インタビュー

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは
副島 修 先生

福岡山王病院 整形外科部長、福岡国際医療福祉大学教授 教授

副島 修 先生

この記事の最終更新は2016年03月06日です。

肘の外側に痛みを感じるのがいわゆるテニス肘(上腕骨外側上顆炎)です。テニス選手に多かったことからテニス肘と呼ばれるようになりましたが、実際には主婦の方に多い疾患なのだといいます。福岡山王病院 整形外科部長の副島修先生にテニス肘についてお話を伺いました。

テニス肘は肘の外側に起こる痛みのことで、物を持ち上げたり、手をひねったりする動作のときに生じます。テニスをする人に多く発症していたことからテニス肘とも呼ばれており、正式には上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)といいます。

肘の外側には手首を反らすときに使う筋肉として、長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)総指伸筋(そうししんきん)という3つの筋肉があります。

これらの筋肉が引っ張られることによって起こる慢性的な障害がテニス肘です。テニスのバックハンドのときにこれらの筋肉を使うため、テニス選手に多く発症したことからテニス肘と呼ばれるようになりました。しかし実際には、中年以降の主婦の方に多く起こる障害で、テニスをしたこともないという方も少なくありません。一般的には、加齢とともに腱が痛んで起こるとされていますが、原因についてはまだ十分にわかっていないのが現状です。

痛みは非常に限られた範囲で限局的に起こります。手首を反らしたり、雑巾をしぼったり、重いものを持ったり、指を伸ばしたりしたときに痛みが現れ、安静時には現れません。

テニス肘を診断する際は、肘の外側の痛みについて簡単な誘発テストを行ってチェックします。主に下記3種類の誘発テストを行います。

肘を伸ばした状態で患者さんに手首を反らしてもらいます。医師は患者さんが反らした手首に抵抗を加えます。このときに肘の外側に痛みを感じるようであればテニス肘と診断されます。

肘を伸ばした状態のまま患者さんに椅子を持ち上げてもらいます。このときに肘の外側に痛みを感じるようであればテニス肘と診断されます。

肘を伸ばしたままの状態で、医師が患者さんの中指に抵抗を加えます。患者さんには指全体を伸展してもらいますが、このときに肘の外側に痛みを感じるようであればテニス肘と診断されます。

治療は大きく分けて保存的療法と手術療法のふたつです。最初はまず保存療法を行いますが、その中でも重要なのはストレッチといえます。テニス肘が起こる要因は使い過ぎによるものなので、少し作業を控えてもらうとともに、手首周辺の筋肉のストレッチを行います。作業を行うときには専用のベルト(装具)を装着します。

また、テニスなどのスポーツを行う選手であれば競技の前にストレッチを行い、ベルトを着けて競技に臨んでもらいます。痛みが強い場合は、ステロイド入りの局麻剤を注射して痛みを軽減させることもあります。

保存療法を開始してから約半年程度で多くの方は良くなりますが、改善しない場合には手術を検討します。

手術は肘の外側を2~3センチ程切開して行います。全身麻酔で、手術にかかる時間は30分から1時間程度、5日間ほどの入院が必要になります。この手術による再発はほとんどなく、術後2か月ほどで作業やスポーツへの復帰が可能です。福岡山王病院では、手術の成績(手術によってどの程度患者さんが楽になったか)を点数化して評価しているのですが、多くの患者さんが術前には30点程度だったのが、術後は85点から90点くらいにまで改善されています。

以前は、内視鏡(細い管の先端にカメラやメスなどがついている手術用器機)を用いた手術を行っていましたが、その頃2例ほど再発する症例があり、再手術を行ったケースがありました。内視鏡手術は万能と思われていることも少なくありませんが、テニス肘の手術に関しては不十分な切除が起こる可能性があるため、私は切開による手術をしています。

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