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インタビュー

公開日 : 2016 年 11 月 06 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

なぜ在宅医療は必要なのか。患者さんに合わせた診療を提供するためにできることとは。

在宅医療のメリットとは?

在宅医療は、通院ができなくなったからなどの消極的な理由ではなく、ご高齢で複数の疾患を抱えている方であれば、むしろ積極的に選択していただきたいものだと考えています。

なぜなら、在宅医療は患者さんの生活全体を見て診療することができるからです。診察室で座っている患者さんの状態を診るのと、実際に生活している場で診るのとでは情報量が全く違います。普段の食生活は冷蔵庫を見ればわかりますし、家の様子をみれば生活スタイルもわかります。これらの情報は診察室ではなかなか知ることが難しいのですが、診察をするうえで非常に重要です。例えば、外来で出される薬は、医師の指示通りに服薬できているかがしっかり確認されずに繰り返し出されていることも少なくありません。医師は、患者さんから「きちんと飲んでいます」と言われてしまえば、それを信じるほかありません。その結果、患者さんの家には飲みきれなかった大量の薬が放置されているという状況を生んでしまうのです。

在宅医療は、ご自宅に訪問して診療を行います。ですからきちんと薬が飲めているかすぐにわかりますし、患者さんの本当の状態をみて適切な治療を行うことができます。在宅医療を始めてから患者さんの具合が途端によくなったということは多々経験しています。このように、薬の一元管理をはじめ、患者さんの生活に合わせて医療を提供できることが、在宅医療のメリットであると考えています。

在宅医療を行う医師は「高齢者の専門家」でもある

薬を飲む高齢者

赤羽在宅クリニックでは「高齢者の専門家として患者さんを全体的に診る」ということを理念としています。高齢者は、複数の病気を抱えていることがほとんどです。しかし、在宅医療を行う医師が「私は内科ですので、他の病気は診られません」というスタンスでは、患者さんは安心して自宅で暮らせません。

そのような状況をうまないよう、「高齢者の専門家」として、患者さんが抱えているあらゆる問題に対し、責任を持って診療を行っています。

大学院で専攻していた公衆衛生学では「事実を見極めること」を大切にしています。日々進歩している医学の知識を見誤らないためにも、また患者さんのあらゆる問題に対応するためにも、一生勉強を続けていくつもりです。

複数の病気を抱えている高齢者に合わせた治療を

在宅医療を行っているとき常に心がけているのは、「不必要な薬を減らすこと」と「病気の全体像をみること」です。

先ほども述べたとおり、高齢者は複数の病気を抱えていることがほとんどです。複数の病院、様々な診療科を受診していると、病院や症状の数だけ薬は増えていきます。そういった場合、正反対の作用をもつ薬がそれぞれ診療科から処方されるということも起こってきます。作用が重複している薬や、正反対の作用をもつ薬は減らしますが、必要なものは増やします。私の経験上、薬を整理すると元気になる方は多いです。ですから、まず患者さんの状態をみながら薬の整理を行うようにしています。

また、病気の全体像をみて治療することも心がけています。心不全を例にすると、心不全の原因の一つとして不整脈や高血圧があり、また生活習慣とも直接的に関連しています。さらに心不全と腎機能障害は相互に悪化させ合うなど他の異常とも関連しています。これらを個別の問題として治療するのではなく、病気の全体像から治療すべき重要なポイントを見極め、そこに対する治療によって他の問題も解決できるように心がけています。