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リウマチの原因とは? 治療の変化・予防法・リハビリなどリウマチの概要を紹介

リウマチの原因とは? 治療の変化・予防法・リハビリなどリウマチの概要を紹介
松永 敬一郎 先生

横須賀市立うわまち病院 総合内科 顧問

松永 敬一郎 先生

目次
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リウマチは「自己免疫疾患」の1つであり、指や手首などの関節に炎症が起き、痛みや腫れ、変形を起こしてしまう病気です。なぜリウマチでは、このような症状が現れてしまうのでしょうか。本記事ではアレルギー・リウマチ・膠原病専門外来でリウマチの診療を行われている横須賀市立うわまち病院 副病院長 総合内科内科部長の松永敬一郎先生に、関節リウマチの原因や近年の治療の変化、そして予防法・リハビリテーションについてお伺いしました。

リウマチ

自己免疫疾患とは、異物(ウイルスや細菌)から体を守るためにはたらく免疫システムに異常が起きる病気です。免疫システムに異常が起きると、正常な組織を「異物」とみなし、本来攻撃する必要のない自分自身の組織を攻撃するようになってしまいます。

自己免疫疾患では、免疫システムの異常によって本来正常な自分の組織を攻撃しているため、体のさまざまな部分で炎症が起きています。なかでもリウマチは、特に「関節」で炎症が起きる病気です。

一般的に、リウマチによって起きる関節炎の程度は「DAS28」という指標で判断されます。このDAS28は、体にある計28の関節の状態(痛みや腫れ)の程度から判断します。

【リウマチの好発部位(DAS28の評価対象部位)】

リウマチの好発部位

関節には、骨と骨がスムーズに動けるようにするために重要な「滑膜(かつまく)」という組織があります。リウマチではこの滑膜の中にある物質(たんぱく質)の構造が変わってしまうことが引き金となり、炎症が起きていると考えられています。

そのメカニズムを詳しく解説していきましょう。

STEP1 滑膜の中のたんぱく質が変化する

関節をスムーズに動かす「滑膜」には、フィブリンやビメンチンと呼ばれるたんぱく質が存在しています。これらは通常、細胞の骨格を構成するなどの役割を果たしています。

これらのたんぱく質は、PAD4という酵素によって反応を起こすことがあります。この反応では、たんぱく質の一部を形作っているアルギニンというアミノ酸がシトルリンへ変化してしまいます(シトルリン化)。このシトルリン化が起こると、たんぱく質の一部が、輪っか状の構造へと変化します。

このように、PAD4という酵素によって、正常なたんぱく質の構造が一部変化してしまう現象が、免疫メカニズムに異常が生じ始める最初のステップだと考えられています。

STEP2 変化した物質を異物とみなす

正常ではない形をしているたんぱく質(異物)が存在すると、免疫システムの役割を担っている「HLAHuman Leukocyte Antigen)」という物質が反応します。HLAは異物を「自分の組織ではない(非自己)」と認識してその情報をリンパ球へ伝えます。HLAから情報をもらったリンパ球は異物を攻撃するようにはたらいていきます。

このHLAという物質は、両親から1つずつ遺伝して2つの分子で構成されています。リウマチ患者さんではこのHLAに偏りがあると報告されています。このHLAに結合できる変性した自己抗原(シトルリン化したたんぱく)がリウマチを引き起こすことが、リウマチの原因の1つだと考えられています。

STEP3 非自己の物質を攻撃する

非自己と認識された異物が関節に多く存在すると、リンパ球がこれを攻撃して関節では炎症が起きます。この炎症が痛みや腫れを引き起こし、そのまま進行していくと滑膜細胞が増殖して関節を超えて骨の中に浸潤していき、破骨細胞を活性化して骨破壊が進行し、結果として、骨癒合・関節の拘縮(こうしゅく)が起きてしまいます。癒合や拘縮が起きると、関節の境目がなくなって固まってしまうため、関節は動かなくなってしまいます。このように、最初は関節の間の滑膜に炎症が起きることで、関節にリウマチの症状が現れるのです。

