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インタビュー

救急外来を上手に利用するには-救急車を適正に使用する重要性

救急外来を上手に利用するには-救急車を適正に使用する重要性
宮武  諭 先生

済生会宇都宮病院 救急科 主任診療科長 、栃木県救命救急センター センター長

宮武 諭 先生

救急医療の現場では、限られた医療資源ですべての救急患者さんに対応することは容易ではありません。救急車の適正利用やかかりつけ医との関係など、私たちが医療機関を利用する際に知っておくべきことも含めて、済生会宇都宮病院救急科主任診療科長・栃木県救命救急センター長の宮武諭先生にお話をうかがいました。

済生会宇都宮病院では現在、救急車で搬送された方の入院確率は50%を少し超えるところです。つまり救急車で来る方のおよそ半分は入院しているということになり、入院確率はかなり高いといえます。

救急隊も済生会宇都宮病院が重症患者さんを診る病院だということは理解しているので、救急隊のトリアージ(重症度による優先順位付け)によって重症度の高い患者さんが運ばれるという傾向があり、その結果入院をするような患者さんが半分以上になっているというのが現状です。

その一方で、残り半分近くの方はいったん自宅へ帰っていただくことになります。その際はそれぞれのかかりつけの先生にお戻しすることもあれば、済生会宇都宮病院の外来でフォローする場合もあり、それは患者さんによってケース・バイ・ケースです。

また、済生会宇都宮病院にかかったことがある患者さんであったとしても、救急外来がいっぱいになってしまっている状況で、なおかつ症状が軽ければ、他の病院に行っていただくということがありえます。そのときの救急外来の混み具合によっては、受診希望の患者さんをすべて診ることは難しい場合もありますので、その中で我々も可能な範囲でトリアージをし、患者さんの重症度に応じて対応しています。

医療機関が救急車の要請を受け入れる割合を応需率(おうじゅりつ)といいます。応需率100%が目標ですが、現在、済生会宇都宮病院ではおよそ8割前後の応需率となっています。すべての要請を受けることができない理由として、大きく分けて3つの状況があります。

1.病棟のベッドに空きがなく満床である
2.救急外来は対応可能でも、その後の処置に必要な各々の診療科で担当医がすでに別の対応をしている
3.救急外来の対応件数が多くそれ以上受けられない

1. については、救急患者さんを受け入れていくうちに、入院ベッドが一杯になってしまい、一時的にそれ以上受け入れられなくなるということが起こります。

また2. については、いったん救急外来で受け入れることができたとしても、たとえば脳卒中で脳神経外科の専門的な治療が必要な場合、その科の医師が手術中であるなど、新規の患者さんに対応できないことがあります。

3. のように、救急外来が本当にいっぱいで、それ以上患者さんを受け入れることが困難な場合、軽症の患者さんには他の施設へ行っていただくこともあります。

この救急車の応需率を少しでも改善させられるよう、病院全体で取り組んでいますので、今後もその努力を続けていきたいと思います。

できれば、ふだんからかかりつけ医を作っておき、具合が悪くなったら早めに相談していただくという形が望ましいです。また、日中の診療時間内に受診可能な方は、できるだけそうしていただきたいと思います。

救急外来では、具合が悪く、救急ですぐに診なければいけないケースを優先的に診ることになりますので、そのことをご理解いただければと思います。

救急外来に来られる際に、軽症かつ緊急性のない場合でも安易に救急車を呼んでしまうケースが見られる一方で、自力で車から降りられないほど重症なのに救急車を呼ばずにご家族が自家用車で連れて来てしまうという場合もあります。

私も救急車の適正使用について話をさせていただく機会があると、必要なときにだけ救急車を呼ぶようにしていただきたいということをお伝えしています。しかしその一方で、心臓が止まりかけているような重篤な状態であるにもかかわらず、救急車を使わずに家族が直接連れて来てしまったという方もいらっしゃいます。

一般的に救急車を呼ぶことには抵抗があるでしょうし、特にご高齢の方であれば遠慮される方も多いことと思います。しかし、これはおかしいとか、すごく具合が悪そうだと思われるときには、救急車を使っていただくべきであり、それは適正使用として必要なことです。