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タイアップ

公開日 : 2017 年 01 月 11 日
更新日 : 2017 年 10 月 21 日

記事1『 大腸がんが肝転移したとき−生存率、自覚症状は?』では、大腸がんの肝転移とはどのようなことか、「原発性肝臓がん」と「転移性肝臓がん」の違い、気になる原因や生存率などについて触れてきました。

今回は大腸がんが肝臓に転移してしまった時、実際に国立国際医療研究センター病院がどのような治療をしているのかについて、引き続き国立国際医療研究センター病院肝胆膵外科医長 枝元良広先生に伺いました。

根治(=がんを完全に直す)の大原則はやはり「手術」

手術

がんを完全に直す根治を目指すならば、がんを残さず完全に除去する手術が有効だと考えられています。

「原発性肝臓がん」と「転移性肝臓がん」の手術の違い

肝臓がんには肝臓由来の「原発性肝臓がん」と、他の臓器から肝臓に転移してしまう「転移性肝臓がん」があります。「転移性肝臓がん」の代表的疾患は大腸がんの肝転移です。「原発性肝臓がん」と「転移性肝臓がん」とでは、同じがんでも腫瘍の現れ方に差が出ます。

原発性肝臓がんは肝臓の細胞からがんが発生するため、比較的臓器の内側に腫瘍ができることが多いです。血液循環の経路上、1つのエリアにまとまって腫瘍ができることも多いため、ブロックごとに肝臓を切除する「区域切除」という手法で手術を行います。

一方、「転移性肝臓がん」は「区域切除」と「部分切除」を併用します。転移性の場合、血流の末端に溜まったがん細胞が腫瘍になるため、臓器の表面にがんが分散する傾向があります。原発性肝臓がんの手術のようにブロックごとに切除することもありますが、腫瘍の数自体が多く表面に点在していることも多々あるので、表面を部分的に除去するイメージでがんを取ります。

肝臓がんの手術では、その必要性に応じて腫瘍と一緒に胆のうも摘出してしまうことがあります。これは胆のうが手術時の血流の遮断を邪魔してしまったり、手術がうまくいっても、術後に胆のう炎が発症してしまったりするのを防ぐためです。

万が一、胆のう炎を起こしてしまうと、再手術が必要になってしまいます。胆のうは胆汁の貯蔵庫の役割を果たしますが、胆のうを残して手術をするリスクを選ぶより、胆のうも一緒に切除することで結果的に患者さんにも有益であることが多いです。

肝臓摘出の上限は?

肝臓は再生する臓器といわれており、切除しても残った部分がきちんと機能していれば、ある程度自力で回復することができます。手術では極力少ない範囲の切除を心がけますが、原発性の肝臓がんの手術では肝臓全体の最大70%まで切除することもあります。

大腸がんの肝転移による手術の場合、最大でも60%までの切除にとどめています。これは手術後の抗がん剤治療を考慮して、患者さんの体力を温存し、負担を最小限に抑えるためです。万一肝臓全体の60%分の切除では十分にがんを取りきれない場合には、1回の手術ですべてのがんを取るのではなく、数回に分けて手術を行うこともあります。すべては患者さんの体調とがんの進行度に合わせて判断されるべきです。

転移性肝臓がん手術の手法−開腹手術と腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは

腹腔鏡による転移性肝がんの術中画像

腹腔鏡による転移性肝がんの術中画像 提供:枝元良広先生

「手術」と聞いて、多くの方がイメージするのはおそらく「開腹手術」だと思います。メスでお腹を大きく切り開き処置をする手術です。肝臓がんの開腹手術は肝臓が上腹部に位置し、肋骨の後ろに隠れているため、開腹手術を行う場合お腹を大きく切り開く必要があり、傷跡も大きくなります。

一方で、国立国際医療研究センター病院では2009年10月より、「腹腔鏡手術」という術式による手術も行なっています。腹腔鏡手術は開腹をせず、お腹に5~12mmの小さな穴をいくつか開けるだけなので傷跡は目立ちません。この穴から「トカロール」という器具の出入り口となる筒を入れ、そこから腹腔鏡カメラや鉗子(かんし)と呼ばれる手術で使用するハサミ型の器具を挿入し、手術を担当する医師はカメラに映った映像を頼りに機器を操作して手術を行います。

腹腔鏡手術のメリットは?

・出血量の少なさ

開腹手術の場合:およそ280cc

腹腔鏡手術の場合:およそ65cc

→200cc以上出血が少ない。

・入院期間

開腹手術の場合:およそ13日

腹腔鏡の場合:およそ8日

→約5日も早く退院できる。

数値で見てもわかるように、腹腔鏡手術は開腹手術に比べ、患者さんの回復が早いのは確かです。傷も小さく、翌日には手術をしたとは思えない傷口になります。

腹腔鏡手術の課題

腹腔鏡手術は傷も小さく、患者さんの回復が早い革新的な手術ですが、新しい手術方法であることもあり、まだまだ課題があります。

まず、腹腔鏡手術は開腹手術に比べて、難易度が高いと言われています。これは開腹手術が実際にお腹を切り開き、肉眼で見て自らの手で手術するのに対し、腹腔鏡手術では医師が患部をモニターの画面上でしか見ることができず、かつ機器を操作して手術するため素手で行う感覚とはかなり差があるためです。そして肝臓のように血管が多いなど、開腹手術であっても難易度が高い臓器に対してはさらなる注意が必要です。

また、腹腔鏡手術は肝臓がんの手術を希望する患者さんなら誰にでも行える手術というわけではなく、がんの程度や腫瘍の数、発生位置などの条件を満たした患者さんにのみ行われます。切除する範囲が広い場合などは、多少傷跡が大きくなっても開腹手術の方がリスクが低いケースがしばしばあります。

腹腔鏡手術の適正

上記のような理由から、実際肝臓がん手術にこの腹腔鏡手術が用いられるのは、全体の10%ほどです。腹腔鏡手術は広範囲にわたる肝臓の切除には適しておらず、転移性肝臓がんのような部分的な腫瘍除去に適しています。そのため、肝臓がんにおける腹腔鏡手術の約60%は転移性肝臓がんに適応されます。

また、がんのある部位や腫瘍の量によっては、小さながんでも腹腔鏡手術が適さないこともあります。例えば、がんが左右に散らばっていたりすると、腹腔鏡では取りきれないことも多く、開腹手術の方が有用です。

よって腹腔鏡手術は転移性肝臓がんの方の中で、腫瘍が臓器の片側に集中している方には向いていますが、腫瘍が多発していたり、分散してしまったりしている方には今のところ得策ではなく、多少回復に時間がかかっても開腹手術の方が少ないリスクで手術できることもあるというのが現状です。

手術ができない場合

肝臓がん治療で高い効果が見込めるのは手術です。中には手術のできない患者さんもいらっしゃいます。例えば、全身麻酔が使えない方や、「リンパ節転移」や「腹膜播種」などの合併症があまりに進行してしまっている場合は手術ができないことがあります。この場合、次項で述べる「化学療法」や「熱凝固療法」を用いた治療を行うことになります。これらの治療を行うことで、腫瘍が小さくなり、手術が可能になることもあります。

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