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骨折・脱臼とは? 種類、原因、症状から痛みの違いや応急処置方法まで

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  • 公開日:2017/03/17
  • 更新日:2017/03/17
骨折・脱臼とは? 種類、原因、症状から痛みの違いや応急処置方法まで

骨折・脱臼は、日常生活の中でとても身近な疾患です。しかし、骨折と脱臼の違いや症状について曖昧に理解されている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、骨折・脱臼の種類と症状、いざという時のための応急処置方法を中心に、くろさか青木クリニック院長の柘植幹夫先生にお話いただきました。

骨折・脱臼とは? 双方の大きな違いは、損傷部分が骨であるか関節であるか

骨折とは、外から力が加わることによって一塊だった骨が完全、または、部分的にずれた状態を指します。一方、脱臼とは、本来つながっているはずの関節が完全、または、一部的に外れてしまっている状態を指します。つまり、骨折と脱臼は損傷部分がどこかによって区別されます。損傷部分が骨にあれば骨折、関節にあれば脱臼です。私の中では、骨折と脱臼は全くの別のものという感覚です。

骨折の種類と特徴 骨折には完全骨折と不完全骨折がある

1本だった骨が、2本ないし複数本に折れて完全にずれてしまった状態を完全骨折といい、完全にずれてはおらず、ひびが入った状態(骨の内側が部分的にこわれた状態)のものを不全骨折といいます。大きく分けると、骨折はこの2種類に分類されます。

完全骨折の様子 

不完全骨折の様子

骨折が原因で病院に来られる患者さんは圧倒的に高齢者の方が多数で、特に、骨密度が低くなった女性が多い傾向にあります。なかでも脊椎・大腿骨・橈骨・上腕骨で頻度が多く、脊椎圧迫骨折・大腿骨頚部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折は4大骨折と呼ばれています。

脊椎圧迫骨折

4大骨折の中でも一番多いとされる骨折です。脊椎は身体を支える非常に重要な部位ですが、骨粗しょう症になると、身体を支えきれず圧迫され骨折してしまいます。脊椎が押しつぶされるように変形して曲がってしまう点が特徴です。

脊椎圧迫骨折の様子

大腿骨頚部骨折

股関節のなかで大腿骨の上部を支える部位の骨折です。人体は大腿骨で体を支えているため、転倒などでの外力が集中しやすく骨折をする確率が高い箇所です。

大腿骨頚部骨折の様子

橈骨遠位端骨折

肘から下の骨である橈骨の骨折です。手首の骨折では最も多い種類であり、高齢者の方の場合は、複雑な骨折となり治療が難しくなるケースもあります。

橈骨遠位端骨折

上腕骨近位端骨折

上腕筋の近位端の骨折です。肩を強打した場合などに起こります。強い痛みからほとんど肩を動かすことができなくなります。

上腕骨近位端骨折

 

その他の骨折

子ども(学童期くらいまで)の骨折として多い部位は肘で、その中でも上腕顆上骨折が最も多いと思われます。理由としては、転んだ瞬間に、肘を延ばしたまま手を付くことや、鉄棒や雲梯(うんてい)などの遊具から転倒・落下した場合が挙げられます。

その他にも様々な種類の骨折が存在します。折れた骨が皮膚を突き破る解放骨折(複雑骨折)は、傷口から激しい出血を伴い、細菌が侵入するため、救急で病院に運ぶ必要があります。

また、骨と関節は組織が接合されているため、骨折と脱臼を同時に起こす脱臼骨折を発症する場合もあります。

骨折を起こす原因の1位は転倒

尻もちをついた高齢の女性

高齢者の場合、筋力とバランス感覚の低下による転倒が原因で骨折することが最も多いです。たとえば、後ろに転倒して尻もちをついた際、骨に衝撃が伝わって脊椎圧迫骨折をしたり、転んで手を付いた瞬間に手首に負担がかかり、橈骨遠位端骨折をしてしまうことが多いとされています。

痛くない骨折もある?痛みの自覚がない「いつのまにか骨折」

骨折は、ずれた骨が大きく動くため痛みを感じます。逆に言うと、大きく動かなければあまり痛みを感じないのです。

たとえば、肋骨に囲まれている胸椎という部分が圧迫され、潰れてしまう胸椎圧迫骨折(脊椎圧迫骨折の一種)がありますが、胸椎は動きにくい部位にあるので、あまり痛みを感じないことがあります。

そのため、骨粗しょう症である高齢の方が転倒したり、重い荷物を持った瞬間に胸椎が潰れ骨折をしても、微かな痛みのため気が付かず、放置してしまう可能性が高いのです。こういった骨折を、近頃ではいつのまにか骨折と呼んでいます。