前出したように、リウマチで関節に炎症が起こってしまうのはPAD4という酵素のはたらきや、HLAという遺伝素因が原因になっていると考えられています。

そのため、このPAD4やHLAのはたらきを抑えることができる治療薬を開発しようと研究を進めているチームもあります。今後PAD4、HLAに作用するリウマチの薬が開発され、リウマチ患者さんの助けになる日が来るかもしれません。

それではリウマチはどのように症状が進んでいくのでしょうか。リウマチで一般的に使われている重症度分類「Steinbrockerの病期分類」をもとに簡単にご紹介します。リウマチの進行

Steinbrockerの病期分類では、リウマチ(関節破壊)の進行度を4つのステージに分類しています。それぞれのステージでは以下のような症状が見られます。

ステージⅠ 滑膜の増殖

むくみやこわばりを感じます。

ステージⅡ 軟骨の破壊

症状がより進行し、骨の破壊が始まっていることがあります。

ステージⅢ 骨の破壊

骨の間の関節がすり減り、骨の破壊が進みます。

まだ関節は動かすことができます。

ステージⅣ 関節の硬直

関節のすり減りが進み、骨と骨の境目がなくなってしまいます。

関節を動かすことが困難になります。

関節炎の診察

リウマチは関節炎という特徴的な症状があるため、まずは関節炎があるかどうかを診察・検査で明らかにしていきます。

一方で、関節炎の症状が現れる病気はリウマチ以外にもあります。特に自己免疫疾患ではリウマチ以外にも関節炎が現れる病気が多いです。そのため検査の結果から「リウマチ以外の可能性」をしっかり除外していくことも重要です。

リウマチを診断するためには、いくつかの検査を行います。それぞれ必要な検査を選択し、患者さんの臨床症状と検査結果を総合的に考慮して診断をつけていきます。

【リウマチの検診に用いられる検査】

  • 問診・視診・触診
  • X線検査(レントゲン)
  • 血液検査
  • 関節エコー
  • MRI など

これまで長い間、1987年に米国リウマチ学会が定めた「関節リウマチ分類基準」を用いてリウマチを診断していました。しかし、この分類基準では、軽症のリウマチ患者さんが当てはまらないことが多く、リウマチの早期診断には適していませんでした。

このような状況を受け、2010年に米国リウマチ学会・欧州リウマチ学会の共同により「2010ACR/EULAR関節リウマチ分類基準」が発表されました。

この分類基準が運用されることによって、より早い段階でリウマチを診断することができるようになってきています。

リウマチ治療

近年、リウマチの治療法は大きな変化を遂げました。その大きなきっかけといえるのは2003年に登場した「生物学的製剤」の登場です。

生物学的製剤とは、科学的に合成された治療薬ではなく、生物が合成する物質(たんぱく質)を応用して作られた治療薬の総称です。

生物学的製剤は、免疫システムで重要な役割を果たす「サイトカイン」という物質に直接作用することで関節リウマチの活動性を抑えます。

生物学的製剤は、従来の薬剤に比べると有効性が高いと評価されています。特に関節破壊抑制効果に優れており、リウマチの症状をより早期に治療し、より軽度な状態を維持することができるようになりました。

リウマチの予防にはさまざまな要因が検討されています。その中でもっともリウマチの発症と関係していると考えられているのは「喫煙」だと報告されています。

なぜ、リウマチの発症と喫煙が関連するといわれているのでしょうか。これはリウマチの診断を行うときに使われる「リウマチ因子(RF)」「抗CCP抗体」といった物質が、たばこを吸うことによって増加するというデータが出ているためです。

このことから、リウマチの予防法としては、禁煙が重要だと考えられています。

リウマチを発症した後に関節を動かさないでいると固まってしまい、症状が悪化してしまうことも多くありますので、リウマチ治療後のリハビリテーションはとても重要です。

近年、本記事でご紹介したように治療法の変化や、診断基準の改訂があったことで、リウマチの治療期間は大きく変わりました。そのことから、リウマチのリハビリテーションを始めるタイミングやペースも従来どおりではなく、変わっていくべきなのだと考えています。

この問題点に関しては、リハビリテーションを担う理学療法士の方々とも連携をしっかり取って進めていくことが今後の課題になると思います。

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