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インタビュー

公開日 : 2016 年 02 月 13 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

進行直腸がんに対する腹腔鏡手術

横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器外科 准教授
大田 貢由先生

大腸がんの中でも直腸がんは骨盤内の深いところにできるため、手術そのものが難しく、患者さんの身体への負担が大きいとされていました。しかし、小さな傷だけで行える腹腔鏡手術の技術が確立され、従来の開腹手術と同等の治療成績を上げられることがわかってきました。横浜市立大学附属市民総合医療センター・消化器病センターで大腸がんの腹腔鏡手術を多数手がけている大田貢由先生にお話をうかがいました。

腹腔鏡手術の適応

私たちの施設でも、当初は早期がんを対象として大腸がんの腹腔鏡手術を行なっていましたが、現在は進行がんに対しても腹腔鏡手術を行なっています。特に直腸がんは、大腸がんの中でも手術に特殊性があるものですが、この直腸がんについても腹腔鏡手術を行なうようになってきました。

早期がんから適応を拡大して、安全性と治療の根治性を担保しながら対象を広げていく中で、臨床試験にも参加してきました。有名なJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の0404という試験の結果が最近(2015年1月)オープンになりましたが、腹腔鏡手術が進行大腸がんについても開腹手術とほぼ同等の成績であるということが証明されています。

しかし、こうした大規模な臨床試験の結果があって初めて腹腔鏡手術ができるというわけではありません。たとえばこの市民総合医療センターではこれまで2,000例以上の腹腔鏡手術をやってきた実績があり、そういった症例の蓄積によって徐々に適応を拡大し、現在に至っています。

腹腔鏡手術のメリット

開腹手術との比較で明らかなことは、出血量が少なく、その代わりに手術時間が長いということです。基本的に傷が小さいので、痛みが軽くて傷跡が目立ちにくく、術後の回復が少し早いといわれています。加えて、創感染(そうかんせん・手術で切開した傷の感染)などの合併症も少なくなります。

開腹と腹腔鏡の両方で手術をしてきた立場からいえば、腹腔鏡のほうが深部をより詳しく拡大して見ることができ、手術が精密かつ繊細に行えるという印象を持っています。開腹手術の時代には、直腸の手術は複雑すぎて腹腔鏡では無理だと思われていましたが、現在では腹腔鏡手術のほうが逆に精密にできるのではないかと考えています。

固定された視点から肉眼で物事を見て判断するよりも、対象にカメラで近寄って拡大して見たほうが良いというのは、大腸の手術に限らずマイクロサージャリーの分野などでも共通する利点です。特に直腸のように肉眼で見えにくいところでは、カメラの補助を使って手術を行うのは合理的な方法です。

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