インタビュー

尿路結石の治療―体外衝撃波結石破砕術と経尿道的尿管砕石術

尿路結石の治療―体外衝撃波結石破砕術と経尿道的尿管砕石術
戸邉 豊総 先生

済生会宇都宮病院 泌尿器科 主任診療科長

戸邉 豊総 先生

この記事の最終更新は2016年07月13日です。

尿路結石には緊急を要する病態とそうでないものがあり、治療についてもいくつかの方法があります。自然に排出されるようにする保存的な治療のほか、結石を砕く体外衝撃波結石破砕術と経尿道的尿管砕石術について、済生会宇都宮病院泌尿器科主任診療科長の戸邉豊総先生にお話をうかがいました。

多くの場合、結石の大きさが6mm以下のものに関しては尿道からの排出ができるのではないかといわれており、最大7mmぐらいまでは出せるのではないかともいわれています。

この保存療法に取り入れられている薬剤として、前立腺肥大症の治療に用いられるα-1ブロッカーがあります。α-1ブロッカーは尿管を拡張させる働きがあり、結石の自排率(自然に結石が排出できる割合)が1.2〜1.3倍になるといわれています。このような薬剤を併用することによって保存的に治療、つまり尿道から結石を出しやすくします。

それでも結石が出ないような場合、または尿管に石が詰まって腎臓が腫れて水腎症(すいじんしょう)と呼ばれる状態になり、腎機能を低下させるような場合には、いわゆる積極的治療の適応になります。

無麻酔でできる治療としては、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)があります。これは衝撃波発生装置の上で患者さんに横になっていただき、体の外から衝撃波を当てて結石を破砕するというものです。済生会宇都宮病院の泌尿器科では、1990年に栃木県でもっとも早くこの装置を導入しています。

ESWLは麻酔なしで行える安全な治療法ですが、あまり大きな結石や、がっちりと尿管にくっついているものに対してはなかなか効果が上がらないという欠点があり、また大きな結石では砕いた細かい破砕片が尿管に詰まってストーンストリートと呼ばれる状態になってしまうこともあります。

済生会宇都宮病院の泌尿器科では、経尿道的尿管砕石術(TUL)を積極的に行っており、年間100例を超える患者さんに実施しています。これは尿道から内視鏡を入れて結石のところまで到達させ、ホルミウム・ヤグレーザーで石を砕くという方法です。ごく細いファイバースコープを尿管や腎盂(じんう・腎臓と尿管の接続部で腎臓からの尿が集まるところ)の中まで入れ、結石を見ながらレーザーファイバーを操作してレーザーで直接石を砕くので、砕石効率が非常に良い方法です。

YAGレーザー(ヤグレーザー)には、Nd:YAGレーザー(ネオジウム・ヤグレーザー)とHo:YAGレーザー(ホルミウム・ヤグレーザー)があります。経尿道的尿管砕石術で一般的に用いられるのはホルミウム・ヤグレーザーです。ホルミウム・ヤグレーザーの到達度は0.4mmと短いので、結石は砕いても尿管の組織を傷つけにくいという特徴があります。

結石が砂状に粉砕されれば自然に体外へ排出され、治療が完了します。もしブロック状の破片がある場合には、内視鏡で腎盂から回収することもできます。

尿路結石には、緊急を要する病態と経過をみてもよい病態の2つがあります。熱がある・腎不全を起こしている・腎臓が片側のひとつしかないなど、下記のような緊急を要する病態の場合には、速やかな処置が必要です。

・結石により閉塞性の腎盂腎炎になって敗血症を起こしている

・両側の尿管に結石が詰まっている

・腎臓が一つしかなく、その尿管に結石が詰まっている

・結石が尿管に詰まったことによって尿路が破裂して周囲に尿がもれている

このような場合には、腎臓に直接カテーテルを入れる腎瘻(じんろう)や、尿道からカテーテルを入れて尿をドレナージ(排液)する尿管ステントが必要になることもあります。ただし、割合としては腎瘻よりも尿管ステントのほうが圧倒的に多いです。

痛みを訴えて救急で来られた患者さんであっても、緊急を要する病態でない場合には、疼痛を取り除くという処置にとどめます。座薬や注射による痛み止めや前述した尿管を拡張させるα-1ブロッカーに加えて、指圧も有効です。腰背部に腎兪(じんゆ)という痛みのツボがあり、そこを指圧することで患者さんの痛みが軽減できます。座薬や注射と比べても即効性があり、これらの痛み止めが効くまでの間、かなり多くの患者さんに効果があります。

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