新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
インタビュー

胃管と胃ろうの違い―胃ろうのメリットとデメリットとは

胃管と胃ろうの違い―胃ろうのメリットとデメリットとは
立花 奈緒 先生

東京都立小児総合医療センター 小児消化器科 

立花 奈緒 先生

この記事の最終更新は2016年04月09日です。

記事6『障害児と栄養―家族と同じ食事を食べられるようになるための工夫』で、胃ろうによる流動食を導入することで食事の感覚がよりリアルになり、お子さんが口をもぐもぐさせるようになったり、家族と一緒の食事を摂れるようになるとご説明しました。しかし、もちろん胃ろうの造設が最善の方法というわけではありません。今回は胃ろうのメリットとデメリットについて、またそれを踏まえて流動食がなぜ普及し始めたのか、東京都立小児総合医療センターの立花奈緒先生にお話しいただきました。

一番大きいのは胃管など鼻からの栄養チューブが取れることです。これは、患者さんの不快感を減らす点で非常に大きいことといえます。鼻からのチューブは付けているだけでも苦しいもので、不慣れなうちは寝ることも難しくなってしまうことがあります。さらに、管を固定するために頬にテープを貼り付けるため、肌が赤くなるなどトラブルも多発します。

ひどい場合は、長期間鼻からのチューブを設置していると鼻中隔という部分が変形してなくなってくることもあります。これによって管が入れにくくなったりする危険をもたらします。

このように感覚的に「不快」と感じ、様々なトラブルが発生する鼻からのチューブを外せることは、大きなメリットといえるでしょう。

最大の難点は、体に傷がつくことといえます。全身麻酔も必要です。この二点が、親御さんにとっては決断を迷う点として大きいのでしょう。

また、胃ろうは合併症の危険性も否定できません。手術をすることでそのあとイレウス腸閉塞)になるなど、重い合併症を発症してしまうこともあります。

さらにもともと体に変形がある子どもの場合は、胃が胸のほうに引き上げられています。そのため、胃ろうを造設するために、肋骨の下に胃を引き下ろしてくる必要があります。つまり、胃の位置と形を人工的に変形させることになります。これにより胃の流れが悪くなったり、うまく注入できなくなったりする恐れが生じます。

その他、胃からの出口が開いているために胃液が漏れて肌が荒れる、肉芽(にくげ)ができる、傷のトラブルなどもしばしばみられます。

お子さんに胃ろうを造設するかどうか迷っていらっしゃるお母さんの場合、手術することがかわいそうだと思われている方が多くいらっしゃいます。そのような方に対しては、胃ろうのメリットとデメリットの両方をお話しして、じっくりと決めていただくようにしています。

このように、胃ろうには良い点もあれば課題点もあります。それでも、現在は記事6『障害児と栄養―家族と同じ食事を食べられるようになるための工夫』で紹介した流動食が進歩しており、導入が進められています。なぜ流動食という考え方が広まってきたのでしょうか。

それは、医療の進歩によって、生存を超えたものが必要になった、つまり「存命だけではなく、長く生きるこれからの人生において、どのようにしてお子さんの生活の質を上げていくか」が考えられる段階に来たからだと考えています。

ヒトの体は食べたもので作られます。人工的な栄養剤では、エネルギーを確保することはできても、どうしても栄養素が不足します。ご飯を食べていなかったお子さんが、ペースト食に切り替えたとたんに髪のコシやツヤが見違えるほど改善するのも、おむつかぶれが軽減するのも、食べ物に含まれる解明しきれていない栄養素を摂取できるからではないでしょうか。どんなに質の高い栄養剤でも、自然の食べ物にはかなわないのです。

もちろん、これに関して期待をしすぎてはいけませんし、自然の食べ物を絶対視する必要もありません。この方法が絶対ではなく、ペースト食をご両親やご本人が楽しめる範囲で採り入れていくことが大切です。食事を楽しめるようになることで、その家族全体の生活の質が上昇することになるでしょう。

都立小児総合医療センター 消化器科ホームページはこちら

 

受診について相談する
  • 東京都立小児総合医療センター 小児消化器科 

    立花 奈緒 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

「受診について相談する」とは?

まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

  • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
  • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。