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歳をとる前に始める「骨粗しょう症」の予防と治療(板橋区大山)

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  • #筋肉・骨の病気
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  • 公開日:2016/12/23
  • 更新日:2017/01/11
歳をとる前に始める「骨粗しょう症」の予防と治療(板橋区大山)

記事1『女性に多い「骨粗しょう症」−原因と誤解』では骨粗しょう症の原因や、思いのほか知られていない骨粗しょう症にまつわる誤解についてお話をお伺いしました。次に、簡単に始められる骨粗しょう症の予防方法と、有意義な治療方法について引き続き、くろさか青木クリニック院長の柘植幹夫先生にご説明いただきました。

「食事」と「運動」−生活習慣で防ぐ骨粗しょう症

現在クリニックに来院する患者さんを診ていると、8~9割の高齢者が骨粗しょう症を抱えています。しかし、正しい知識を得て、生活習慣を改善すれば、骨粗しょう症は予防できると考えています。

食事で身体をアルカリ性に傾ける

野菜

骨粗鬆症を予防する大きなポイントとして、食事と運動があります。

なかでも食事は特に重要で、その比率として食事が8、運動が2くらい。

それほど重要なものだと考えています。

食事はもちろん栄養に偏りがなく、バランスよく食べることが大前提です。中でも、野菜や海藻など、身体をアルカリ性に保つ食品を積極的に摂っていくとよいでしょう。

というのも、人間の身体はもともと弱アルカリ性に保たれています。骨に貯蔵されたカルシウムなどのミネラルは、身体(特に血液が)酸性に傾いてしまった際、アルカリ性へと中和するために骨から抜け落ちてしまうのです。

甘いものや炭水化物、添加物を多く含む食品など身体を酸性に傾ける食べ物ばかりを摂っていると、カルシウムを中心としたミネラルを過剰に喪失してしまうことになり、それが骨密度の減少につながります。先に述べた牛乳も確かにカルシウムという成分は多く含まれているのですが、それ以上にリンや動物性タンパク質が多く含まれており、結果的に血液が酸性に傾き、それを中和するために骨からカルシウムがどんどん抜けてしまうとされています。問題は血液が酸性に傾くことなのです。

また筋肉をつけ転倒時などの支えを強化し、骨への負担を減らす意味も込め、たんぱく質も積極的に摂取するとよいと思います。ただし、動物たんぱく質を含む肉や魚は脂肪分を多く含むこともありますので、脂肪分は取り過ぎないよう注意が必要です。植物性タンパク質も摂取するなど、1番はバランスよく栄養分を摂取するというところが重要です。

幼少期からこのような食生活を心がける必要はありませんが、30代以降からは心がけるようにしておくとよいでしょう。しかし、制限しすぎるとストレスになってしまうので、気をつけるという程度で十分です。

身近な運動で骨粗しょう症を防ぐ

運動

骨粗しょう症予防の残りの2割は「運動」です。運動といっても、走るなど息が上がるような激しいものが必要というわけではなく、より身近で生活のサイクルに沿ってできることで十分予防できます。

・歩いて血液を循環させる

一番簡単な運動は「散歩」です。歩くと身体を大きく動かすことができ、体内の血液の循環を促進できます。加齢とともに血液の循環が悪くなると、冷えやストレスを招き胃腸の吸収機能が低下してしまいます。これではせっかく食生活を改善しても必要な栄養を十分に吸収することができなくなってしまいます。

よく「1日1時間歩けば大丈夫?」と尋ねられることがありますが、1日にどのくらい歩く必要があるかというのも、人によって違っていきます。私が患者さんに提案しているのは下記の目安です。

100-自分の年齢=1日に最低限必要な歩く分数

例えば60歳の方であれば100-60=40で、1日に最低でも40分歩ければよいという計算です。また、忙しい方や体力に自信のない方だと「散歩」として40分間まとめて歩く時間が取れない方もいらっしゃると思います。大切なことは、歩く機会を積極的に増やすことです。日頃のお買い物や、お出かけなどちょっとした用事を済ます際に「徒歩で行く」「エスカレーターやエレベーターを使う代わりに階段を使う」などという選択肢を増やすだけでも、効果的で続けやすいと思います。日常生活動作の中に運動を取り入れてしまう、ということがポイントです。

・筋肉をつける−一番簡単な方法は「スクワット」

筋肉は骨を支える上で重要な役割を占めます。かといって、今まで運動をあまりしていなかった方がいきなり筋肉トレーニングをするのは、精神的にも肉体的にも負担が多く、得策ではありません。そこで、最も簡単で多くの方ができる筋肉トレーニングが「スクワット」です。スクワットは女優の森光子さんが生前行なっていた健康法としても有名です。

