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公開日 : 2016 年 09 月 05 日
更新日 : 2017 年 07 月 14 日

不整脈と心房細動とは?高周波カテーテルアブレーションによる治療や術後の合併症などを専門医が解説

目次

不整脈とは?

心筋梗塞

健康診断などで、「不整脈があるので再検査をするように」などといわれて心配になった方も多くいるのではないでしょうか。そもそも不整脈とは一体どういったものなのでしょう。不整脈とは、心臓を流れる電気信号の異常により心拍数に異常をきたしたり、リズムの乱れを生じるものを指します。絶対に治療が必要なものからそうではないものまで様々な病気が含まれます。まずは、正常な心臓の電気信号の作り方と不整脈の仕組みについてそれぞれご紹介します。

正常な心臓の電気信号の作り方

心臓には、血液を受けるための上部の部屋「心房」と血液を送り出す下部の部屋「心室」が左右にひとつずつ、合計4つの部屋があります。右心房の洞結節でつくられた微量の電気が、刺激伝導系という経路を伝い心房から心室に伝達されます。そして、この電気刺激が心臓の筋肉(心筋)に伝わり、拍動が生じることで全身へ血液が運ばれます。

心臓の電気刺激伝導と心電図波形

心房と心室の間には房室結節という中継点のような場所があります。この房室結節は心房の収縮の後、時間差で心室の収縮が起こるように、電気信号をうまく遅らせながら心室に伝える役割があります。

拍動は1分間で60回~80回ですが、これは洞結節が電気信号のリズムを作り、それを房室結節がきちんと1:1に伝導することで成り立っています。

不整脈が起こる原因

不整脈は、この電気信号がうまく発信あるいは伝達しなかったり、別の場所から電気が流れてきてしまうことをきっかけに、心筋が異常な電気的興奮をきたすことで起こります。

3つの種類の不整脈

不整脈は大きく次の3種類に分かれます。

期外収縮 −  脈がとぶ

頻脈       −  脈が速くなる

徐脈       −  脈が遅くなる

実は、不整脈は『病気の名前』ではありません。『病態』を現したものです。また、手首を触って数える脈拍とは違い、心電図検査、血液検査、胸部X線、運動負荷心電図、ホルター心電図、心臓超音波検査などの検査で調べます。誰にでも起こる生理現象のようなものから、命にかかわるものまであります。中でも健康診断などでよく発見される「期外収縮」は治療が必要ないケースが多い不整脈です。「徐脈」や「頻脈」は、治療が必要とされることも多く、特に心臓弁膜症、虚血性心疾患、心不全など心臓に持病がある場合、これら不整脈には注意が必要です。

不整脈の症状

心臓の電気信号のリズムに乱れがあるからといって必ずしも自覚症状があるわけではありません。

心臓などに持病がある人以外は、健康診断などで指摘されてはじめて、自分が不整脈であると知るケースも少なくありません。

脈が遅くなると、息切れ、立ちくらみ、めまいや一過性の失神などの症状が起こり、脈が速くなると、吐き気や動悸、冷や汗、めまいなどの症状が起こることがあります。

不整脈の治療方法

健康診断などで不整脈の指摘があった場合、循環器内科で治療が必要かどうか調べてもらいましょう。内服治療や、必要に応じてペースメーカーやカテーテルアブレシーションなどの手術が必要となります。

治療が必要な不整脈について

不整脈でもっとも危険なものは、『突然死を起こす可能性がある不整脈』です。

突然死を起こす可能性がある不整脈として以下が挙げられます。

  • 致死性不整脈
  • 準致死性不整脈

また、命を脅かすほどの危険性はないものの、自覚症状が強く生活の質を下げてしまう不整脈や、脳梗塞や心不全につながりうる不整脈も治療の対象になります。

致死性不整脈

不整脈の中で最も重症度が高く、治療を行わないと短時間のうちに生命に危険を及ぼす可能性のあるものです。致死性不整脈が現れた場合には、早急に治療を開始する必要があります。

致死性不整脈には、以下があります。

頻脈性不整脈」— 持続性心室頻拍、トルサード・ド・ポワンツ、心室細動

徐脈性不整脈」— 完全房室ブロック、洞不全症候群

持続性心室頻拍の原因は、心筋梗塞、心筋症、特発性のものなどがあり、トルサード・ド・ポワンツの原因は、QT延長症候群、先天性、薬剤によるものなどがあります。また、心室細動の原因は心筋梗塞、心筋症、Brugada症候群、特発性のものなどがあります。

準致死性不整脈

不整脈そのもので死に至るほど重症ではないものの、治療をせず長時間放置することによって血液の流れが悪化し、死亡することのある不整脈です。持病をもっている人に起こりやすく、やはり詳しい観察と治療が必要です。

準致死性不整脈には、以下があります。

頻脈性不整脈」— 心房粗動の1対1伝導、肥大型心筋症における頻脈性心房細動、WPW症候群における頻脈性心房細動(偽性心室頻拍)

