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眼瞼下垂をセルフチェック!原因や症状から手術方法、費用、保険適用は?パ...
1.眼瞼下垂とは?目を開けようとしてもまぶたが上がらない状態を「眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。眼瞼下垂になると視界が狭くなってしまうだけではなく、常に眠そうな表情に見えてしまうといった...
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眼瞼下垂をセルフチェック!原因や症状から手術方法、費用、保険適用は?パソコンを長時間使用している人は要注意 ◇

公開日 2016 年 06 月 26 日 | 更新日 2017 年 12 月 12 日

眼瞼下垂をセルフチェック!原因や症状から手術方法、費用、保険適用は?パソコンを長時間使用している人は要注意 ◇
[医師監修] メディカルノート編集部

[医師監修] メディカルノート編集部

目次

1.眼瞼下垂とは?

目を開けようとしてもまぶたが上がらない状態を「眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。

眼瞼下垂になると視界が狭くなってしまうだけではなく、常に眠そうな表情に見えてしまうといった外見上の問題や、子どもの場合には視力が十分に発達しないという重大な問題につながることもあります。ここでは、眼瞼下垂が起こる仕組みと、特に注意が必要な生まれつきの眼瞼下垂、そして眼瞼下垂と似た症状が起こる「偽眼瞼下垂」との違いについて説明します。

眼瞼下垂が起こる仕組み

まぶたには眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉があり、この筋肉はまぶたを上げて目を開く働きをしています。また、その筋肉を動かす働きをしているのが動眼(どうがん)神経という神経です。この眼瞼挙筋または動眼神経の異常によって、まぶたを引き上げる力が弱くなってしまった状態を「眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。 眼瞼下垂は片方の目だけに起こる場合もあれば、両目に起こる場合もあります。また、その症状の重さもさまざまで左右の目の開き具合がわずかに違う程度という場合もあれば、視界が妨げられるほどまぶたが下がってしまう場合もあります。

子どもの眼瞼下垂に要注意

眼瞼下垂のほとんどは先天的なもので、この場合はそもそも眼瞼挙筋が正常に形成されていないことがよくあります。成長とともに改善して徐々に目が開くようになっていくこともありますが、生後間もない子どもの眼瞼下垂には十分な注意が必要です。というのも、生後間もない時期は視力が発達していく時期なので、この時期の瞳孔が隠れてしまうほどの眼瞼下垂を放置すると、視力が十分に発達せず、弱視や斜視になってしまう恐れがあるからです。もし眼瞼下垂の症状が見られた場合、遅くとも生後6か月ごろから眼科で定期的に診察を受ける必要があります。

眼瞼下垂とは異なる「偽眼瞼下垂」とは?

前述の通り、眼瞼下垂は筋肉等の異常によって、まぶたを引き上げる力が弱まってしまった状態です。一方、まぶたを引き上げる力には問題がないものの、開いたまぶたの上に皮膚が余ってかぶさってしまっている状態を、通常の眼瞼下垂と区別して「偽眼瞼下垂」と呼びます。一重や奥二重の人は多少なりともこの状態になっていることがあります。また、加齢によってまぶたがたるんでくると、同じような状態になります。この場合は必ずしも病気とはいえませんが、視界が狭まったり、目や肩が疲れやすくなったりする場合や、美容上の理由で本人が希望する場合には、手術で余分な皮膚を取り除くことができます。 

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2.眼瞼下垂の原因

眼瞼下垂は先天性のものが多く、遺伝することもあります。後天性の場合には、脳や全身の病気の症状の一つとして眼科下垂がみられる場合があります。ここでは、先天性・後天性それぞれの眼瞼下垂の原因を解説します。

先天性眼瞼下垂の原因

先天性の眼瞼下垂のほとんどは上眼瞼挙筋(上まぶたを上げる筋肉)の形成や発達の異常で起こります。先天性眼瞼下垂では、その約80%が片側の眼に起こるという特徴があります。また、 まれにホルネル症候群という先天性の交感神経系疾患が原因の場合もあります。これは、眼と脳を結ぶ神経線維が分断されることで起こる疾患で、顔の片方のまぶたが垂れ下がり、同時に瞳孔収縮や虹彩の色素異常、異常が生じた側の顔面の発汗低下を伴います。ホルネル症候群には後天性のものもあります。

