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インタビュー

小児の心臓血管外科医にこれから求められてくることとは

小児の心臓血管外科医にこれから求められてくることとは
寺田 正次 先生

東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科 非常勤

寺田 正次 先生

東京都立小児総合医療センター心臓血管外科部長の寺田正次先生は、これまで小児心臓血管外科として長年の経験を積んでこられ、近年では若手医師への指導も行っています。そんな寺田先生が心臓外科医として大切にしていらっしゃるのは、「心構え」と「イメージする力」だと仰います。これからの小児心臓血管外科医に求めることを交えて、患者さんへのメッセージを寺田先生にお話ししていただきました。

私が心臓血管外科を志したきっかけは、大学のときに行っていた解剖実習までさかのぼります。当時私が所属していた大学は、頭部から足先まで非常に多くの解剖実習を行っており、個人的にも解剖が性に合っていると感じていました。特に心臓の解剖は詳細に学び、そこから心臓に興味が出てきたのです。そして、漠然とではありますが、より専門的な医療を究めていきたいと思い、子どもの先天性奇形を手術で治していこうと決めました。

その後、心疾患に関して多くの症例を積んでいる大学病院に所属し、そこで小児心臓外科になることを決意して、それ以来小児心臓外科一筋でここまで来ました。

たとえば大人のがんなどの腫瘍はがん細胞を「取る」ことで治療するイメージがありますが、小児の心臓は取るのではなく作り直すイメージが強いといえます。

血管がおかしなところにくっついているのを戻したり、正常な位置に付け替えたりと、つくりそのものを変えていくのです。そういった「作り直して元に戻す」ことは他の診療科にはなかなかない、非常にスペシャリティなことだと考えています。

小児の心臓を手術するにあたり、緊張しても手が震えないなど、基本的なことはもちろん大事です。ただしそれ以上に大事なことは、強い心構えだと思います。

どんなに小さなことでも、目の前のこの患者さんにとって不利になる合併症を減らしたい。そのために決して妥協はしない。できる限りうまく治して、患者さんが長く生きられるようにしてあげたい。本当に必要なのは、そういった医師としての精神的な心構えではないかと考えています。

命にかかわる仕事である以上、精神的な負担が大きいことは確かです。しかし、それを乗り越えるような精神的な心構えが必要になってきます。

また、経験を積み、どのようなケースで危険性が強いのかを予測できるようになることも大切です。最近はこのようなことを、若手の医師にも一生懸命教えています。

難しい手術は誰でもできるわけではありません。心臓血管外科とひと口にいっても、10年かけてできるようになる手術や、20年かけてできるようになる手術があります。一通りの疾患に対する手術ができるようになるまで、およそ20年はかかると思います。ですから、症例を多く経験することは大事です。

しかしその前に、十分なイメージトレーニングが必要だと考えます。つまり、見たこともないような病状の臓器を想像できる力です。そのイメージから、自分ならこうしよう、自分ならこれはだめだと考える、など判断できる能力を身につけることが重要となります。

なるべく多くの情報を患者さんに伝え、より詳しく説明するようにしています。

患者さんにとって大事なのは「治ること」です。様々な先天奇形や心臓病のなかには、今でも死亡率20%を超える手術も存在します。私たち心臓血管外科医は、患者さんやそのご家族には、その病気のどこに危険性があり、手術に関してどのような危険性があるか詳しく説明する義務があります。基本的なことですが、最も大事なことだと考えています。

その危険を理解したうえで立ち向かい、病気を乗り越えれば、子どもは普通に元気よく育っていくのです。

東京都立小児総合医療センターのような小児専門の総合病院に入院されているお子さんは、様々な病気を複合的に併せ持っている子が多くいます。なかには本当に重症なケースもあります。

そうした重症疾患の患者さんに心臓手術をするのは大変なことであり、時間もかかるのは事実ですが、現在の実際の死亡率は1%未満で、ほとんどの命を救うことができます。子どもの心臓医療は、そういった時代に突入しているのです。

心臓病や先天異常を持ったお子さんとそのご家族に対して、安易に「安心してください」ということはできません。しかし、東京都立小児総合医療センターでは総合的な医療ができるため、複合的な病気を持っていたとしても対応できない疾患はありません。総合診療科からアレルギー科、皮膚科、眼科など、少し気になることでもすぐに対処できます。病院全体で患者さんを診ていける体制が整っているため、たとえ複合的な疾患を持っていてもあまり不安にならず、受診していただければと思います。

心疾患のお子さんに対しても循環器科、内分泌代謝科、治療後のケアのための精神科、外科、そして心臓血管外科などがチームとなって医療を提供し、患者さんを助けるために力を尽くしていきます。

 

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  • 東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科 非常勤

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