どもの病状の初期段階を診ている地域のかかりつけの先生方との連携や相互理解も大切です。

前項で述べた地域連携については、最近、徐々に私たちが目指している形に整ってきたと感じます。

連携を試みた最初の頃は、非常に重篤な患者さんのみ紹介していただいていました。もちろんそれはよいのですが、一見症状が強くなく、多少の血便や下痢を主症状とする場合でも、専門的な治療を必要とする消化器疾患ということもあります。そういった、あと一歩で危険な状態に陥る可能性のあるお子さんを紹介していただくには時間がかかりました。たとえば、慢性的な下痢が実はクローン病だったという例もまれにあるのです。

今後、さらに連携を深めるためにはそのような例があることを認識してもらうことが大切だと考えています。そのため、私たち小児消化器科は、「どのような状態のお子さんでもいいので東京都立小児総合医療センターに声をかけてください」と申し出ています。その結果、こちらに紹介していただく患者さんのハードルが低くなってきたように感じます。さらに気軽に紹介していただけるようになることが現在の目標でもあります。

東京都立小児総合医療センターは、基本的に時期尚早ではないかと思われる症状でも検査の対象になることが多くあります。実はそのような方から、重症な疾患が一定の確率で見つかるからです。そのような患者さんに関する情報は、地域のかかりつけの先生になるべく還元するようにしています。

ですから、気軽に相談してきてほしいと願います。実際、そこまで重症には見えなくても、少し管理に困っている患者さんを紹介していただき、重篤になる前に来ていただくと治療も早く済みます。

東京都立小児総合医療センターは、このような連携体制の中心となりうる医療施設です。現在、小児消化器科という部門は日本全国でも数えるほどしかありません。しかし、東京都立小児総合医療センターで小児消化器科の内視鏡検査や治療を積み重ねてゆけば、様々な医療情報を他の医療機関にも発信していけると考えています。

その他、成長障害(身体が大きくなれない)、なかなか治らない下痢なども、消化器に問題がないかを調べる検査適応になります。基本的にはかかりつけのお医者さんが、おかしいなと思ったときに専門病院に紹介されますが、親御さんにも「子どもにも消化器内視鏡検査というものがある」と知っておいていただきたいです。

小児消化器疾患は原因がよく分かっていないものもいまだに多くあります。例えば消化管アレルギーのなかに、好酸球性消化管炎(食道炎胃腸炎)というものがありますが、診断基準は「消化器の症状に加えて、内視鏡検査で組織を採ってきたとき、顕微鏡で拡大した一視野に好酸球が20個以上もしくは集簇(註:集まって)している」と大雑把なものです。

このように、小児消化器疾患は詳細が判明していない部分が多いので、これからはさらに内視鏡検査の症例数を増やし、臨床データを蓄積していくことが診療の進歩にも必要だと考えています。また、小児消化器疾患自体の症例数が少ないために医者側のトレーニングもしづらいという問題もありますが、現在消化器内視鏡ガイドラインの制定などの議論も進んでいるところです。

私たちは消化器内視鏡検査を通して、小児消化器疾患の診療をもっとより良く変えていきたいと考えています。

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