後天性眼瞼下垂の原因

後天性の眼瞼下垂のほとんどは腱膜性の眼瞼下垂です。上眼瞼挙筋の端にある腱膜という膜が伸びきったり緩んだりすることで起こります。この原因の多くは加齢によるものですが、ハードコンタクトレンズの長期装用、眼科手術によって起こることもあります。そのほか、以下のような筋肉や神経の疾患の症状の一つとして眼瞼下垂が起こっている可能性もあります。

■動眼神経麻痺:眼球運動を制御している脳神経の麻痺です。眼瞼下垂のほか、眼が外側を向いてしまう、複視、瞳孔が広がるといった症状が併発します。頭部外傷、脳に血液を供給する動脈の異常、腫瘍など脳の病気や糖尿病によって起こります。

■慢性進行性外眼筋麻痺:徐々に悪化する外眼筋(眼球を動かす筋肉)の麻痺です。眼瞼下垂に加えて眼球運動障害がみられます。

■重症無筋力症:神経と筋接合部の伝達が障害される病気です。筋力低下や筋肉の疲れやすさが主な症状で、全身に症状がみられることもありますが、特に眼筋に症状が現れやすいとされ、眼瞼下垂はその典型的な症状です。

■マーカスガン現象:顎を動かすのに伴って上まぶたがピクピクと動く状態です。あくびをした時や水を飲む時に起こります。進行に伴って眼瞼下垂となる場合があります。 

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3.眼瞼下垂かどうかチェックする方法

眼瞼下垂には、脳や全身に関係する疾患が隠れている場合もあり、早期発見が重要です。ここでは、眼瞼下垂かどうかを自己診断する方法と、周囲の人から見た眼瞼下垂の特徴を紹介します。

眼瞼下垂になりやすい人

眼瞼下垂になりやすい人の特徴として以下が挙げられます。

□ハードコンタクトレンズを長年使用している

□パソコンを長時間使用する

□高齢者

□目をこするクセがある

□眼精疲労が強い

これらの特徴に当てはまる方で、以下のような症状がみられる場合には要注意です。

□まぶたが重く感じる

□肩こりや片頭痛が増えた

□おでこのしわが増えた

□昔に比べて目が小さくなったような気がする

□目と眉毛の感覚が広くなってきた

□夕方になると眼の奥や額部分に痛みを感じる

このような項目に当てはまった場合、以下の方法でまずは自己診断をしてみましょう。

眼瞼下垂の自己診断

眼瞼下垂の症状がないか、次のような方法でセルフチェックすることができます。

(1) 顔を正面に向けて目を軽く閉じます。

(2) 目を閉じたまま、両側の眉の上を人差し指で強く押さえます。

(3) 眉の上を押さえたまま、目を開けます。

額に力を入れずに目を開けることができれば心配は要りません。一方で目が開けにくかったり、目を開けようとすると人差し指を押し上げてしまうという場合には、眼瞼下垂の疑いがあります。これは、眼瞼下垂になるとまぶたを上げる筋肉が弱くなるため、代わりに額の筋肉を使ってまぶたを上げる手助けするためです。“目を開くときに額に力が入っていないか”というのは大切なチェックポイントになります。

周囲の人から見た特徴

眼瞼下垂は本人の自覚がない場合もあります。特に小さなお子さんでは、家族など周囲の人が症状に気づいてあげる必要があります。 正面を見た状態で上まぶたが瞳孔にかかっていたり、瞳孔が完全に隠れてしまっているようならば眼瞼下垂が疑われます。眼瞼下垂が片側に起きている場合、左右の眼の開き具合が違うことで気づくこともよくあります。 また、目を無理やり開こうとして額に力が入るため、無意識に眉毛が上がり、おでこにしわが寄った状態になったり、まぶたが下がったまま物を見ようとしてあごが上がった状態になったりやすいです。

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4.眼瞼下垂と診断される基準について

眼瞼下垂の適切な治療のためには早期に診断を受け、原因となる病気が潜んでいる場合にはそれを特定する必要があります。医療機関で眼瞼下垂と診断される基準と、眼瞼下垂の原因疾患を特定するための検査について解説します。

