新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
疾患啓発(スポンサード)

医療連携の実態と今後の展望——かかりつけ医との連携

医療連携の実態と今後の展望——かかりつけ医との連携
徳原 真 先生

国立国際医療研究センター病院 医療連携広報管理部門長・緩和ケアセンター長・入退院支援センター長

徳原 真 先生

近年、高齢化の進行とともに、医療連携の必要性が説かれています。そこでは主に、日常的に通うことができるかかりつけ医の存在が重要になるといいます。かかりつけ医が中心となり連携が実現されれば、スムーズに患者さんに関するやりとりをすることができ一貫した治療につながるからです。

国立国際医療研究センター病院において医療連携室医長を務める徳原 真先生は、高齢化が進行する中で「医療連携は今後ますます重要になる」とおっしゃいます。今回は、同病院の徳原 真先生に、都市部における医療連携の現状と課題についてお話いただきました。

医療連携とは、それぞれの医療機関が有する機能を生かし連携をはかることで、地域住民が継続的で適切な治療を受けることを目指すものです。具体的には、日頃の診療は地域の診療所やクリニックなどかかりつけ医を受診し、より専門的な検査や治療が必要な場合には大病院にかかるといったことをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

たとえば、高齢者の方が普段血圧を診てもらう地元のかかりつけの医師のところで、検査のためにバリウムを飲んだところ、胃に影が見つかったとします。その後、大きな病院で精密検査を受けると早期の胃がんが見つかり手術、退院後の日常のケアは地元のかかりつけの医師にしてもらう。

このように大きな病院と地元の診療所・クリニックが連携し、患者さんをケアすることを医療連携といいます。

今後、全国的に高齢化が進行していきますが、それは都市部も例外ではありません。都市部では、高齢者が高齢者を介護する老老介護の事例が多く、退院後の戻り先が課題となる場合も少なくありません。特に、独居の高齢患者さんの場合、緊急で搬送されたときに初めて問題が顕在化することがあります。

独居の高齢者

若い患者さんであれば、疾患が治れば元の状態に戻ることがほとんどですが、高齢の方は必ずしも入院前の状態に戻るとは限りません。そのため、たとえば1人で生活していた高齢者が、退院後に再び入院前と同様の生活ができない場合もでてきます。

元の生活に戻ることができない患者さんが退院後どこに暮らすか、それは大きな課題となっています。

私たちの病院にはソーシャルワーカーや退院調整を専門にする看護師など退院調整の部門があるので、入院前の生活に戻ることが難しい患者さんの場合、そちらで対応が可能です。

住み慣れた場所で人生の最後まで生活できるようにという国の方針で、高齢者はなるべく自宅で在宅医療を受けるよう推奨しており、退院後に在宅医療にスムーズに移行することができれば、患者さんにとっても適切な治療につながりメリットが大きいと思います。

私たち国立国際医療研究センター病院がある新宿区は、在宅医療に携わっている医師が多く、在宅医療との連携は比較的しやすいという特徴がありますが、今後はさらにスムーズな連携を実現していくことが課題となるでしょう。

在宅医療

お話したような医療連携には、かかりつけ医が重要な役割を果たすと考えています。

近年、日本医師会がかかりつけ医機能研修制度などを提唱していますが、私がお話しているのは、専門医などの制度ではなく、あくまで昔から身近に存在しているイメージとしてのかかりつけ医です。

地元の診療所やクリニックの先生など、主に周辺地域の患者さんを診る医師を想定しています。

かかりつけ医は、疾患のみならず患者さんと長い付き合いであることが多く、社会的背景まで把握していることも少なくありません。そのため、かかりつけ医が把握している患者さんの情報を共有することができれば、連携をしても一貫した治療ができ患者さんのためにもなります。

たとえば、独居の高齢者の方が大病院に救急搬送されてきた場合、ご本人が治療の希望を持たれていることがあります。それをかかりつけの医師に搬送時に教えてもらうことができれば、望まない治療を避けることができます。このように、日頃からかかりつけ医と病院が情報を共有することが連携において非常に重要となるでしょう。

私たち国立国際医療研究センター病院にいらっしゃる患者さんの中には、私たちをかかりつけ医として認識される患者さんもいます。もちろん、必要があればいつでも来ていただきたいのですが、我々のような大病院はある程度専門的なことしか把握していないという現状があります。

そのため、疾患の検査や治療など専門的なことは大病院で診てもらうけれど、普段の健康上の相談や薬の処方などは、地元のかかりつけの医師に診てもらうという使い分けが重要になると思います。

お話したように、かかりつけの医師は患者さんの社会的背景や生活スタイルまで把握している場合が多く、それぞれの患者さんに合った治療を一貫して実現できるというメリットがあります。

診療イメージ

患者さんによって、普段からかかる医師の専門分野は様々であると思います。ですが、その専門分野が何であっても、患者さんの疾患や社会的背景、生活スタイルなどを把握できていれば、かかりつけ医と呼んでよいと思います。

たとえば、通っている医師の専門が内科以外であっても、普段何らかの治療のために通っていて気軽に相談できる医師であれば、かかりつけ医と認識してよいのではないでしょうか。

医療連携の1つの形として新宿区の医師会が提唱しているものに3人主治医制があります。3人主治医制とは、かかりつけの医師と病院の医師、そして在宅医療の医師の3人の主治医を持つことを言います。

大学病院など大病院での治療と入院をきっかけに、病状は回復しても、退院後に訪問診療が必要となる高齢者は少なくありません。しかし、必ずしも地元のかかりつけ医が在宅医療を実施しているとは限らず、その場合、新たに在宅医療専門の医師が主治医に加わります。

3人主治医制では在宅医療の医師がいるため、地元のかかりつけ医のところに通うべきかどうか、迷うことがあるかもしれません。それは、在宅医療の医師がいれば、かかりつけ医のところに通う必要がなくなる場合もあるからです。

しかし、たとえば、在宅医療の医師が定期的に訪問するけれど必要なときには、昔から患者さんを診ているかかりつけ医が診ることもあります。

このように、在宅医療の医師とかかりつけの医師は、何かのときにバックアップをし合う関係ということができるでしょう。

新宿きんと雲とは、新宿区医師会の在宅医会(在宅医療を行う医師の会)が主導で実施しているクラウド情報共有システムです。これは、患者さんのカルテをクラウド上で共有することを可能にしています。

現状では主に、在宅医療の医師が患者さんの同意を得て登録し、情報を共有しています。登録された情報は、患者さんの病院の医師、訪問看護ステーション、場合によっては介護職の方まで見ることが可能です。

何か患者さんに変化があれば、システムに書き込みさえすれば、関係者が全員情報を把握することができることは大きなメリットです。これは新宿区の一例ですが、今後あらゆる地域でこのように連携をスムーズにする動きが出てくるのではないでしょうか。

システム

新宿区は、急性期病院や超急性期病院はたくさんありますが、慢性期の病院は少ないという課題があります。そのため、新宿区内で連携を完結することが難しい場合も多く、今後は他の地域との医療連携も重要となるでしょう。

新宿区には、基幹病院と呼ばれる主要な病院が7つほどあります。これら急性期の病院同士の医療連携がうまくいけば、緊急入院などにも、よりスムーズに対応できるようになるのではないでしょうか。

たとえば、受け入れることができない患者さんを他の病院に任せるということも可能になるかもしれません。現在、急性期病院間の医療連携は実現していませんが、実現すればとても効果的だと思います。

受診について相談する
  • 国立国際医療研究センター病院 医療連携広報管理部門長・緩和ケアセンター長・入退院支援センター長

    徳原 真 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。

    なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。