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脳腫瘍に対する放射線治療の選択
脳腫瘍に対する放射線治療において、ガンマナイフ、サイバーナイフとともに名前の挙がるノバリス。しかしノバリスを含めたこの3種類の治療装置の違いについて、しっかりと理解している患者さんは少ないのでは...
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脳腫瘍に対する放射線治療の選択

公開日 2016 年 10 月 16 日 | 更新日 2017 年 10 月 20 日

脳腫瘍に対する放射線治療の選択
周藤 高 先生

横浜労災病院脳神経外科 部長

周藤 高 先生

脳腫瘍に対する放射線治療において、ガンマナイフ、サイバーナイフとともに名前の挙がるノバリス。しかしノバリスを含めたこの3種類の治療装置の違いについて、しっかりと理解している患者さんは少ないのではないでしょうか。今回はノバリスの特徴やメリットを中心に、ガンマナイフやサイバーナイフとの違いについて、横浜労災病院脳定位放射線治療センター長兼脳神経外科部長の周藤 高(しゅうとう・たかし)先生におうかがいしました。

定位放射線治療装置ノバリスとは?

ノバリスとは、ドイツ・ブレインラボ社が開発した定位放射線治療装置です。治療適応範囲は頭部だけでなく体幹部も含まれています。X線を回転しながら照射することで比較的短時間で放射線治療を行うことができ、また、分割照射により比較的大きな病変や視神経や脳幹といったデリケートな部位に生じた病変の治療を得意としています。

ノバリスの特徴とメリット

治療時間が短いため、通院による治療が可能

ノバリスは連続的に回転しながらX線を照射できるため、従来であれば1時間程度かかっていた放射線治療であっても15〜20分に短縮できます。治療時間の短さから、通院による治療も可能になりました。

独自の位置補正システムにより高い照射精度を実現

ノバリスはExacTracシステムという患者さんの位置決めと照合のできるシステムによって、非常に高い精度で病変に照射ができます。これはノバリスにのみ搭載されている独自のシステムです。治療計画作成時のCTと照射時のレントゲンを照合、位置のずれを補正して患者さんを正確な位置に合わせます。

また、三層式の専用マスクによって頭部をしっかり固定することで、照射中の頭部の動きを最小限に抑えてより確実な照射を実現しています。

分割照射によって複雑な病変にも安全に照射可能

分割照射により、1回あたり少ない線量での照射ができます。このために大きな病変や視神経や脳幹などの複雑な病変にも、より高い安全性をもって治療することが可能になりました。少ない線量で分割照射することで周辺組織へのダメージを最小限に照射ができるため、治療後の後遺症の心配も大きく軽減されます。

また、ノバリスはIMRT(強度変調放射線治療)も可能です。IMRTのできない従来の放射線治療装置では、同じ方向から照射される放射線量は一定でした。IMRTは腫瘍にのみ集中して高い放射線量の照射を行うことで、周辺重要組織への影響を最小限に抑えながらより高い治療効果を期待できます。

ピン固定が不要で患者さんの負担が少ない

ノバリスはマスクを被せることで頭部を固定するため、ガンマナイフのように局所麻酔をかけて頭蓋骨にピンを留めることはありません。そのため、患者さんの身体的な負担も少なく治療が可能です。

ノバリスの副作用は通常の放射線治療で起こるものと同じ

ノバリスによる治療において、副作用を心配する方もおられます。実際、ノバリスだから起きるといった副作用はありません。照射後に起こる脳のむくみや頭痛、吐き気などは、ノバリスだけでなく放射線治療全般に起こりうるものです。ですから、ノバリス独自の副作用については心配する必要はないでしょう。

ノバリス・ガンマナイフ・サイバーナイフの違い

脳腫瘍に対して放射線治療が必要であると判断された際、治療装置として検討されることが多いのはノバリス・ガンマナイフ・サイバーナイフの3種類の装置です。これらはいずれも脳腫瘍に適応可能な放射線治療装置ですが、それぞれ特徴が異なります。

ノバリスとガンマナイフの違い

ノバリスは分割照射が容易に可能なため、比較的大きな脳腫瘍や視神経や脳幹などの脳腫瘍の治療に適しています。また、治療時間が短くマスクで固定するため、患者さんの負担が少ない点がメリットです。

一方、ガンマナイフは数mm程度のものから3cm以下のものまでの比較的小さな脳腫瘍の治療が最も適している放射線治療装置です。また、1回の照射につき10個程度の腫瘍であれば容易に照射が可能で、多発性脳腫瘍の治療にも威力を発揮します。

フレームを頭蓋骨にピン固定するため、マスク固定よりも患者さんの負担はかかりますがマスク固定のノバリスよりもより高い精度で治療ができる点もメリットです。

ノバリスとサイバーナイフの違い

ノバリスとサイバーナイフは、どちらも一回照射、分割照射が可能で頭部の固定方法も両者ともマスク固定です。しかし、サイバーナイフに使われるマスクのほうが固定強度が弱いため、治療中に患者さんが動いた場合に照射にずれが生じる可能性が高まります。その点でノバリスと比べて精度に劣る部分があります。また,回転照射やビームによる照射,あるいは両者の合わさった照射法(ハイブリッドアーク)といった多様な照射が可能であることもサイバーナイフにはないノバリスならではのメリットです。

ノバリス、ガンマナイフ、サイバーナイフを比べると、ノバリスは分割照射において高い性能を発揮する放射線治療装置であり、ガンマナイフは一回照射にもっとも適した放射線治療装置です。そして、サイバーナイフはその中間に位置するものといえるでしょう。

どの放射線治療装置を使うかは治療を行う医療機関の設備や治療方針によって異なります。横浜労災病院脳神経外科(脳定位放射線治療センター)は、通常の放射線治療で用いる汎用機と、ノバリス、ガンマナイフの3種類の放射線治療装置を有しています。横浜労災病院脳神経外科(脳定位放射線治療センター)では、より患者さんの状態にあった装置を選択し、患者さんに適した治療を目指したいです。

横浜労災病院 脳定位放射線治療センターのHPはこちら

 

定位放射線治療装置ノバリスと脳腫瘍(周藤高先生)の連載記事

2015年開催の第16回日本ガンマナイフ研究会で会長を務める。困難な脳神経外科手術とガンマナイフをはじめとした定位放射線治療を両方行っている数少ない脳神経外科医。

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