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痕を残さないニキビ治療と、ニキビ痕をきれいにする治療とは?

 痕を残さないニキビ治療と、ニキビ痕をきれいにする治療とは?
花房 火月 先生

はなふさ皮膚科 理事長

花房 火月 先生

ニキビは多くの方が経験するものですが、最近では「ニキビは皮膚の病気」と認識されることも多くなっています。このようなニキビは適切な治療を行うことで、痕を残さず治していくことが可能になりました。

当時、適切な治療を受けられずニキビ痕が残ってしまった方には、ニキビ痕をきれいにするための治療があるそうです。気になるニキビ治療・ニキビ痕治療について、はなふさ皮膚科の花房火月(はなふさ・ひづき)先生に伺いました。

ニキビは10代から20歳代にかけて多く発症する病気です。特に、中学生、高校生の頃には多くの方がニキビを経験します。20歳を過ぎる頃からニキビは自然となくなっていきますが、人によっては30歳代まで悩まされることもあります。

ニキビは医学的には「尋常性痤瘡(ざしょう)」と呼ばれ、れっきとした病気として認識されています。ニキビを放っておくと衛生状態に影響する以外に「外に出るのが嫌になる」といった精神面での影響も出てきます。

ニキビは男性ホルモンの影響やストレス、不規則な生活習慣によって皮脂分泌が盛んになることが原因の一つです。皮脂分泌が増えると毛穴の角質が固くなります。するとさらに皮脂がたまってしまい、その毛穴にアクネ菌、いわゆるニキビ菌が増殖してニキビになっていきます。ニキビに対し適切な治療をせず放置すると炎症がひどくなり、毛包の組織が破壊され、最終的にニキビ痕になります。

① 毛穴からの皮脂の分泌が増える

② 毛穴の角質異常で、皮脂の正常な分泌が困難になる

③ 皮脂が毛穴に詰まって非炎症性丘疹(白ニキビ)が形成される 

④ アクネ菌などの菌が白ニキビに感染する

⑤ ニキビが腫れて、痛みを伴う炎症性丘疹(赤ニキビ)になる

⑥ 赤ニキビが悪化すると膿をもった膿疱性痤瘡となる

⑦ そのまま放置すると瘢痕(ニキビ痕)になる

(引用:はなふさ皮膚科HP)

ニキビは約90%の方が経験するといわれていますが、病院に行って治療をした方は全体の約12%程度にとどまるとされています。ドラッグストアなどで市販薬を買って対処するという方も多いのではないでしょうか。

冒頭でもご紹介したように、ニキビが病気である以上、病院だからこそ受けられる治療があります。特に2008年にニキビ治療はガイドラインができて以来、ますます発展を見せている領域です。私は病院でのニキビ治療は、ニキビが治ることは当たり前で、「痕を残さない」ことが一つのゴールと考えています。

病院で治療を受ければ重い症状のニキビでも治りやすく、しかも再発のリスクも低下させられるという利点があります。特に最近ではニキビに対するアダパレン(ディフェリンゲル®)、過酸化ベンゾイル(ベピオ®)といった外用薬が使われるようになってきました。こういった外用薬は毛穴のつまりを取り除くのに効果を発揮します。

これまでニキビの治療には抗菌薬の内服薬、外用薬が主流でした。最近では日本でも上記のような薬剤が使用されるようになり、痕を残さず治療できる時代となってきています。

上記のような新たな外用薬の出現で、約9割の方は保険診療内の標準治療で痕を残さずニキビを治すことができるようになりました。一方で炎症が強い赤ニキビや、さらに悪化してできる膿疱性痤瘡など、どうしてもきれいに治らないケースも存在します。

そのような場合には通常の治療と合わせて他の治療も併用されます。若い男性に多い重症型のニキビにはステロイドの内服や局所注射、25歳以上の大人の女性に多く月経前に増悪するタイプの重症型ニキビにはホルモン調整剤(保険診療内で使用できるものもあります)を使用することがあります。また、ストレスのマネジメントが必要になる場合もあります。他にも漢方薬や、ピーリングも重症のニキビに行われる治療法の一つです。

病状に合わせてフォト治療やレーザー治療をお勧めすることもあります。

前述の通り、今では様々な治療を組み合わせることでニキビを痕にせずきれいに治せる時代になったといえます。とはいえ病院で治療を受けず痕になってしまった、もしくはよい治療のない時代にできた痕が気になる、という方も数多くいらっしゃると思います。

そのため、ニキビ治療だけでなく、ニキビ痕(陥凹性瘢痕)を治すための治療も注目を集めています。そのひとつがフラクショナルレーザーです。フラクショナルレーザーは当初期待された高い効果と、施術者に特別な技術が必要ないことが加わり、画期的な治療法として注目を集めました。現に中等度のニキビ痕であれば、数回の照射で大きく改善するケースが多いでしょう。とはいえ、やはり重度の瘢痕となっているなどの理由で、それほど効果が期待できないケースがあることも次第にわかってきました。

重度の瘢痕など、従来の治療で効果が得にくいニキビ痕に対して今我々がもっとも効果を期待しているのが、皮膚移植やサブシジョンという方法に代表される「手術治療」です。

通常の皮膚移植では耳の裏からきれいな皮膚を剥離し、患部に移植します。メスを入れる治療なので傷ができてしまうことが課題で、傷を嫌がる日本人には現時点ではあまり向いている治療とはいえないかもしれません。

サブシジョンは、特殊な針で瘢痕組織をひきはがす治療になります。瘢痕をひきはがすことで、固定されていた陥凹がなくなることを狙うのですが、この技術もまだ発展途上ではっきりとした適応がわからないという課題があります。

これは手術療法全体にいえることですが、外科手術である以上、技術が必要でありこれらの治療法を行えるクリニックはまだそれほど多くありません。そのためこうした治療は保険診療ではなく自由診療となるので、費用の負担も大きくなりがちです。そして前述した適応の問題や、認知度が低いこともあり、一般的な治療と認識されるにはまだまだ壁があるといわざるをえません。

しかし、革命的とされたフラクショナルレーザーも万能ではないとわかった今、これらの「手術治療」がニキビ痕すらきれいに治す、21世紀の皮膚科治療を牽引する存在になると考えており、我々はその向上に努めています。

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