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インタビュー

障害児と栄養―家族と同じ食事を食べられるようになるための工夫

障害児と栄養―家族と同じ食事を食べられるようになるための工夫
立花 奈緒 先生

東京都立小児総合医療センター 小児消化器科 

立花 奈緒 先生

消化吸収機能に障害を持っているお子さんにとって生涯を通して重要になるのが「栄養」の問題です。具体的には経鼻栄養、胃ろう、腸ろうなどがありますが、いずれの方法にも様々なメリットとデメリットがあります。東京都立小児総合医療センター小児消化器科の立花奈緒先生は、そのなかでも胃ろうを通じた流動食が近年進歩してきているとおっしゃいます。障害児がご飯を食べる、すなわち栄養を補給する方法は、より自然な形に近づいてきています。障害児と栄養の関係について、家族との関係を踏まえて立花先生にお話し頂きました。

特に障害が重度になると嚥下障害を持つことが多いため、主に鼻からのチューブで直接胃や腸に栄養剤を入れる「経管栄養」が行われます。また、胃や腸に繫がる穴を皮膚にあける(胃ろう、腸ろう)手術を行い、直接ここから栄養を入れることもあります。これらの方法ですと確実にエネルギーを補給することができます。

その一方で、胃ろうや腸ろうを開けてしまうと、特定の栄養剤や限定された流動食しか摂取できなくなるのではないかと考える方も多いのが現状です。しかし、患者さんの状態によっては口から摂る栄養を併用することもできます。さらに、胃ろうや腸ろうを通した流動食導入の考え方は進歩しており、ペースト食やミキサー食といった流動食の種類も増えてきています。

流動食を用いて栄養を摂ることによって、既存の医療的な栄養剤だけだった食事から一転、他のきょうだいやご両親と一緒に、同じご飯を摂れるようになるのです。

栄養剤で体の栄養を補っている場合、お母さんはその子(障害児)のご飯の準備をして、管をつなぎ、それとは別にきょうだい(障害のない子ども)や父親、自分のためのご飯を用意します。つまり、家族でありながら障害がある子だけが別のご飯を食べていて、家族と別物として扱われてしまう傾向があるのです。ところが流動食による栄養管理は、食材となるものが同じですから、家族全員が同じメニューとなります。これまでベッドに横たわってチューブから栄養剤を摂取していた子が、家族が座るテーブルに自分も参加して、家族と一緒にご飯を摂れることは大きなメリットといえます。

流動食を用いているお子さんは、口からものを食べていなくてももぐもぐと咀嚼するそぶりを見せるようになることもわかっています。ミキサー食、ペースト食に対して期待を高めている医者も多く、お母さんも流動食を与えることを楽しんでいらっしゃる傾向があるようです。

私は患者さんに対して施す医療行為は自分にも試してみることがあるのですが、実際に胃管(経鼻栄養のための管)を挿入してそこから牛乳を流してみたとき、口に入れていないのに牛乳独特のにおいがしてきたことを覚えています。また、味噌汁を注入すれば、確かに味噌汁の味が感じられました。味覚ではないのかもしれませんが、実際によだれも出てきますし、物を食べているという感覚が確かにありました。やはり、食品から栄養を摂取するということ自体に、感覚を発達させ食の喜びを知ってもらうための大きな意味があるのだと感じます。

ごはんを食べることは栄養面でももちろん大事ですが、その他にも様々な良さがあります。

まず、きょうだいが患者のお子さんを「家族」として認識しやすくなるという点が挙げられます。患者さんのきょうだいも、その子を家族ではないとみなすことはほとんどありませんが、どうしても「うちにいる患者さん」という感覚がぬぐえないこともあります。食事を共にすることで、しっかりとしたきょうだいとしての意識が芽生えることになるのです。

ごはんをあげるとき、栄養剤をつなぐ養育から、食事を食べさせる養育へと変化していくように感じられるため、とても楽しんで食事を作っているお母さんも多くいらっしゃいます。

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