徐脈性不整脈」— 急速に進展する三枝ブロック、発作性完全房室ブロック、Mobitzll型の第2度房室ブロック

強い自覚症状がある不整脈

直接命にかかわることはありませんが、動悸などを強く感じ日常生活に支障がでてしまうような自覚症状が強い不整脈です。

自覚症状がある不整脈には、以下があります。

頻脈性不整脈」— 心室性期外収縮、多発性上室性期外収縮、発作性上室性頻拍、発作性心房粗動、発作性心房細動

徐脈性不整脈」— 発作性洞停止、徐脈頻脈症候群

心不全や脳梗塞を起こす危険性のある不整脈

極端な頻脈(1分間130拍以上)がある場合や、極端な徐脈(40拍以下)が長時間続くことにより心筋に負担がかかり、心不全を引き起こす危険性があります。このとき、もともと心臓病がある場合はとくに心不全を誘発しやすいです。また、基礎心疾患がない場合でも、長期の頻脈により「頻脈誘発性心筋症」と呼ばれる強い心不全が起こることがあります。

心不全を引き起こす可能性のあるものとして以下が挙げられます。

頻脈性不整脈」— 心室頻拍、接合部頻拍、心房粗動、頻脈性心房細動、上室性頻拍、洞性頻脈

徐脈性不整脈」— 洞性徐脈、洞房ブロック、房室ブロック

脳梗塞は、心房細動が原因となり起こることがあります。高齢者の脳梗塞は動脈硬化が主な原因となる場合が多いですが、不整脈による脳梗塞は比較的若い人に発症することがあります。

心房細動とは代表的な不整脈の一つ

心房細動は、代表的な不整脈の一つです。前述の通りそれ自体が致死的なものではなく過度に怖がる必要はありませんが、脳梗塞や心不全になるリスクがあります。とくに糖尿病、高血圧などがある人や高齢者の場合、リスクが増大します。「タバコを吸うとがんになりやすい」といように、「心房細動があると脳梗塞や心不全になりやすい」という形で、心房細動を理解するとよいでしょう。

2003年の日本循環器学会の調査によると心房細動の有病率は、70歳代で男性3.44%、女性1.12%、80歳以上の場合は、男性4.43%、女性2.19%との報告がされており、決して珍しい病気ではないことがわかっています。心房細動は高齢になるほど発症率が高いため、老化が一番の原因であることもわかっています。

通常の心臓リズムと心房細動

通常は、心房から心室への電気刺激は1対1で伝わり、心房と心室が一定のタイミングでずれながら効率的に収縮します。その結果、心臓の拍動が正しいリズムでおこなわれ、血液が全身へと運ばれていくのです。このリズムは「洞リズム」と呼ばれています。正常の場合、洞結節から心室にむかって一方向に流れるのですが、心房細動では、洞結節以外の場所に発生した異常電気信号により、3-4つほどの電気信号の渦を作ってしまします。

電気信号により心房は収縮するので、渦ごとに心房が収縮することとなります。つまり、心房の部分がばらばらに収縮します。正常時は心房が全体で1分間に60-80回の収縮をしているわけですが、この渦は1分間に350-500回の収縮を起こし、ばらばらに収縮しているため、心房は小刻みに震えている状態になります。この状態を心房細動と呼びます。

ちなみに、心房細動で心房の収縮が異常に増えても、心室が同様になることはありません。なぜなら、たとえ心房と心室の1:1拍動の関係が崩れても、心室への電気信号は房室結節を通って伝わっていく必要があるからです。房室結節は一人ずつしか通れない「吊り橋」のような構造になっていて、電気信号を一拍ずつしか伝えません。この仕組みのおかげで、心房細動自体は致死的な不整脈にならないのです。とはいえ、心室へ伝わる電気信号が1分間に100回を超えると動悸や脈の乱れを自覚しやすくなります。

心房細動が心不全や脳梗塞を引き起こす理由

それではなぜ心房細動は心不全の原因となるのでしょうか。心房細動が起こると、心室から送り出される1回の血液の拍出量が30%程度低下してしまうことがわかっています。それだけではなく心房細動が続き、心室の拍動が多い状況が続くと、心臓が疲れ心不全を起こすリスクが高くなります。

一方、脳梗塞はどうでしょうか。左心房の一部に左心耳という箇所があります。心房細動が起こると心房の収縮性の低下により、左心耳の血流が停滞し血液が固まり、血栓ができやすくなります。このようなどこかで形成された血栓がとんでいき詰まってしまうことを「塞栓症」と呼びます。そして、この血栓が脳動脈に詰まると脳梗塞を引き起こします。塞栓症による脳梗塞はそうでない脳梗塞に比べても、非常に梗塞範囲が大きくなりやすいことがわかっています。

しかし、ここで重要なことは、血栓ができたからといって、それが必ずしも「脳梗塞」につながるとは限らない点です。

心臓から大動脈へでた血栓がたまたま頭部に詰まると「脳梗塞」になります。また、頭部の動脈を通り過ぎ、腹部の動脈に詰まって、さらに重篤な状態になることもあります。しかし、心房細動になっても「脳梗塞」にならない人の方が圧倒的に多いので、過度に心配する必要がないことを理解しておきましょう。

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