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骨折・脱臼の治療法や完治までの治療期間-再発防止のため予防法も

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  • 公開日:2017/03/18
  • 更新日:2017/03/18
骨折・脱臼の治療法や完治までの治療期間-再発防止のため予防法も

記事1『骨折・脱臼とは? 種類と症状、応急処置方法まで』では、骨折・脱臼の種類や症状、応急処置についてご紹介しました。今回は、整形外科ではどのように骨折・脱臼の治療を行うのか、また予防法などについて、引き続きくろさか青木クリニック院長の柘植幹夫先生にお話しいただきました。

骨折・脱臼をした場合、病院の何科へ行くべき?

レントゲンなどの画像検査ができる整形外科へ

柘植幹夫先生

骨折・脱臼をしてしまった場合、接骨院や整骨院を訪れる方も多くいらっしゃいます。しかし、整形外科でなければレントゲンなどの画像検査ができないので、まずは整形外科に行くことが重要です。

必要に応じて画像検査を行い、どの程度のどういった骨折・脱臼をしているのかを、把握してから治療に入ります。

骨折の治療法の基本は固定

基本的な治療方法は、ギブスなどで固定し患部の安静を保つことです。この状態で、骨が結合するまで経過観察を行います。骨が曲がって変形している場合は徒手整復(手を使い皮膚の上から、骨や関節を整復する手法)を行い、その後、ギブスなどで固定します。

徒手整復は激痛が走るため、私は、一瞬で素早く終わらせることを心掛けています。また、痛みから過呼吸のような状態になってしまう方もいます。そういった方には、ゆっくりと呼吸をすることを促します。固定の治療後は経過観察として、週に1回ほど通院していただきます。

骨の損傷が激しい場合は手術(金属製のねじやプレートなどを使用して骨折した箇所を結合させる手術)を行うケースもあります。

脱臼の治療法は徒手でもとの位置に戻す

脱臼は素早くもとに戻す必要があります。時間が経つにつれて関節が拘縮してしまうからです。

関節には、関節の動きをよくするための肩峰下滑液包や、関節を包む関節包といった袋が存在します。しかし、脱臼を発症することによって、それらの袋が破れてしまい、次第に関節が硬くなります。この現象が拘縮です。

肩の脱臼の場合は、徒手で引っ張ってもとの位置に戻します。この治療時にも激痛を伴います。患者さんによっては、痛みから体が硬くなってしまい、関節がはまらない方もいらっしゃいます。そういった場合は、静脈麻酔を打ち眠らせてから、もとの位置にはめ込むという方法もあります。

脱臼は一般の方が徒手で治すことも可能だが控えるほうが賢明

脱臼は一般の方が徒手で治すことも可能です。しかし、危険を伴う作業であるうえ、しっかりとはまったかどうかが曖昧なため、ご自身で治療を行った場合でも、整形外科で検査を行ってください。

 まずは患部を冷やして応急処置

また、骨折・脱臼共に、負傷直後の応急処置では患部を冷やすことが重要です。しかし、48時間程度を経過すると、体を温め血液の循環をよくすることも、早期回復のために必要となります。ゆっくりと湯船につかることは痛みもあり不可能と思われるため、さっとシャワーを浴びる程度で身体を温めるとよいでしょう。

骨折・脱臼の完治までには約3か月の期間がかかる

カレンダー

程度と骨折・脱臼をした場所にもよりますが、一般的に完治するまでには3か月程度の期間がかかります。最初の1か月程度で痛みの症状は落ち着きます。そして、2か月目でほぼいつも通りの日常生活が送れるようになり、3か月で何も問題なく生活ができるようになります。また、小児の場合は、約2か月で完治します。

骨折・脱臼の損傷具合によってはリハビリが必要

最低1か月はリハビリ施設に通うべき

骨折・脱臼の損傷具合によっては、リハビリをする必要があります。リハビリの内容は、理学療法士(立つ・座る・歩くなど体の基本となる動作の回復をサポートする専門スタッフ)に従って運動療法を行ったり、患部が手の場合は、作業療法士(料理を作るや事務作業をするなど、日常生活を送るうえで必要な動作のサポートをする専門スタッフ)と共に手先を動かす訓練をします。

リハビリは今後の生活を左右する、とても重要な訓練です。しかし、理学療法士と作業療法士のどちらも在籍している施設はあまり多くありません。また、リハビリに通うということは、大変根気のいる行為です。そのため、ご自宅にて自己流でリハビリを行ってしまう患者さんが大変多いことが問題となっています。