眼瞼下垂の診断基準

正面を見た状態で上まぶたが瞳孔を隠してしまっている場合、重度の眼瞼下垂と診断されます。他にも、黒目の中心から上まぶたの縁までが2mmより近づいている場合も眼瞼下垂の疑いがあります。 また、上眼瞼挙筋の機能を測定する方法もあります。まゆげ付近を押さえ、額の筋肉を使わないようにした状態で、最も下を見たときと上を見たときのまぶたのきわの移動距離を測定します。通常は15mm程度移動しますが、この移動が極端に少ない場合、上眼瞼挙筋機能の低下による眼瞼下垂と診断されます。つまり、上まぶたを動かす筋肉自体や、その筋肉に働きかける神経に問題がある状態です。ただし、後天性の眼瞼下垂で最も多い腱膜性眼瞼下垂の場合には、この上眼瞼挙筋の働きには問題が見られず、まぶたの開き具合から診断するほかありません。 生まれつきまぶたが下がっている状態であれば、先天性の眼瞼下垂と診断されます。先天性眼瞼下垂はまぶた自体の動きが悪いため、まぶたが上がらないだけでなくまぶたの下がりも悪いことが多いです。そのため、目を完全に閉じきれずに少し白目が見えていたり、下の方を見たときにまぶたが下がらなかったりといった症状がないかも診断の材料となります。

原因疾患の特定

特に後天性の眼瞼下垂では、脳や全身の疾患が眼瞼下垂に繋がっている場合も多いため、ほかの病気がないかも同時に調べます。ものが二重に見える複視や、筋肉が疲れやすい易疲労性といった症状がないかは重要なポイントです。 筋肉が疲れやすく、夕方になるとまぶたが下がりやすくなるような場合には、重症筋無力症の可能性があります。重症筋無力症の診断には、血液検査のほか、注射薬や目薬で筋力が回復するかどうかをみたり、筋電図で筋肉の働きを調べたりといった方法があります。ただし、重症筋無力症を発症するのは2万人に1人ほどです。 また、ある日急にまぶたが下がった場合には、脳梗塞、脳動脈瘤や糖尿病が原因となって動眼神経麻痺を起こしている疑いがあるため、CTやMRIによる頭蓋内の検査や血液検査が必要となります。 

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5.眼瞼下垂の手術費用

眼瞼下垂の手術は、症状によっても方法が異なり、それによって当然費用にも幅があります。また、眼瞼下垂の手術にはその症状の重さによっては健康保険が適用される場合もありますが、ここでは保険適応外(自由診療)の場合の治療費を眼瞼下垂の種類ごとに紹介します。

先天性眼瞼下垂の手術費用

生まれつきまぶたが下がっている先天性眼瞼下垂では、上まぶたを引き上げる眼瞼挙筋の機能に問題がある場合がほとんどです。眼瞼挙筋がほとんど動かないほど重度の場合、まぶたを吊り上げる吊り上げ術が行われます。吊り上げ術には、自分の太ももやこめかみといった箇所の筋組織を用いる方法と、人工物を利用する方法があります。吊り上げ術の相場は約50万円〜です。自身の筋組織を用いる場合には、入院が必要になるため、さらに費用が高くなることもあります。ただし、先天性の眼瞼下垂は視力の発達に影響することもあるため、保険適用となり自己負担額が軽くなうケースも多いです。

腱膜性眼瞼下垂症の手術費用

後天性の眼瞼下垂のほとんどが腱膜性の眼瞼下垂です。腱膜性眼瞼下垂とは、眼瞼挙筋の端にある挙筋腱膜と呼ばれる膜と瞼板との結合が緩んでしまった、または伸びてしまったために上まぶたが下がってしまう状態です。このタイプの眼瞼下垂の手術治療でもっとも一般的なのが、腱膜前転術(腱膜固定術)という方法です。これは、緩んで奥に入ってしまった挙筋腱膜を前に引っ張り出して再び瞼板と結合させるという手術で、保険適用されない場合の費用は、片目で約30万円〜です。そのほか、切開手術や腱膜移植といった手術方法もあります。切開手術をした場合、片目で約30〜40万円、両目で約50万円が治療費の相場です。腱膜移植の場合は少し特殊な手術になるので、片目で60万、両目で100万円ほどかかることもあります。最近は、切開しない「埋没式挙筋短縮法」という手術方法もあり、こちらは片目で20万円ほどという低めの値段設定となっています。 瞼板から腱膜が外れているかどうかを見た目から判断するのは難しいため、保険適用となるかどうかは診察する医師によって判断が分かれます。後々のトラブルなどを防ぐためにも、保険適用がされるかどうかも含め、治療方針や手術費用に納得した上で治療を受けることが大切です。 