圧迫骨折を放置していると、隣り合う骨にも負担が増え、次々と骨折をする骨折連鎖を起こします。その結果、背中が丸まったり腰痛を発症したりと、生活上の様々な面で支障をきたすようになり、健康寿命が短くなってしまうのです。

少しでも異変を感じたら、速やかに医師の診療を受けることが大切です。また、たとえ異常がない場合でも、骨密度検査やレントゲン検査は、1度受けてみることを推進します。

脱臼の種類 脱臼には亜脱臼と完全脱臼がある

脱臼の種類は、骨と骨の関節面が完全に外れている完全脱臼と、関節が少し外れた状態である亜脱臼に大きく分けられます。また、骨の関節面がどの方向に向かって外れるかによって、前方脱臼・後方脱臼といったように分けることもあります。

亜脱臼と完全脱臼

脱臼を起こす原因はコンタクトスポーツによる転倒など

ラグビーの試合中

脱臼を起こす原因で最も多いものは、ラグビーやアメリカンフットボールのようなフルコンタクトスポーツ(力を規制せずに、相手に接触するスポーツ)による転倒や衝突、腕を強く引っ張るなどの外傷です。

その他にも、人口股関節の手術を受けた方は、股関節をひねるといった日常生活の場面でも外れてしまう可能性があります。そのため、和式トイレを使用しないなど日々の動作に潜む脱臼の禁忌肢位(してはいけない姿勢)を避ける指導をします。

また、肩や顎の脱臼は癖になってしまうことも少なくありません。特に肩関節の場合、若年で脱臼をしてしまった方のほうが、高齢になってから脱臼を経験する方よりも、癖になりやすいという特徴があります。また、重度の癖になった方は、睡眠時に自然と外れてしまうこともあり、そうなった場合は手術を行う必要があります。

脱臼の症状 脱臼は骨折よりも痛みが強いケースが多い

脱臼を起こした場合、多くの患者さんは激痛を訴えて病院に来られ、救急搬送されてくる方も多数いらっしゃいます。そして、ガクッといった音と共に関節が外れた感覚となり、本来の関節の動きが制限されます。大きく腫れることもあります。

また、体が通常とは違う状況のため防御反応を起こし、発熱したり熱感を感じる場合もあります。この症状は骨折でも同様に起こりえます。

骨折と脱臼の見分け方はあるのか

骨折か脱臼かをご自身で判断することは、非常に困難と思われます。強いていえば、骨折の場合、患部を押すと明らかに圧痛を感じます。一方、脱臼の場合は、押してもあまり痛みを感じない場合があります。しかし、この見分け方は確実なものではないので、やはり医療機関への受診が大切でしょう。

骨折・脱臼の救急処置方法-RICEとは?

骨折・脱臼の救急処置方法にはRICEというものがあります。

R(Rest:安静にする)

体を動かしてしまうと、損傷部分が腫れたり、血管が切れるなどの二次災害が起きやすくなります。まずは安静な状態を保ち、ギブスや三角巾等で骨折・脱臼部分を固定します。

ギブスが無い場合は、木の枝や段ボールでも代用できます。骨折はできる限り曲がった部分を、もとの状態に近づけるようにして固定してください。

骨折・脱臼の救急処置方法,安静にする

I(Icing 冷却する)

冷却はなるべく早い段階で行いましょう。患部を冷やすことで、腫脹や痛み、内出血を最小限に抑えることが可能です。ビニール袋などに入れた氷を患部に当てて、10分程度冷やします。そして、少し間隔を空け、また冷やすということを繰り返します(部位や症状により冷やす時間は多少異なります)。

骨折・脱臼の救急処置方法,冷やす

C(Compression:圧迫する)

患部を圧迫するように、スポンジなどを固定します。圧迫も腫れや内出血を抑えるためです。しかし、あまり強く圧迫してしまうと、血液の循環を阻止し悪化させてしまう恐れがあるので、定期的に感覚や皮膚の色をチェックするようにしてください。

骨折・脱臼の救急処置方法 圧迫する

E(Elevation:挙上する)

挙上も腫脹を抑えるために行います。腕であれば三角巾で吊るし、足であればイラストのように毛布などを足の下に入れ、患部を心臓よりも高い位置で保つようにします。脱臼の場合はできる範囲で上にあげてください。

骨折・脱臼の救急処置方法 拳上する

救急処置はあくまでも一時的なものです。ご自身で処置をした後は必ず整形外科に行き、レントゲンなどの検査をして治療を受けてください。

 

柘植 幹夫

柘植 幹夫先生

医療法人社団 一期会 くろさか青木クリニック 院長

くろさか青木クリニック院長。運営するくろさか青木クリニックは地域の病院として整形外科、内科、人工透析の設備を持つ。予防に詳しく、院長として診察・治療だけでなく些細な悩みにも積極的に応じ、地域の健康寿命を延ばすことに貢献している。

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