インタビュー

整形外科救急と高齢者の骨折

整形外科救急と高齢者の骨折
平出  周 先生

牧田総合病院 整形外科副部長

平出 周 先生

この記事の最終更新は2016年05月23日です。

東京都大田区の大森で地域に密着した医療を提供している牧田総合病院では、超急性期脳卒中を中心とする脳神経外科と並んで、整形外科領域の救急医療にも力を入れています。整形外科救急で多くみられる患者さんの特徴、そして高齢者の骨折外傷などについて牧田総合病院副医局長・整形外科副部長の平出周先生にお話をうかがいました。

牧田総合病院では超急性期の脳卒中で運ばれる患者さんも多いのですが、整形外科領域の救急患者さんも多く受け入れています。その中でも一番多いケースはご高齢の方の転倒です。その他には交通事故や労災事故ももちろんありますが、繁華街に近いこともあり、夜になると泥酔して転んだり対人トラブルでけがされた方を診ることもあります。

そういった状況では転んで頭を打っていたり、過度の飲酒による脳卒中などのリスクもありますから、理事長の荒井先生が診ている脳神経外科と我々の整形外科で同時に対応することも少なくありません。アルコールが入っていると暴れたり怒り出したりする方もいるので困ることもしばしばありますが、見えないところで何が起こっているかわかりませんので、怪しいところは夜中でも全部検査をして診断をするようにしています。その上で必要な場合には入院していただくこともあります。

具合が悪くてもすぐに病院に来ない患者さんもいらっしゃいます。たとえば大腿骨の骨折で来院された患者さんに話をうかがってみると、実は2日前に転んでいたなどということがあります。特にご高齢の方は遠慮もあるでしょうし、病院に行きたくないと思って一日様子を見てしまったりすることがあるようです。

もし救急車を呼ぶことに抵抗があって迷ったら、「今、こういう状態なんですけれど、どうしたらいいですか」と、直接病院に電話をかけてきていただくのが一番いい方法です。夜中の急患は迷惑だと思われるかもしれませんが、昼間は外来診療をやっていたり、手術の予定が組まれていたりしますので、夜間のほうが救急の患者さんを受けやすい部分もあるのです。

牧田総合病院の整形外科に関しては、平日は夜間でも必ず当直医がいますし、日曜日でもほぼ誰かがいるようになっています。現在のところ、土曜日だけは週によって外科の先生が代わりに入っていることがあるのですが、そこを何とか埋めていけるようにしていきたいと考えています。

私が手外科の専門医ということもあって手の手術も行っていますが、ここではいわゆる外傷の患者さんを診ることが多くなっています。指の骨折もかなり多いのですが、一番多いのは高齢者の橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)です。橈骨(とうこつ)は手首にある2本のうち太い方の骨で、遠位端(えんいたん)というのは肘に近い方ではなく、手首に近い部分のことです。牧田総合病院でも年間100人近くを手術しています。

橈骨遠位端骨折は転んだときに手をついて折ってしまうことが多く、骨粗しょう症があるとより重症になりやすいことで知られています。高齢の方がどこの骨を折りやすいかというと、まず手首(橈骨遠位端)、背骨、そして大腿骨のつけ根という順番になります。50〜60代ぐらいで手首を折って、今度は70〜80代で大腿骨頚部を折るというように、骨折しやすいところは患者さんの年代で分かれています。

本当は手首を折った方を我々が診たときに骨粗しょう症の治療を始めてあげれば、もしかしたら10年後に大腿骨を折らなくてすむ人がいるのではないかと考えています。そういった意味でも、手首を折った人にはなるべく骨密度を測るようにおすすめしています。

 

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