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6.眼瞼下垂には保険診療が適用される場合がある

眼瞼下垂の手術は状態によって健康保険による治療が可能な場合があります。

健康保険が適用されれば手術料の自己負担は3割になります。例えば、手術料30万円前後の手術を受けた場合、保険が適用されれば約5万円の負担で済みますが適用されない場合はもちろん30万円全額を負担することになりますから、手術を受ける方にとって保険適用の条件は非常に重要です。ここでは、どのような場合の眼瞼下垂手術に健康保険が適用されるのかを解説します。

健康保険の適用条件

眼瞼下垂手術に健康保険が適用される条件として以下が挙げられます。

①健康保険が使える医療施設で治療を受けること

美容外科の中には症状に関わらず健康保険を扱っていないところもあるので事前に確認しましょう。

②診察によって日常生活に支障をきたしていると判断されること

例えば、視野が狭くなり車の運転などに危険を伴う、瞳孔が隠れてしまうほどまぶたが下がっているといった場合には、日常生活に支障をきたすほどの病的眼瞼下垂であると判断され、保険適用となることが多いです。ただし、保険を適用するかどうかの判断は医師に委ねられるため、ある病院では保険適用となる状態でも、ほかの病院では適用されないということも起こり得ます。特に、まぶたの下がり具合が瞳孔にかぶらない程度の場合には判断がわかれるようです。

③腱膜性眼瞼下垂と診断されるこ

腱膜性眼瞼下垂は腱膜の病気ですから、通常保険適用となります。しかし、眼瞼下垂が腱膜性なのかどうかを見た目から判断するのは難しいです。腱膜性眼瞼下垂の特徴としては、

・額に深いしわができる

・目の上に窪みができる

・二重の幅が広がる

・肩こりや頭痛を併発する

これらが挙げられるので、これらをもとに総合的に判断されます。腱膜性チェックの方法としては、まぶたに重りを付けた状態で、まぶたが上がるかどうかを調べる方法があります。腱膜性眼瞼下垂の人は、2〜3gの重りを付けるとまぶたが上がらなくなります。

保険が使えない手術

健康保険が適用されるかどうかの最大のポイントは、機能改善の必要があるかどうかです。眼瞼下垂によって日常生活に支障があったり、危険があったりする場合には、機能改善の必要があると判断できますが、目を大きく見せたいといった美容目的の場合には保険は適用されません。そのため、二重の幅や左右のバランスといった仕上がりの美しさを重視したい場合には、保険適用外で手術を受けることになります。ただし、これにも医師や病院による差があり、保険適用の手術であっても、ある程度見た目にも配慮してくれる病院もあります。 

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7.眼瞼下垂の治療方法

眼瞼下垂になった原因や症状によって治療法は異なります。先天的な眼瞼下垂や腱膜性眼瞼下垂、加齢による眼瞼下垂など、まぶた自体に問題がある場合は、主に、まぶたの切開をともなう手術治療が行われます。脳梗塞や神経疾患など、まぶた以外に原因がある場合は、その原因疾患の治療がまず優先されます。 」