スクワットのやり方

  • 足を肩幅に広げ、つま先を正面に向ける
  • ゆっくり腰を落とし、可能であれば太ももと床が平行の状態まで膝を曲げる
  • ゆっくりと姿勢を元に戻す(この際に膝は伸びきらない)

効果的にスクワットを行うコツとしては、ゆっくりした動作で、反動をつけずに行うのが好ましいです。

この運動を1分間繰り返すことを1セットに、平均的には1日2セット行うことをすすめています。しかし、体調やご自身の状態に応じて、1日1セットから始めてみるのもよいかと思います。

また、「スクワット」は膝に痛みのある方にはおすすめできません。かえって痛みを助長してしまうこともあるため、心配のある方は他の手段の模索も含め、医師に相談した方がよいでしょう。

最近では筋肉トレーニングには、筋肉だけでなく骨そのものを強くする効果もあるといわれています。筋肉は骨に付着しているため、筋肉を刺激することで同時に骨も刺激され骨密度が上昇すると考えられているからです。

骨粗しょう症とつきあう−骨粗しょう症に有効な治療とは

予防についてのお話をしてきましたが、実はこの「食事」や「運動」など身近な生活習慣の見直しは、すでに骨粗しょう症と診断されている方にも有効です。むしろ、このような生活習慣を心がけることが一番の治療だと思います。そのうえで薬を補助的に使い、日々の積み重ねで長期的な骨密度の上昇を図ることが大切です。

骨粗しょう症の薬

注射

従来の骨粗しょう症の薬は、「骨を壊す力」を抑制するものが主流で、学会でも効果があると報告されていました。このタイプの薬は飲み薬でバリエーションも多く、1日1回、週に1回、月に1回など患者さんのニーズに幅広く対応できます。

しかし最近では、加齢と共に衰える「骨を形成する力」を促進する薬も即効性があることで注目されています。こちらの薬は「PTH製剤」と言われる注射によるお薬です。1日1回の薬と、1週間に1回のお薬があり、1日1回のものは患者さん自身で、1週間に1回のものは病院で注射をします。

骨折による痛みを和らげ、骨の再生を早めてくれるため、必要に応じて使用を検討する患者さんも増えています。

薬だけでは治らない

比較的新しい「骨を形成する力」を促進する「PTH製剤」は、即効性があり、骨が実際に折れてしまった患者さんには特に有効です。この薬を使うことで痛みが軽減することもしばしばあります。

しかし、このタイプの薬は使用できる期間に制限があり、一生のうちで1年半~2年間しか投薬できません。薬をやめてしまえば、効果も消えてしまうので、本当に必要な時に選択するよう心がけましょう。

先に述べた「食事」や「運動」による療法を含め、1年半~2年間かけてしっかり丈夫な骨を育てようという場合、PTH製剤をすすめるようにしています。骨粗しょう症の治療において、薬はあくまで補助的役割であることをわきまえ、食事と運動を中心とした無理のない長期的な治療を目指しています。

自発的な行動で骨粗しょう症を予防する

高齢者は年に1度の骨密度検査を

高齢者

自覚症状のない骨粗しょう症の早期発見をするには、60歳を過ぎたら一度骨密度の検査をすることをおすすめします。早めに状態を把握し、早めに生活を改善することで、骨折など最悪の結果を免れることができます。

またその後も1年に1度のペースで定期的に検査を行うことをお勧めしています。

正しい知識をもって、自発的に行動する

先に述べたように、骨粗しょう症については世間でもあらゆる情報が蔓延しています。しかし、間違った情報が拡散されていることも多く、さらに人によって手段や程度が異なることもしばしばあります。

骨粗しょう症は正しい予防方法を早くに身につけ生活習慣に取り入れれば、十分に対策を取ることができます。とりわけ食事方法に関しては今一度このタイミングで見直しをしてみてはいかがでしょうか。身体をアルカリ性に保つ食品を積極的に摂取することは、骨粗しょう症だけでなくその他にもさまざまな病気の予防につながるといわれています。まず、これを意識してみるだけでも十分予防につながると思います。

正しい治療・予防方法を伝え、ご自身に合った対策を一緒に探すことも整形外科医の役目です。不安や迷ったことがあればいつでも相談してください。

 

柘植 幹夫

柘植 幹夫先生

医療法人社団 一期会 くろさか青木クリニック 院長

くろさか青木クリニック院長。運営するくろさか青木クリニックは地域の病院として整形外科、内科、人工透析の設備を持つ。予防に詳しく、院長として診察・治療だけでなく些細な悩みにも積極的に応じ、地域の健康寿命を延ばすことに貢献している。

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