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インタビュー

公開日 : 2016 年 08 月 24 日
更新日 : 2017 年 10 月 17 日

内臓脂肪、メタボリックシンドロームと健診の重要性 — 武田病院健診センター(京都府京都市下京区)における取り組み

「自分が健康かどうか」というのは意外と自分では認識しづらいもので、「気がつけば病気になっていた」というのもよく聞く話です。このような事態を避けるために必要なのが定期的な健診(健康診断)です。健診は「悪いところ」を見つけるだけが目的ではなく「何も悪いところはない」と安心を得ることも大きな目的のひとつと言えます。健診の重要性について、内臓脂肪測定の必要性を交えながら武田病院健診センター所長(京都府京都市下京区)の桝田 出先生にお話を伺いました。

なぜ、健診が重要なのか? 内臓脂肪とメタボリックシンドローム

生活習慣病と内臓脂肪の関係

現在、日本人の死因のおよそ6割を癌・心疾患・脳卒中が占めています。そして、その原因になるのが高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病です。

これらの生活習慣病を放置しておくと腎臓疾患・動脈硬化が進むなど、やがて重大な疾患へとつながっていきます。それを避けるためにも生活習慣病の予防、改善はとても大切なことなのです。生活習慣病というのはその名のとおり、生活習慣の積み重ねの中から起こってくるものです。とくに脂質や糖質の多い食事や運動不足による肥満が関わっていると考えられます。

では、ここでいう「肥満」とは何を指すのでしょうか。一般的に肥満といえば体重と身長の関係から算出されるBMIによって判断されることが多いです。しかし、生活習慣病の引き金になるのは「内臓脂肪」つまり内臓についている脂肪の程度が重要であり、生活習慣病に関連する「肥満」であるかどうかは内臓脂肪の量で判断します。「内臓脂肪」について少し詳しく説明します。内臓脂肪はなんとなく「内臓にへばりついているもの」というイメージをお持ちかもしれません。内臓脂肪というのは主に腸間膜や大網(大網膜)の表面にべったりとはりついている過剰な脂肪のことです。

もともと脂肪というものは体に必要なものです。飢餓に対する貯蓄や、寒さなどの環境に対する防御などの役割を担っていますし、最近では動脈硬化を予防する「アディポネクチン」という物質を分泌していることもわかっています。しかし、脂肪は脂肪でも内臓脂肪が多い人は、このアディポネクチンの分泌が少なく、むしろ動脈硬化を悪化させる「TNF-α」など悪玉の物質が多く出ているのです。つまり、内臓脂肪を減らせばアディポネクチンが増え、動脈硬化が進みにくくなり、生活習慣病が予防できるということになります。

内臓脂肪はウエスト周囲長(腹囲)によって測られるのが一般的ですが、武田病院健診センターではデュアルインピーダンス法を用いた内臓脂肪を測定できる最新機器を導入し、より精度の高い健診が可能になっています。

メタボリックシンドロームと特定保健指導

2005年にメタボリックシンドロームの診断基準が定められ、2010年に「特定健診」や「特定保健指導」の取り組みが始まりました。特定健診でメタボリックシンドロームの該当者を抽出し、生活習慣病の治療・予防のための指導を行うという流れです。

「内臓脂肪を減らしましょう」というと、よく「やせる薬はありますか?」と聞かれるのですが、大切なのは薬による治療ではありません。やはり重要なのは食生活と運動です。生活習慣そのものを見直すことが特定保健指導の根本的な考え方なのです。

さて、メタボリックシンドローム、通称「メタボ」。みなさんよく耳にする言葉だと思いますが、メタボとはいったいどういう状態のことなのでしょうか。腹囲や内臓脂肪が強調されるため、なんとなく「太っている人のことかな?」という程度の認識の方も多いかもしれません。

メタボリックシンドロームの基準(日本内科学会など8学会による)

日本におけるメタボリックシンドロームの診断には、内臓脂肪の蓄積が必須条件で、それに加えて、血圧・血糖・血清脂質のうち2つ以上が基準値を超えていることが条件になっています。

・腹部肥満

 ウエスト周囲長(いわゆる腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上)

・中性脂肪値・HDLコレステロール値

 中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満(いずれか、または両方)

・血圧

 最高血圧 130mmHg以上、最低血圧 85mmHg以上(いずれか、または両方)

・血糖値

 空腹時 110mg/dl以上

単純に「太っている=メタボ」ということではないのです。見た目にはわからないからこそ、健診を受けることが重要なのです。

内臓脂肪は腹囲によって測られるのが一般的ですが、先述したように実は腹囲だけでは内臓脂肪を適切に計測すること困難です。武田病院健診センターでは内臓脂肪を測定できる最新機器が導入されています。

武田病院健診センターで健診を行うことの意義

武田病院グループでは予防から急性期、回復期、維持期と連なる医療の流れを作ろうと日々努めています。京都府内に多くの施設を持つ武田病院グループならではのものです。

その中で私たちは、「予防」の部分を担っています。健診の大きな目的は早期発見、疾病の予防などです。早期発見には病気の芽を摘むという以外に、生活習慣病を脳卒中や心筋梗塞などに「進ませない」ということも含まれます。もうひとつ、健診には大きな役割があります。それは安心感の提供です。悪いところを見つけることだけが健診の目的ではありません。「何も悪いところがなかった」と安心していただくことも、健診の大切な役割だと考えています。

武田病院グループでは、年間約7万6000人の健診を行っています。人間ドックと協会健保の生活習慣病予防健診などが主な柱です。人間ドックは同じ人が継続して受けていることが多く、約7割の方が毎年受けていらっしゃいます。それだけクオリティの高い健診を提供できているということだと自負しております。

武田病院グループの人間ドック

 

健診をスムーズに受けていただくために、武田病院グループの4つの健診センターを一元管理できるようにしました。まずコールセンターを集約し、予約を取りやすく、そしてどこで受けても結果は一括で見られる仕組みにし、グループ内のどの病院でもすぐに結果を照会することが可能です。また、武田病院健診センターでは、待ち時間解消のために「通過管理システム」を利用したリストバンドを導入。検査が終わったあとにボタンを押すと、次に空いている検査へと誘導してくれるものです。また、各検査場所にタブレットを設置し、次に受けていただく検査の案内や、過去の検査結果などを確認していただけるようになりました。