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インタビュー

子どもの便秘。治療のためには恐怖心を取り除くことが第一

子どもの便秘。治療のためには恐怖心を取り除くことが第一
立花 奈緒 先生

東京都立小児総合医療センター 小児消化器科 

立花 奈緒 先生

便秘とは、便が長期間排出されないあるいは便が出しづらい状態のことをいいます。1週間当たりの便の回数などを診断の目安とする場合もありますが、排便の回数は年齢によっても大きく異なるため、回数のみでの判断は注意が必要です。また、排便の際に痛がったり、排便に伴って肛門が切れたり裂けたりして、出血してしまったりする場合も便秘と診断されます。便秘のために治療が必要な状態を特に「便秘症」といいます。子どもの便秘について、東京都立小児総合医療センターの立花奈緒先生にお話しいただきました。

便秘は大人でもよく見られる症状であり、数日間便が出ないとなっても「そのうち出るだろう」「大きな問題はない」と捉えられてしまうことが多いようです。

しかし、便秘症になってしまった子どもは、排便の際に必ずといっていいほど何らかの苦痛を経験しており、その苦痛を味わいたくないために便を我慢してしまっているケースが多く見受けられます。しっかりと治療しないと悪循環になってしまい、重症化する可能性もあります。子どもの場合、便秘は精神的なものが絡んでくることも多いため、便秘が続いたり実際に便秘症と診断されたりした場合は早急に治療を開始することが大切です。

なお子どもの便秘は決して珍しいことではなく、排便習慣が身についていないことがなどが原因である場合が多いため、適切な治療によって改善します。

多くは生活習慣に起因しています。トイレトレーニングがうまくいっていなかったり、便意を我慢してしまったりといったことも原因となりえます。乳幼児期の場合、うんちを出す力が未熟でいきめないことも原因となります。

その他ミルクアレルギーや母乳不足も原因となることがあります。一部の患者さんでは鎖肛ヒルシュスプルング病といった消化器の病気が原因となっていることも見受けられます。

また、子どもの場合は便秘の悪循環も指摘されています。

硬い便を出すとき肛門が切れるなど、痛い思いをしてしまうと、子どもは「排便するのが怖い」と思うようになります。そのため、次に便意が来ても我慢してしまい、力む際も肛門に力を入れたまま、肛門をなるべく開かないようにしながら排便することがあります。

便を我慢してしまうと便意が治まってしまい排出できなくなるため、便は大腸に停留してしまいます。停留した便は水分を吸収され、ますます硬くなります。こうなると、いざ出すときに非常に大きな痛みを伴います。この痛みがお子さんに排便を我慢させてしまい、悪循環が出来上がってしまいます。このようにして便秘の悪循環が続くと、便が直腸にある状態が慢性化し、便意が起きにくくなります。これによりますます便が腸にとどまり、固くなっていきます。

東京都立小児総合医療センターには、「1カ月以上便が出ていない」といって受診されるお子さんが受診されたことがありますが、その子は触診しなくとも目で見てお腹の形が不自然であることが分かりました。こうなると便の摘出は容易ではありませんから、お子さんの便秘を治療し、排便の苦しみから解放するためにも早めに医療機関を受診してください。

トイレトレーニングはよく提唱されていますが、無理強いは逆効果になります。無理に便を出そうとしてしまうとお子さんの便に対する精神的な不安が加速してしまうからです。

治療で大事なのは、便秘症のお子さんが「便をすることは快感である」ことを理解し、実際に体験してもらうことにあります。また、直腸に便が滞在している状態を改善すれば、次第に腸の感覚も取り戻すことができるため、便秘の改善につながります。

具体的には以下のような対処法が提唱されています。

●食事療法

水分を十分に摂取し、食事摂取の量が少なくないか(乳児では哺乳は十分か、年長児ならば無理なダイエットをしていないか)を確認します。また、バランスのよい食事を十分に食べさせることも大事です。お子さんの便秘に悩むお母さんたちの中には何とか症状を良くしてあげたいと、食物繊維の多い食事やヨーグルト、乳酸菌飲料などを一生懸命取り入れている方もいらっしゃいます。こうした食品が便秘に効く場合も確かにありますが、子どもの場合にはバランスの良い食事をする中で、便秘にいいものも無理なくといれていくことが大切であると考えます。

慢性便秘に対しては、対症療法として浣腸や下剤の投与をして、溜まった便を押し出す(ただし無理強いはしない)

実際の症状や便がどのくらい・どこに溜まっているかによって薬の種類や使い方などは異なりますが、お子さんの症状に合わせて治療の方法を選択していきます。

一般的には、まずは適切な治療薬を使って溜まってしまった便を出し、排便習慣を身に着ける準備を行います。便秘症の子ともは排便自体に抵抗がある場合も多いため、担当医と相談しながら本人に合った方法を選択することが大切です。

●便を毎日出すよう習慣づけ、トレーニングで楽に出るよう体に覚えさせる(こちらも無理には行わない、失敗しても叱らない)

腸に便が詰まった状態が解消されたら、自分で便が出せるように徐々に習慣化していきます。幼児期であれば本人の発達具合をよく見てから開始します。排便に対して恐怖感を抱いているお子さんの場合、独自の排便スタイルを持っていてトイレでは排便できないこともありますが、そのときは服を着たまま便座に座らせることから始めても問題ありません。

●数日出ないだけだといって安易に考えず、症状が続くようならば、早めに小児科を受診する

繰り返しますが、便秘は安易に考えてはいけない病気です。放置すると重症化して本人の苦痛(排便に対する恐怖やお腹、お尻の痛み)が大きくなることもありますし、なかなか治らない場合には、原因となる他の病気(鎖肛(さこう)やヒルシュスプルング病など)が存在する可能性もあるため、便秘が続く場合はきちんと調べておくことも大事です。

便秘症の症状が強いと自然に治ることは難しく、正しい管理で排便習慣を身につけていく必要があります。

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