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インタビュー

公開日 : 2016 年 08 月 10 日
更新日 : 2017 年 12 月 04 日

変形性膝関節症の治療や入院期間

高齢化社会が進むにつれて膝の痛みに悩む方も増えつつあります。膝の痛みを放置しておくと歩けなくなってしまったり、運動量が減ることにより生活習慣病を悪化させてしまうことにもなりかねません。膝の痛みの多くが変形性膝関節症によるものであるとされており、その場合には膝の手術により痛みをとることが可能なときもあります。宇治武田病院(京都府宇治市)整形外科に勤務し、豊富な膝の手術経験を持つ清水長司先生にお話をお伺いしました。

膝の痛みの原因として大切な「変形性膝関節症」とその手術

最近、中・高年を中心に「膝の痛み」を訴える人が増えていますが、その原因として最も多いのが「変形性膝関節症」です。年齢とともに関節内の軟骨が磨り減って、骨同士がぶつかり合うことで強い痛みが発生します。O脚になるなど見た目にも変形が起こり、歩行困難になるなど、日常生活にも支障を来たすようになります。

さらに、膝の痛みを我慢していると腰や股関節などのほかの部分を痛めてしまうこともありますし、痛みがひどくなって歩くことを避けるようになると、筋力の低下にもつながっていきます。筋力が低下すると、ますます歩くことが困難になるという悪循環に陥ってしまいます。「膝の痛みをとること」は、健康に歳を重ねていくために、とても大切なことなのです。

膝の痛みに対する治療には、大きく分けて保存療法と手術の2つがあります。

保存療法には、体重のコントロールや筋力トレーニング(運動療法)によって膝関節への負担を減らすものや、痛み止めの処方、関節の炎症や動きを改善するための関節内注射(ヒアルロン酸製剤)などの方法があります。しかし、保存療法では変形した骨や、磨り減った軟骨を元に戻すことはできません。

痛みや変形が進むようであれば、手術を考えることになります。ここからは変形性膝関節症に対する膝の手術についてお話します。

膝の手術の種類-変形性膝関節症への「人工関節置換術」と「骨切り術」それぞれの特徴

変形性膝関節症への膝の手術には大きく2つの方法があります。

人工関節置換術

「人工関節置換術」とは、膝の関節全体を人工膝関節に置き換える手術です。

膝関節全体が大きく変形し、痛みが強く歩行や立ち座りなど日常の動作に支障を来たしている場合には、この手術を行います。部分的に変形が強い場合にはそこだけを置換することも可能です。また最近では手術中にナビゲーションシステムを用いて、より精度の高い手術が可能となっています。正座などの深く膝を折る動作や、テニス、登山などといった激しい運動などには制限がかかりますが、痛みをとる効果は非常に高く、ウォーキングやゴルフなどの比較的軽いスポーツや、旅行などは十分に楽しめるようになります。

骨切り術

一般に70歳くらいまでの活動性の高い方であれば、「骨切り術(高位脛骨骨切り術)」という選択肢があります。変形性膝関節症での痛みは、ほとんどの場合、膝の内側に負担がかかることで発生します。そのため脚はO脚に変形していきます。「骨切り術」は脛骨(すねの骨)を切ってO脚を矯正することで、膝にかかる負担を軽減する方法です。

多少痛みが残ることもありますが、人工膝関節に比べると運動制限はほとんどなく、自分の関節を残せるのが大きなメリットです。

ただし、骨切り術を行うには、ある程度骨が丈夫である必要があります。高齢の方の場合、骨粗しょう症で骨自体が弱っていると骨がつきにくく、手術後のリハビリに時間がかかってしまいます。そのため骨切り術より、むしろ人工膝関節の適応になることもあります。

比較的若い方に骨切り術を勧める理由のひとつに、人工膝関節の耐用年数の問題があります。

人工膝関節は一般的に20年ほどで入れ替えが必要になると言われています。たとえば40歳で手術を受けた方は、60歳で再手術を受けなければならない可能性が出てきます。もちろん、20年以上入れ替えなしで、痛みもなく過ごされている方も数多くいらっしゃいますが、とくに若くて活動性の高い方の場合には、それぞれの長所・短所をよく説明した上で、人工膝関節は避け、骨切り術を選択する方向にあります。

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