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インタビュー

公開日 : 2016 年 02 月 17 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

進行大腸がんの集学的治療(1)現状と問題点

横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器外科 准教授
大田 貢由先生

がんを手術だけで治すのではなく、抗がん剤による化学療法や放射線治療を組み合わせる集学的治療が拡がる中、進行大腸がんの集学的治療に対する考え方はどのように変わってきたのでしょうか。欧米における放射線化学療法の考え方や日本における現状と課題について、大学附属市民総合医療センター・消化器病センターの大田貢由先生にお話をうかがいました。

集学的治療とは

集学的治療とは、がんを外科だけで治すのではなく、放射線科や化学療法チームにも入ってもらって行なう治療のことですが、広い意味での集学的治療はそれだけにとどまるものではありません。たとえば神経科の医師にメンタルヘルスのサポートをしてもらう、あるいは緩和ケアのチームにも入ってもらい、進行がんであれば疼痛コントロールをサポートしてもらうというような包括的なものを指しています。つまり、がんをひとつの診療科だけで扱うのではなく、いくつもの診療科から医師やスタッフが集まって、チームで治療することが集学的治療であるということになります。

進行大腸がんに対する集学的治療―日本の現状

日本では術後放射線治療というものは否定されて、おそらくもう行なっている施設はないと思われます。ですので、あるとしたら術前放射線化学療法ということになりますが、日本は施設によってその治療方針がさまざまです。

たとえばある有名な施設では術前化学放射線療法を勧められますし、私たちの横浜市立大学附属市民総合医療センターであれば手術単独か、臨床研究として行なっている術前化学療法をお勧めすることになります。また、他の施設に行けば手術単独で側方郭清すら行なわれないというところもあります。

私はこのことが日本のがん治療のひとつの問題点だと考えています。それぞれの治療について、治療成績が明らかになっていないからです。治療成績や効果が明らかになっていないうちから次々と臨床に導入されているという歴史的な経緯があるため、各施設で治療がまちまちであるという現状があります。

直腸がんの治療には、歴史的に入り組んだ複雑な背景がありました。関連記事「進行直腸がんの手術―リンパ節側方郭清」でお伝えしたように、日本で自律神経温存側方郭清が開発されたとき、すでに欧米では側方郭清がなくなった時期に重なって、その手技が欧米に広まっていないということもそのひとつです。また、今度ようやく自律神経温存側方郭清の治療成績自体を前向きにスタディした結果が出てくる予定ですが、これまではそういったものがないまま行なわれてきました。

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横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器外科 准教授

大田 貢由先生

低侵襲な大腸がんの腹腔鏡下手術を得意とするエキスパート。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)大腸がんグループの施設研究責任者やYCOG(横浜臨床腫瘍研究グループ)の研究代表者を務め,臨床研究を積極的におこなっている。

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