まぶた自体に原因がある場合の治療

眼瞼下垂の中で最も多い「先天性眼瞼下垂」の治療は、手術が主体となります。ほとんどの場合、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)の動きが悪いことが原因なので、代わりとなる筋膜を移植することで、おでこの筋肉でまぶたを上げることができるようにします。特に、まぶたが瞳孔にかぶさってしまうような重度の場合、お子さんの視力発達に影響する恐れがあるため、早期に医師に相談する必要があります。成長とともにまぶたが上がるようになる場合もあることから、医師と相談しながら治療の必要性を判断することになります。 眼瞼挙筋に問題がなく、眼瞼挙筋と瞼板を繋ぐ腱膜が緩んでしまっている腱膜性眼瞼下垂であれば、まぶたを切開し眼瞼挙筋や腱膜を切って短くしたり、腱膜と瞼板と接合するための手術治療を行います。眼瞼挙筋の働きに問題がなく、加齢等によってまぶたの皮膚がたるんで瞳にかかってしまっている場合には、余っている皮膚を切除します。 手術は眼科または形成外科で行われます。通常、局所麻酔を用いて行われ、日帰り手術でも可能な場合が多いです。ただし、小さなお子さんの場合には、全身麻酔が使われ、入院が必要になることもあります。

まぶた以外に原因がある場合の治療

脳梗塞や重症筋無力症のようなまぶた以外の病気によって眼瞼下垂が生じている場合、その原因疾患の治療がまず行われます。 目や脳の手術やケガ、脳梗塞や脳出血の後に起きた眼瞼下垂は自然に回復することも多いため、数か月様子を見て改善が見られない場合のみ手術を行います。重症筋無力症では薬物療法が主に行われます。 ある日突然まぶたが上がらなくなる急性の眼瞼下垂の場合、脳動脈瘤による神経の圧迫が原因となっていることがあるため、早期の脳外科手術が必要となります。 

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8.眼瞼下垂の手術方法

成人に最も多い眼瞼下垂は「腱膜性眼瞼下垂」です。上眼瞼挙筋(上まぶたを上げ下げする筋肉)は、腱膜という膜によって瞼板と繋がっていますが、この腱膜が加齢や目のこすりすぎなどで伸びきったり、緩んで瞼板から離れてしまい、十分に目を開けることができない状態をいいます。この場合には、上眼瞼挙筋自体の機能には問題がないことがほとんどです。先天性の眼瞼下垂に多いのは、眼瞼挙筋自体の機能が弱いタイプです。眼瞼下垂の手術方法はこの上眼瞼挙筋が機能している場合としていない場合で大きく2つに分けられます。

上眼瞼挙筋の機能が十分にある場合

腱膜性眼瞼下垂をはじめ、上眼瞼挙筋の機能が十分にある場合は次のような手術が行われます。

挙筋前転術(腱膜前転術): ゆるんだり伸びたりして瞼板から離れてしまった挙筋腱膜を元の位置に縫い付ける方法です。二重まぶたのしわに沿って、皮膚を切開して行います。

挙筋短縮術:伸びきってしまった眼瞼挙筋を切って短くする方法です。眼瞼挙筋自体ではなく、その先にある挙筋腱膜を切り取ることもあります。手術の際にまぶた内部の筋肉を傷つけてしまったり、手術後に目が閉じにくい場合に修正しにくかったりといったリスクがあるため、挙筋前転術での改善が見込めない重度の眼瞼下垂にのみ行われます。

・眼窩隔膜反転術:挙筋前転術では腱膜を瞼板に固定するのに対し、こちらは腱膜と繋がっている眼窩隔膜という膜を切開して反転し瞼板に固定する方法です。

上眼瞼挙筋の機能が十分でない場合

上眼瞼挙筋の働きがない、あるいは非常に弱い場合は、前頭筋吊り上げ術(筋膜吊り上げ術)を行います。多くの先天性眼瞼下垂や、重症筋無力症などの筋疾患、神経疾患治療後の眼瞼下垂などがこれにあたります。まぶたの筋肉だけでは目の開閉が難しくなっているため、代わりにおでこの筋肉の力を利用してまぶたを開かせるようにします。眉毛の上とまつ毛の上の2か所を切開し、連結させます。連結には、ゴアテックス®という人工の膜や太めの糸が用いられることもあれば、患者さん自身の太ももの腱膜が用いられることもあります。この手術の目的は、正面を見たときにまぶたが上がった状態にすることなので、術後は少なからず目を閉じることが難しくなります。 状態によっては、これらの方法と組み合わせて、たるんで余ってしまっている上まぶたの皮膚を切り取る眼瞼皮膚切除術や重瞼術というまぶたを二重にする手術が行われます。 