 自己流のリハビリにはリスクが伴う

自己流でのリハビリは、過度に動かして患部を痛めたり、逆に安静を保ちすぎて関節の動きが悪くなったりと逆に回復が遅くなるなどリスクを伴います。最低でも最初の1か月は、医師の指示のもと定期的にリハビリをすることをおすすめします。

骨折・脱臼は1度なってしまうと、完璧にもとの状態には戻らない

頭を抱える人

ひとたび骨折や脱臼を起こしてしまうと、痛みが消え完治をしても、関節や骨折部は完全に発症前の状態に戻ることはありません。

たとえば、肩の脱臼の場合、もとの位置に関節を戻しても、肩峰下滑液包や関節包またはその周りの組織が傷つき、関節が硬くなり、動かせる範囲が制限されます。肩の脱臼を発症した患者さんは痛みがなくなっても、左右の腕の上がる高さが違う状態になる可能性も高いのです。

骨折・脱臼の予防法

繰り返しになりますが、1度でも骨折・脱臼に患ってしまうと、完全にもとに戻ることはなく、脱臼の場合は癖になってしまう可能性もあります。そのような状態にならないためには、予防をすることが大切です。

脱臼の予防法

脱臼が起こる原因として、最も多いのはラグビーやアメリカンフットボールのようなフルコンタクトスポーツ(力を規制せずに、相手に接触するスポーツ)です。そのため、関節に衝突などの強い衝撃を与えないことで脱臼を防ぐことができます。また、癖にさせないためには、関節の可動域を広げる運動やストレッチが挙げられます。

しかし、自己流の方法は危険なため、医師や専門のスタッフと相談し、脱臼肢位をさけ無理のない運動やストレッチを行うようにしてください。

骨折の予防法はバランスのよい食事と筋トレ

骨に強い負荷がかかれば、骨密度の高い若い方でも完全骨折や不完全骨折を起こしてしまいます。そのため、骨密度が高ければ必ずしも骨折をしないというわけではありません。しかし、高齢者の方が軽いつまずきや尻もち等で発症してしまう胸腰椎圧迫骨折などは、骨密度を高めたり、筋力を向上させることで未然に予防できると考えています。

・血液を中性に整えてくれる食材を摂取する

野菜

私たちが普段食べている食物の多くは、血液を酸性に傾けてしまいます。そこで、血液を中性に保つために、カルシウムは骨から血液内に抜け出し、骨の密度が低下していくのです。そのため、骨からカルシウムを放出させないためには、血液をアルカリ性に近づけ、中性に保つ作用のある食材を摂取することが重要です。

血液をアルカリ性にする食材には、野菜や海藻類、果物類があります。これらの食材を積極的に摂ることを心掛けましょう。

また、マグネシウムを摂取することも効果的です。マグネシウムはカルシュウムと同じくらい大切なミネラルです。マグネシウムが多く含まれる食品には、豆類や青菜類、玄米などの未精製の穀物、昆布やワカメなどの海藻類があるようです。
 

・牛乳やカルシウムのサプリメントは有効?

カルシウムを多く含む食材として、牛乳を飲むことを日課としている方もいらっしゃいます。確かに、牛乳の中には多くのカルシウムが入っています。しかし、カルシウム以外の成分として、リンや動物性たんぱく質も多分に含有しているのです。リンや動物性たんぱく質は血液を酸性に近づけ、結果的に、骨からカルシウムが抜け落ちてしまう原因となります。牛乳の摂取は、骨密度向上につながることはないと私は考えています。

最近は、カルシウムのサプリメントなども販売されていますが、どれほどの有効性があるのか、はっきりとわかっていません。

・骨に刺激を与え、筋力を高めるための運動

スクワットをする人

ランニングなどの運動を行うことにより、骨に物理的な刺激が加わり骨の形成が促進されます。また、ふとした瞬間の転倒を防止するためには、筋肉トレーニングで筋力アップを図ることが大切です。私は患者さん全員に、30歳を過ぎたらなんらかしらの筋力トレーニングをするべきだと伝えるようにしています。

また、筋力がある程度ついてきたら筋トレに合わせて、低下したバランス感覚を養うために、片足立ちをするなどのバランストレーニングをすることも転倒の予防につながります。

 

柘植 幹夫

柘植 幹夫先生

医療法人社団 一期会 くろさか青木クリニック 院長

くろさか青木クリニック院長。運営するくろさか青木クリニックは地域の病院として整形外科、内科、人工透析の設備を持つ。予防に詳しく、院長として診察・治療だけでなく些細な悩みにも積極的に応じ、地域の健康寿命を延ばすことに貢献している。

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