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在宅医療だからこそ対応できる、今後の腎臓・透析業界のパラダイムシフト

在宅医療だからこそ対応できる、今後の腎臓・透析業界のパラダイムシフト
柴垣 圭吾 先生

医療法人社団明洋会 柴垣医院 理事長 柴垣医院戸越・柴垣医院自由が丘・柴垣医院久が原

柴垣 圭吾 先生

目次
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腎臓透析クリニックである柴垣医院を開院した先代理事長 柴垣(しばがき) 昌功(まさかつ)先生は、まだ日本で血液透析が行われていなかった時代にアメリカへ渡り、透析の開発に寄与したスクリブナー先生やコルフ先生に師事しました。

その後に自由が丘駅前で開院して44年(2020年1月時点)、当時はまだ外来透析も珍しかった時代から地域の方と共に歩み、クリニックは2003年に当代の柴垣(しばがき) 圭吾( けいご)先生へと引き継がれています。

増え続ける透析患者と、膨れ上がる日本の医療費。そして今後、在宅医療と透析は切っても切り離せない関係になるとおっしゃる柴垣 圭吾先生に、腎臓・透析療法の今後についてお話を伺いました。

院内の様子
院内の様子

末期の慢性腎不全となり血液透析(Hemodialysis:HD)が必要になると、一般的に週2〜3回、病院や透析クリニックに通い、3~5時間程度の透析を行います。これは頻度、時間共に患者さんにとって大きな負担です。若い方であれば仕事との兼ね合いが大きな問題となりますし、高齢の方になると通院自体が大きな負担です。

透析患者さんの送迎を行うクリニックもありますが、寝たきりに近い状態だと送迎での通院すら困難になります。自宅ベッドからストレッチャーへの移動、車への移動、来院後には透析ベッドへの移動と、スタッフも常に数人がかりです。

慢性腎臓病を治療している間に腎機能が低下し、透析が必要となる患者さんも年々増え続けています。今後も高齢化が進むにつれ、加齢による腎臓機能の低下も影響して、高齢の透析患者さんは増えていくでしょう。今は透析クリニックや病院施設で透析治療の対応ができていますが、国の政策として急性期の入院病床数が削減されていくなかでは、それも遠からず限界を迎えるのではないかと思います。

これに伴い、医療機関も施設の血液透析で対応していくという現状の認識のままでは、透析患者さんの治療ニーズに応えることが難しくなっていくでしょう。通院や入院だけではなく、在宅医療という選択肢への期待が高まっています。

透析療法には血液透析だけでなく、腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)と呼ばれる方法があります。この腹膜透析は自宅や職場でも継続して透析が行える点が特徴ですが、日本で腹膜透析を行っている方は透析患者さんの3%程度にすぎません(2019年12月時点)。これは、諸外国と比較しても非常に少ない割合です。

日本で腹膜透析を受けている患者さんには主に以下の共通点が挙げられます。

  • 仕事や家事を続けており、アクティビティの高い世代
  • 尿量がある程度出ている
  • ご自身で注排液の管理、留置カテーテルの管理をきちんとできる
  • 家族や職場での理解が得られ、体調管理をサポートしてもらえる

上記の患者さんは、若年層に当てはまることが多いです。日本において腹膜透析が普及していないのは、腎不全の患者さんやそのご家族に腹膜透析のメリットが正しく説明されていないことも一因と考えられます。

柴垣医院の待合室
柴垣医院の待合室

2019年現在、透析患者さん全体の約97%が医療機関内での透析をしています(外来や入院を問わず)。しかし、合併症や体力低下、患者さんの高齢化によって、自宅から通院できない方がさらに増えていくと、在宅医療を選択肢に加えることが必要になっていきます。医療機関で血液透析を継続することが当たり前でなくなった際に、求められる透析医療とはどのようなものでしょうか。

血液透析の場合、在宅での透析が可能な場合もありますが、その多くは病院やクリニックなど治療設備が整っている場所に週3回程度、患者さんが出向く必要があります。一方で、腹膜透析は患者さんがご自宅で、ご自身の手で透析治療を行うことができ、診察や処方のための通院は月に1〜2回程度と負担が軽減されます。また定期訪問診療であれば、通院の必要がない透析治療として、診察も検査も患者さんのご自宅で行うことが可能です。

今後増加が予想される、通院が困難になった透析患者さんを在宅医療で診るには、腹膜透析が重要な選択肢のひとつとなります。

腹膜透析は手技に慣れていただければ、おおむね自分だけで継続できる透析治療です。しかし、ご自身の腹膜機能が低下してしまうとそれ以上の実施が困難となります。多くの場合、5年から7年をめどに血液透析へ移行する必要があります。

まず腹膜透析からはじめ、その後に血液透析を併用、あるいは完全に血液透析に移行するという考え方を、PDファースト(PD=腹膜透析)といいます。

まず血液透析を行ってから、通院が困難になった透析患者さんに腹膜透析を実施するという考え方がPDラストです。

PDラストは以下のような考え方に基づいて選択されています。

  • 在宅訪問診療に移行して腹膜透析を行い、定期通院を回避
  • 身体動作が悪化して寝たきりのような状態の場合は、食事量や老廃物産生も低下しているため、腹膜透析での治療が可能
  • 腹膜透析における手技や、カテーテルのメンテナンスなどは患者さんご自身もしくはご家族が行いつつ、医療従事者もサポートする    

PDラストは最期までQOL(生活の質)を保ちつつ、自分らしく生きるための選択肢のひとつといえるのではないかと思います。

血液透析と腹膜透析は併用して選択することができます。この場合、たとえば週3回の通院で血液透析を行っていても、自宅での腹膜透析を導入することで通院回数を減らすことができます。また、血液透析から腹膜透析への移行、橋渡しとしてもこの併用療法は有効です。

透析患者さんが生きていくためには、透析療法が必要です。しかし、通院ができなくなったとなると、現状では入院透析しか選択肢が残されていません。入院透析は週3回の透析を受ける目的ばかりで長期間入院し、基本的に退院は見込めない状況です。

その点、在宅訪問診療で行うPDラストは、少しでも長く自宅で過ごしたいという患者さんの願いを叶えることのできる治療法です。治療方針を患者さんやご家族とあらかじめ相談して、ご容体が優れない時期でも自宅での生活を継続し、希望に添った自然な治療経過をたどっていく。“生活の質を保とう”という時代の流れに即した医療であると思います。

また、高齢化で膨張を続ける国民医療費を抑制するという観点からも、国を挙げて在宅医療(訪問診療)を整備し、入院ベッドを減らしているのが今の日本です(2020年1月時点)。

患者さん、ご家族、医療者、行政全ての思いと思惑が一致しているのが在宅医療の推進であり、患者さんの幸福のためだけでなく社会的にも大きな意義があるのです。

考え方、言葉共にまだまだ周知されているとはいえない腹膜透析。しかし、一生涯透析と付き合っていく患者さんにとって、選択肢が増えることはメリットといえます。また、患者さんの高齢化によって、在宅医療で腹膜透析ができるということは、生活の質の向上にもつながるでしょう。患者さんが自身の状態や希望に添った選択ができる、そんな未来を創っていきたいと考えています。

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    柴垣 圭吾 先生

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