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9.眼瞼下垂の手術後の様子

眼瞼下垂の手術は、主にまぶたの皮膚を切開して行われます。まぶたは周囲の人の目に付きやすい場所ですし、顔の印象を左右するパーツということもあり、手術後の経過が気になるところです。手術の後はどれぐらいで自然な状態になるのか、外見が変わってしまうことはないのか、また再発はないのか、手術後の様子について解説します。

切開手術後の経過

まぶたを切開する手術というと大がかりなものを想像しますが、手術は多くの場合その日のうちに終わり、すぐに帰ることができます。ただし、腫れが強く出るので、帰るときのためにサングラスなどを持参するといいかもしれません。

洗顔、洗髪、入浴は術後だいたい2日後から可能になります。1週間ほどで抜糸をし、それから2日ほどでメイクもできるようになることが多いようです。個人差はありますが、手術から1週間ほどはまぶたの腫れが続くことがありますが、1か月ほどでほぼ自然な状態になります。 また、内出血が起きて青あざのようになることもありますが、こちらも一時的なものです。内出血は皮下で広がりながら次第に吸収されていきます。

手術による外見の変化

眼瞼下垂の手術は、跡が残りにくいように二重まぶたのしわに沿って切開するのが一般的です。同じ理由から、もともと二重まぶたでない人であっても、手術後に傷が目立たないよう、二重にするための処理も一緒に行うことがあります。もし二重まぶたにすることに抵抗がある場合は、できるだけ控えめな二重まぶたにしてもらったり、まぶたの裏側の結膜側から手術してもらったりするなど、希望を伝えることができる病院もあります。しかし、保険適用の手術では必ずしも外見上の仕上がりについて希望が聞き入れてもらえるとは限らないため、自分が納得のできる医療機関で治療を受けること、場合によっては保険を使わずに仕上がりの美しさを重視した病院を選ぶことも必要になります。

再発や再手術

残念ながら、眼瞼下垂の手術後に問題が残ってしまうケースも多少あります。例えば以下のようなことが挙げられます。

  • 手術によってまぶたが上がりすぎてしまう
  • まぶたが十分に上がらない
  • まぶたが閉じにくい
  • 左右の目の開き具合が大きく違う
  • 二重まぶたがなくなる
  • 二重まぶたの幅や形が変わる
  • 数か月たってもまぶたの腫れが引かない

時間の経過とともに回復する場合もありますが、再手術が必要になることもあります。眼瞼下垂手術は、挙筋の長さ調節が重要なので、修正のために再手術が必要になることも比較的多いといわれています。 

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10.眼瞼下垂の経過

眼瞼下垂の手術はまぶたの切開をする場合がほとんどです。メイクやコンタクトはいつからできるのか、手術後いつまでトラブルが続くのかなど、手術後の経過とともに起こり得るトラブルや変化について説明します。

手術後2週間の経過

手術後は1週間〜10日ほど、まぶたの強い腫れが続きます。その間、目やにが増えることもあります。また、手術中に血管がわずかに傷ついてしまうことで、皮膚の下で出血が起こることがあります。目の周りに紫色のあざができたような状態になりますが、1〜2週間で自然に治ります。内出血が白目部分に起こった場合、白目の一部が赤くなりますが、こちらも1〜2週間で元に戻ります。

通常は、切開手術の後3〜10日で抜糸が行われます。抜糸をするまでは糸が目立ってしまうことがあるので、腫れや内出血も含め気になる場合はサングラスやめがね等で隠すといいでしょう。 シャワーや洗顔は、手術後3日ほどで可能になります。コンタクトレンズはできれば3週間ほど控えるのがいいようですが、医師に相談したうえで翌日から装着可能な場合もあります。ただし、ゴロゴロとした違和感があるときはすぐに使用を中止しましょう。メイクは手術翌日から可能ですが、アイメイクは抜糸の翌日まで控えるよう指導されることが多いようです。

手術後数か月の経過

まぶたの腫れやむくみが完全に治まり、自然な状態になるまで数か月かかります。その間は、二重の幅が広くなったり、左右の目の開き具合が異なったりすることがあります。手術前に伝えた希望と仕上がりが違うと感じるかもしれませんが、時間の経過とともに腫れが引いて落ち着きます。時間が経ってもトラブルが続くようであれば、再手術を行うこともあります。ただし、術後すぐに再手術を行うと、傷が汚くなったり癒着が強く変形したりする恐れがあるため、4カ月ほど期間を空けてから調整することになります。

腫れが引いた後も切開の傷跡は残ります。手術直後は赤みがあり、数か月で薄茶色に、それから白っぽい線へと変化します。通常、二重のしわに沿って切開するので、最終的にはほとんど目立たなくなることが多いです。手術によって目が開くようになると、はじめは眩しさを感じる方もいるようですが、次第に調整できるようになり、気にならなくなります。また、まれに視界がぼやけて見える時期があるようです。これは、まぶたの腫れと同時に隔膜の腫れが起こっているためと考えられ、時間が経って腫れが治まれば見え方も改善されます。

まぶたが開きやすくなることで、眼瞼下垂によって起こっていたさまざまなトラブルの改善が見込まれます。眼瞼下垂の人は、目を開くために過剰におでこの筋肉を使うため、眉毛が本来の位置よりも上がったり、おでこにしわができたりしていることが多いです。手術によってまぶたの開きが改善されると、眉毛が下がり、おでこのしわも減っていきます。その他、頭痛、肩こり、めまい、冷え、眼精疲労といった症状が改善されたという例もあります。 

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11.眼瞼下垂を予防するには

眼瞼下垂症には、先天的なものと手術やほかの病気の後遺症によるものがあります。しかし、成人が発症する眼瞼下垂のほとんどは「腱膜性眼瞼下垂」というもので、これは日々の生活習慣が原因となるケースがあります。眼瞼下垂を予防するために私たちが普段からできることには、どのようなことがあるのでしょうか。

①まぶたへの強い刺激を避ける

腱膜性眼瞼下垂は、まぶたの上げ下げに関わる腱膜が伸びたり緩んだりすることで起こる眼瞼下垂です。これを防ぐには、まぶたへの刺激をできる限り避けることです。例えば、アレルギーや花粉症などで目がかゆくて強くこする、メイクを落とすときにごしごしと洗うといった行為は、まぶたには強い刺激となってしまいます。目がかゆい時には目薬をさしたり目を洗ったりして、まぶたをこすらないようにし、アイメイクや洗顔の際にも、強い力をかけないように注意してください。意外にやってしまいがちなのが、コンタクトを入れたりはずしたりするときに、上まぶたを無理に指で持ち上げることです。何年もの間これを続けるとまぶたへの負担が蓄積されます。コンタクトをしている方は、できるだけ下まぶたを引く方法で着脱するようにしましょう。 また、まぶたに直接触れなくても、目の使い過ぎによって刺激を与えてしまうことがあります。例えば、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見つめていると、目の周囲の筋肉や腱が疲労、緊張した状態が続いてしまうため、定期的に目を休め、顔全体の緊張や体の疲労を取るように心がけましょう。

②眼瞼下垂予防トレーニング

日常的な習慣に注意した上で、まぶたを上げる筋肉をトレーニングする方法もあります。すぐに始められる簡単なトレーニングです。

(1) 椅子に腰かけます。

(2) 両手の指または手のひらで眉毛の上のおでこを押さえ、眉毛を通常の位置から上下に動かないようにします。その状態で目を閉じます。

(3) 眉毛の上を押さえたままゆっくり目を開き、思い切り見開きます。この時に眉毛が上に上がらないようにしっかり押さえてください。目を見開いたまま5秒キープします。

(4) また目を閉じます。

(3)と(4)を5回繰り返すのを1セットとして、時間が空いた時に1日2〜3セットを行いましょう。

このトレーニングによって、眉毛周辺や額の筋肉を使わずに目を開くことができるようになり、上眼瞼挙筋(上まぶたを上げ下げする筋肉)が鍛えられます。 ただし、これらの予防法はあくまで眼瞼下垂になる前の段階に行うものです。すでに眼瞼下垂になってしまった人は、医師の診断を受けるようにしましょう。 

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